紙の本
新しい視点はない
2016/12/04 13:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある程度の知性の持ち主ならば「政府が嘘をつく」というのは常識だから,本書のネタにとりわけ新鮮さは感じなかった。日本の問題は政府よりもひどい嘘をジャーナリストがまき散らしている点にあるのだが,それもきちんと批判していて,左右どちらに対しても批判的であるところに好感がもてた。しかし袋とじは頂けない。これはあまりに下品です。あまりに売らんかなの商業主義が強すぎるので減点3。これでは批判している商業ジャーナリストと一緒ですよ…。
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2012年2月に出されたもの(9・11以降のアメリカ、3・11に直面した日本の実態を取り上げた)に、マイナンバー制度とTPP交渉に関する内容を加えた増補版。国民に真実が閉ざされている社会であるということを具体的な事実を取り上げ解明し、この時代をどう生き抜いていけばいいのかを投げかけた本です。
前作を発売時に読みましたが、改めてアメリカをめぐる状況の深刻さとそれと同様なことが日本で進行していることの恐ろしさを感じました。マイナンバー制度とTPP交渉、その具体的なこととして出されていることを、深く理解する必要を感じました。ショック・ドクトリンについては、熊本地震の発生を受け、今後起こってくる事態を注視していきたいと思いました。
「おわりに」に、著者がNHK「課外授業 ようこそ先輩」に出演し、子どもたちに出した「将来暮らしたい社会について創造し、その国のリーダーになったつもりで憲法前文を書く」という授業内容が紹介されています。街で大人たちの意見を聞き、グループで真剣に話し合い、自分たちの頭で考えた文章がとても素晴らしいです。
「そこでは、みんなが安心して暮らせ、毎日家族一緒に安全でおいしいご飯を食べ、学校には笑い声が響き、一人ぼっちで寂しい人は一人もいなく、動物が大事にされ、世界から信頼され、知らない人同士が『ありがとう』と言い合える。そんな幸せな国をつくることを、ここに誓います」。
胸があつくなりました。
政治に無知・無関心であってはならない、みなさんにお勧めの一冊です。
・「違和感を覚えた時は資金の流れを追う」
・「試されるのは知識よりその取捨選択」
・「頼れるものは迷ったときに〈本質〉に戻る〈想像力〉と〈他者への優しさ〉」
・「ほんの数歩後ろに下がってみるだけで、世界は違って見えてくる。そしてそこから未来は変わる。自らの頭で考え、意思をもった国民は、簡単に騙せないのだ」
・「政府は嘘をつくものです。ですから歴史は、偽りを理解し、政府が言うことを鵜呑みにせず判断するためにあるのです」(ハワード・ジン)
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何が真実で、何が嘘なのか?
大量の情報が錯綜する中で、正直分からなくなる。
国民を騙す情報操作なんで近未来小説の世界のものと思っていたが、1%が力を持ち、99%の富を独占する社会であれば現実のものなんですね。
どこか他人事に考えている間に、いつの間にか社会の仕組みが書き換えられて、気がついた時はもう手遅れというとがないよう、何かおかしいという違和感を大事にしたい。
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米国の民主党も石油業界、ウォール街、製薬会社、軍産複合体やアグリビジネスから大口献金を受けざるを得なくなり、その本質は大資本(多国籍企業であり、99%を搾取する1%)のコントロール化にあるという意味では共和党と同じ、日本では、原発を推進してきた自民党、原発事故が起きたときに隠蔽した民主党と、何れも二大政党制とは名ばかりで全てはマスコミも含めて大資本の支配下にあると弾劾し、リビアやイラクなどアラブ諸国の民主化にも疑問を呈する目から鱗の一冊です。グローバル化する世界でどのようにビジネスを推進するかなどの情報は豊富に流通してますが、それが大資本を利する世界であるとの情報はあまり目にすることがありません。特に医薬品の知的所有権や原発の利権構造などは身近な問題でもありとても興味深く読みました。
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前作『政府は必ず〜』から4年!
