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これからの日本を予想する。
和の国富論というタイトルはこの本の良さを表しているような表せていないような…
アダムスミスの国富論の、「自由競争こそが経済成長と完全雇用に導く」という側面だけが強調されるが、その前提として、「市場の参加者に、他者に同感する能力と、自己の感情や行為を他人の目で見て帰省する習慣が求められる」ことも指摘されていた。
その共感力をベースにした国作り、経済の維持は日本独自のやり方が近いとこにいるのではないか。
それぞれの分野で一家言を持つ、6人の実践家と藻谷氏の対談集。藻谷氏がエコノミスト、アナライザーとして本を書くだけでなく、こういった形で「実際の経済はどう動いているのか」にじかに触れて吸収していく姿勢がすごいと思います。
けっしてショーケースに入った「経済」でなく、日本の今後につながる道を示しています。
ただし、本の帯にあるような「脱競争の新しい成長戦略」を示しているわけではありません。(そもそも成長しつづける経済を維持できるか…)しかしこれからの戦略、行動のヒントになる切り口を示している本であることは間違いありません。
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藻谷さんの発想には東京発でない「確かなもの」がある。それは官僚が机の前で考えたこととはおおよそ異なるものだ。
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対談集。
リノベーションは5年以内に投資回収。
壁を作って自分たちだけが安心ではなく、みんなで安心を作るのがまちづくり。
自立しているグループが集団。マイナスの空気が勝るのが群れ。
最新学習歴、一番最近学んだことを聞く。
人間の作ったものに興味なしというのは、自分も大学生の時に思っていた。しかし今ではイルミネーションなどを見るとすごいと思ってしまう。
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☆☆☆2016年7月レビュー☆☆☆
『里山資本主義』や『デフレ招待』の著者である藻谷氏の対談集。林業、漁業など6つのテーマでそれぞれの「現智の人」と対談。藻谷氏の本を読むといつも「自分も何かしよう」と思える。社会の目指すべき方向のため、地域社会のために何かできることはないだろうか、と考えさせられる。
★★★2017年8月レビュー★★★
「現智の人」との対談集。
林業、漁業、空き家、崩壊学級。現場の声を藻谷氏が読者に届ける。都市・建築再生プロモーター清水氏との対談が印象に残った。千代田区の廃校を利用したアートセンター、岩手県の紫波町オーガルプロジェクトなど、多くの街づくりをてがけている。本当に住みよい街とは、職場とは何か。それが今の東京ではないことは確かだ。清水氏のいうように、本当にいい街とは、いろんな機能が混在している街。家も公園も家も職場も。家と職場を真っ二つに分断してしまっているのが東京。
人間が本来持っている「営業生活権」を復活すべきという考えにも共感できた。
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201610/
(アダム)スミスは、その前提として公正な市場が形成されておらねばならず、そのためには市場の参加者に、他者に同感する能力と、自己の感情や行為を他人の目で見て規制する習慣が求められることも指摘していた。
しかし時とともに後者の指摘は忘れ去られ、自由競争があたかも神のごとくに裁定を下して、経済成長の成果が自動的に公正かつ最適に分配されるという、一種の「信仰」だけが独り歩きするようになった。/
「和力」とは、狭い島々の中で多年ひしめき合ってきた日本列島の住人が編み出した生存のための智恵、工夫、身のこなし方のことである。/
図書館は地域で一番の情報ハブセンター/
「家賃断層マップ」
一続きの街並みの中で突然家賃が割安になっているエリアが、現代版家守の狙い目となります。しかも、せいぜい半径200メートルぐらいのスモールエリアを狙う。/
大規模な機能分化をやると、都市の魅力が失われてしまうんです。旅行する人はわかると思いますが、「あっ、良い街だな」と思うのは、いろいろな機能が混在している街です。オフィスもあれば住居もある。生産活動と消費活動の両方が行われていて、どの時間帯でものんびり歩いている人がいる。そして、中心部に必ずリビング機能を持つ広場やストリートがある。/
自立した人がどれだけいるかが、魅力的な都市の条件であり、サスティナブルな都市の条件だと僕は考えています。/
集団をまとめる力は、集団を壊そうとする者とのせめぎ合いの中からしか育たない。「おりこうちゃん」だけの選抜は、彼らの成長のチャンスの破壊である。真のエリートは、崩壊した学級にあっても下二割の仲間を切り捨てず共に歩んだ経験を持つ、「スーパーA」の中からしか生まれないのだ。/
上の二割も、やっぱり普通からは外れているという点では同じなので、外れている者同士、波長が合う部分があるのかも知れない。/
パニックを起こしている時というのは、要するに相手が一番つらい時なんです。そういう一番つらい時に、相手をぎゅっと抱きしめて「大丈夫」と言ってやる。赤ちゃんだろうが大人だろうが、人間はみんな抱いてほしいんです。これをやると、ぐっと信頼関係が深まります。/
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講義中ピリピリする藻谷浩介先生が喜んでサインしてくれました。
本の内容は、教育、高齢者+空き家対策、この2点は非常に勉強になりました。