早い。
そして、増々、良くない方向へ。
すごく読みやすく、わかりやすく、希望もあるように書かれているけれど、現実は一日毎に政府に「負け」る方へ流れていて、それに太刀打ちできるようになるには、草の根の運動というか成長が必要で……
でも、「逃げる」という手もある、と思ったり。
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この本と続編の「政府はもう嘘をつけない」の2冊を読んで学んだことが3つある。まず、世の中で起こっていることは、最早「国」という単位で考えていては本質はわからないということだ。アメリカは1%の超富裕層と、貧困者を含むその他99%が暮らす国と言われるが、この1%は自分の儲け以外のことを考える能力を持たず、永遠に食い続ける化け物のようなものである。彼ら・彼女らはある種の異常者なので、自分以外の人の幸せ、心情を想像し、思いやることができない。もちろん、自分が住む国の行く末もだ。国境を越えて商売することで自分たちが更に潤うなら、国内の労働者がどうなろうと、その結果国そのものが亡びようと、知ったことではない。こうした連中が「愛国者」でいるのは、その方が商売に都合がいいときだけであり、国家など商売の一要素でしかない以上、邪魔ならば斬り捨てるだけである。彼ら・彼女らにとっては、政治家も国家も私物であり、道具なのだ。
第二は、本の題名にある通り、政府は必ず嘘をつくということだ。選挙には金がかかる。例えばオバマ大統領は、最初の選挙で750億円、2期目の選挙では1000億円を集めたそうだ。スポンサーはグローバル企業がずらりと名を連ねる全米貿易協議会。こんな風に金をもらって政治家になった人間が、スポンサーである大企業の利益に反することなど実行できるはずがない。オバマが、当初掲げた政治時献金問題も軍縮も、結局実行できなかったのはこうした構図がある以上、当然のことであった。こうして、困窮している人のための政策を掲げた政治家はそれを実行できず「嘘つき」になり、最初からスーパーリッチのためだけの悪政を実行するつもりの政治家は、そうは言えないため、あたかも民衆のための政策のように見せかける嘘をつく。いずれにしろ、政府は必ず嘘をつくことになる。
そして三番目は、あらゆる条約や協定、政策は、その結果儲かるのは誰か、どの企業かという金の流れを見ればその本質がわかるということだ。例えば、2011年、当時の石原慎太郎都知事は、都民の反対を押し切って強引に、被災地からの瓦礫受けいれを表明した。受け入れた瓦礫の処理は高度な技術を要するということで、特別なフィルターを備え、1日1000トン以上の処理能力を持つことを条件に業者の入札を募ったのだが、この条件に適う業者は「東京臨海リサイクルパワー株式会社」一社しかなかった。こうして事実上入札なしで、処理はこの業者が受注し、税金3年間で280億円がこの業者に支払われることになったのだが、実はこの会社は東京電力の子会社だった。
要するに東京電力は、自社の殺人的不始末からくる瓦礫処理の費用を一切支払わず税金を使わせただけでなく、その税金による仕事から生まれる利益まで自社で回収するということになる。東京電力は東京都幹部の天下り先であり、また、東京都は東京電力の大株主である。表では絆だの復興だのという情緒的な言葉が躍ったが、金の流れがわかればそんな美辞麗句はすべてまやかしであることがわかる。
以上のようにこの本とその続編「政府はもう嘘をつけない」の2冊は、物事の本質を見抜くヒントを与えてくれる大変有益な本である。著者にはこれからも我々��啓蒙し続けていって欲しい。繰り返すが、超富裕層もそれに叩頭する政治家も、心の底から体の隅まで冷酷なのだ。TPP、東京オリンピック、米軍基地、原発、高速増殖炉、カジノ、リニア新幹線、武器輸出、大学入試改革、こうしたことについて我々がまず考えなければならないのは、政治家や経済人の並べる理屈ではなく、これらを実行することによって儲かるのは誰か、金はどこへ流れるかである。私は個人的には、上に列挙した事項の中に、理のあるもの、真に普通の人間の幸せにつながるものは一つもないと思っている。
最後に、この2冊にはこうした醜い流れに抗して成果を収めたアイスランドの例なども紹介されていて、それが希望を与えてくれる。
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TPP締結で私たちの生活が脅かされることについて一切言わない政府、そしてありのままの真実を報道しない主要マスコミ。私たち日本人は美徳として公的権力を信じる国民性ですが、政府とは元来、嘘をつくものであるし、主要マスコミは偏向報道が基本ということが本書で納得しました。私たちはイラクやリビヤ、シリアが歴史上、最も中東や北アフリカで安定した国だったのを知らされずに偏向報道のシャワーを毎日浴びさせられています。複数の媒体に触れ、自分で判断することの大切さ、そしてその判断するための前提知識を身につけることの大切さを痛感しました。
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この本を読めば、アメリカの超格差社会が日本にも訪れるという未来が現実味を増して感じられます。私たちはいったいどこから情報を得ているでしょうか?新聞、テレビなどのマスコミで得られる情報は本当に正しいものなのでしょうか?タイトルに、「政府は必ず嘘をつく」とありますが、これは日本に限ったことではなく全世界で恐ろしいことが知らないうちに行われているということを象徴している言葉です。一読の価値あり。とても参考になる本です。