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先日、小菅村でご講演を聴かせて頂いた藻谷浩介さんの新刊『和の国富論』(新潮社)を拝読。
講演会終了後に著書サイン会となり思わず1冊購入。さすが藻谷さん、商売上手(笑)一言二言でしたが、小菅村の林業について会話させて頂きました。全国を廻られ各地の先進的な林業を見聞きして来られた藻谷さんからもっと林業についてお聞きしたかったが独り占めできず我慢。
本は6名の方々との対談集です。
その6名のお話から日本経済を再生させる6カ条。
1)企業統治は「ガバナンス強化」より「家業化」せよ
2)農林漁業は「効率化」より「需要高度化」せよ
3)地方創生は「雇用」よりも「営業生活圏」の確保で
4)リーダーは「進学校」より「崩壊学級」で錬成せよ
5)老後不安は「特養増設」より「看取り合い」で解消へ
6)日本国民は「参勤交代」で都会と田舎を往復せよ
この本を速水林業の速水亨さんもFacebookで紹介されておられましたが、対談者のお一人の速水亨さんの経営哲学から多くを学ばせていただきました。
『生産性向上に向けた壮絶な自助努力』
『フェアな競争を担保する国際的なルールの重要性』
『日本の林業はこれからアメリカの人工林施業技術に学ぶべき点が多い』
『海外で違法伐採された木の日本への完全輸入禁止』
『森林組合のような組織が団結して丸太の販売交渉力を獲得すべき』等々勉強になりました。
ご興味を持たれた方は、ぜひご購読を。
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林業,漁業,空き家,崩壊学級,超高齢社会,参勤交代の5つのテーマで素晴らしい対談が繰り広げられている.藻谷さんが巧みな問いかけで,話が転がっているが重要なポイントはしっかり押さえている.崩壊学級の話が楽しめた.教育に関しては誰でも一家言を吐くとのコメントがあったが,文部科学省が無意味な規制をしていること自体が問題と思っている.コミュニケーション重視の教育は根本だと感じた.
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この本の最後は養老孟司との対談で締めくくられているが、そのなかで問題提起されている「都市生活における人間の脳化」という言葉が、この本の全体を貫く主題をうまく表していると思う。
この本のなかで指摘されているように、都市とは、その周辺の農村も含めた全体的なシステムである。都市生活が成り立つためには、その周囲にカロリーやエネルギーを供給してくれる農村が必要とされるからだ。しかし、通常、都市に生きる人々にとって、そのことはほとんど無意識化されている。都市とは、それ自体で成立し、自足する実体であると考えられる。
人間の「脳化」は、この「反自然」のスタンスの必然的な帰結であるといえるだろう。彼らは死を無意識化し、大地とのつながりを無意識化する。そして要するに、彼らは身体を抑圧しているのだ。
そうして、彼らが生きている電脳世界の外側には、人間の実存を脅かす条件が多数存在している。その条件に目覚めること――そのことが、僕たちが再び生きた身体を取り戻す唯一の方法であるのだが、この都市生活において、そうした意識のゆらめきは「もっと効率的に!」という一声で容易にかき消されてしまう。
東京に住む知的エリート層の平均的な意識が合理性の段階を超えないのは、こうした理由があるからだろう。
思想家のケン・ウィルバーが指摘しているように、成熟した知性とは、心と身体の統合された経験である。
それは、この身体を喪失した都市の生活を維持することに、一体何の意味があるのかと問うことのできる知性であり、自らの生と死を規定する条件に立ち返り、そこから再び生活を始めようと意志することのできる姿勢のことであるだろう。
この本の対談者たちが試みているのは、基本的には、こうした新しい知性に立脚した実践であるといえる。
言い換えれば、この本は、僕たちはどうすれば身体を取り戻すことができるのかということについての本である。
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さすがまちあるきの達人!林業,水産業,教育…各階の専門家(現智の人)との対談で真実を描き出す。現実と乖離した経済市場論者,建前論者,形式論者を青ざめさせる本。
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興味深い話がギュッと詰まっていて、一気に読みました。
林業、漁業、空き家と福祉等々、そして最後の締めに養老孟司先生が登場。
知らない話が満載で、大変勉強になりました。
最終学歴より、最新学習歴。面白い提案だと思いました。
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自分だったら絶対手に取らないであろう本だけど、貰い物で読んで正解だった。
まさに『脳化』側の人間として本書で否定されてる経済学者が言ってるようなことを思っていたので、価値観がたびたび揺さぶられた。
ただの理論としての本ではなく、どれも実体験からの派生なので生きた意見として参考になる。
林業や漁業の話は真のサステナビリティについて考えさせられるし、学級崩壊の話はまさに多様性である。
しかし理念として叫ばれるものの、ホワイト化社会とも言われるように不快を最小化する方向に向かっていて、どんどん不快が許容できない人たちが増えている。
自分と異なる他者を受け入れることはまさに不快であり、理念としての多様性が反転してむしろ排除の方向に向かってる例も多々見る。
6章で語られる「風景化」のように認知症の人や突然怒り出すようなおじさんを日常の風景のように捉えることこそが多様性なんだろう。
結局のところ身体感覚として、本質的なところを見失わないのが大事だなと常々思う。