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自民党と民主党の2大政党は元々選択肢ではないとの指摘は、押さえておかなければならないポイントだ。TPP、原発終息宣言、共謀罪の国際公約などすべて民主党政権が提案している。アルゼンチンの指摘は参考になった。
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コーポラティズムとは、グローバル企業の経営者とか株主とかいった資本家が、政府と結びつき民主主義に反した政策をやり、国民の犠牲の下に彼らの利益をふくらませて、株主への配当金を出来るだけ多額にするという仕組み。
堤未果がTPP医療制度解説
https://youtu.be/cMsZAErCE9g
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著者の堤未果さんは、この前のNHK『100分deメディア論』にパネリストとして出演しており、続いてたまたま先日の講座で本書の紹介があり、読んでみました。彼女の夫である川田龍平参議とは、十年前に霞ヶ関の路上でばったり会った思い出があります。凄い夫婦です。
さて政府の嘘を見抜くには、論理的に利害関係を理解して...など、とても有効な視点が書かれています。そこには堤未果さんの誠実な想いも感じます。でも途中から流し読みしました。読んでいて楽しくないのです。
政治家が市民を代表して政を行なう政治体制、そうならば、市民は政治家を信頼して、極端に言えばノータッチで任せ、もっと自分の生活に時間を費やすのが理想だと思います。でも実際は、政府も企業も嘘をつく存在、市民は常に学び、警戒して監視する必要性が叫ばれてます。もちろん今に始まった事ではありませんが...。
社会の構造を理解して、ある程度の予防線を張った方が良いのは確かですが、考えてみれば性悪説思想そのものですね。加えて、政界は人間が素直ではいられない場所だと感じますしね。逆に、損はしてしまうかもしれませんが、不完全な人間が行なう政治には関わらないで、もっと時間を有効に使うのも賢い選択肢だと思います。有効にと言っても、市民があまり政治に関心が行かないように用意されている娯楽の数々に興じるのも、映画「マトリックス」のようで腑に落ちませんけどね。
そうは言っても、社会の動きを常に把握し続けるのは、いくら時間を費やしても無理だと思います。巨大過ぎる社会、決して見えない闇、玉石混交な情報、事実を知っても市民によって分かれる解釈、そもそも社会が自分の思い通りになると考えるのは妄想です。それよりは、様々な思惑が渦巻く社会において、うまく立ち振る舞う術を磨いた方が良いのかもしれません。政治的信条は人ぞれぞれ!!
最後に、本書を読む事により、自分の中のステレオタイプが増える気がして、なかなかどうして悩ましいのです。ただ素直に政府の嘘を見抜きたい人にとっては、とても有用な一冊だと思います。
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国とメディアと大企業がくっついていた構造。
国会も法案の審議をしないでくだらない議員の資質?なぞ
追及?してて法案の中身がわからず、議員も政府の言いなり・・・・・・・・・・・
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グローバリズムがもたらしたものは何だったのか。
企業、投資家が競いたくなる新しい指標は何だろう。
1%と99%の格差や再分配について知ることから。
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増補版というように、以前に出版されているものだ。堤氏の得意なネタ。米国追従である限り、嘘をつかざるを得ない状況だ。
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何ということだ。これらの情報を、今まで知らずにいたなんて。政府は真実を教えてくれない。平気で嘘を流す。テレビや新聞の情報を鵜呑みにするのは危険。というか信じちゃいけない。他国の情勢が不安定だとか、政府が国民を騙してるとか、他人事と思っていたけれど、日本は政府が国民をコントロールしているわけがないって思いこんでいたけれど、日本も他国と変わらない。変わらないどころか、もっとひどい。本当にひどすぎる。でも国内にいると、それに気づかない。洗脳されているから。どれだけ極悪非道なのかがわからなかった。
先に同じ道をたどってきた他国の歴史に学びながら、日本の現状を知ることができる。今起きている問題は、国と国の話ではない。グローバリズムというのは、金が全ての商人の世界観。金の前には命なんて無価値に等しい。金を持つ商人が政府を、メディアを支配下に置き、コントロールしている。お金の流れを見れば、表面だけでは分からないことが見えてくるという教えは、とても参考になる。正しい情報に触れることができ、目が覚める思いです。