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気鋭の経済学者、飯田泰之が主編者となり、5人の地方再生に取り組むスペシャリストによる講義と、飯田氏自身との対談をそれぞれ1人、1章という形でまとめたものです。
感想として…
人口減少という現状を前提とすれば、どこかの人口を増やせば、どこかの人口が奪われる事になる。
その中で集積できるところはいかに集積し、減少するところはいかに、戦略的に止まるか、あるいは撤退戦を進めるか…
とはいえ、けっして後ろ向きではなく、未来の地域のあり方…その選択、そのために今出来る選択肢を示した本だと思います。
あと、本書で強調しているのは、民間が主体でなければ駄目だという事、補助金行政の批判ですね。
補助金がいかに、民間や地方自治体のインセンティブを歪ませるかです。
この本は地方再生に興味を持つ人のための入門書であり、同時にインデックスだと思います。
各章からより専門的な方向への導入になりそうです。
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グランプリ勝利が目的化したゆるキャラとB級グルメ、裕福なシャッター商店主、増加だけ見て減少波及を考慮しない逃げ口実の経済効果試算、自治体が実態に則して基準税率を上回る設定努力をしなくても地方交付税によって補填される不足財源、居住外自治体への所得移転を促すでたらめなふるさと納税などなど。同感あり、反省あり、再認識あり。官民共に顧みて省みるべき事例の数々。こと林直樹さんの論に関しては、従来の学者による机上論の域を出ないと感じるけど、総体として勉強になりました。
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地域再生について、まちづくりの第一線で活躍する面々が、各々の持論を披露し、現状の地域再生の問題点を洗い出している一冊。
以下、印象に残った点。
・地域活性化に取り組むプレーヤーも「競争」という意識が欠如していることが多い
→学生時代、まちづくりを学んでいるときに、「人から選ばれるためのまちづくり」というのもあって良いのでは。と考えていたため、「競争」というものをもっと意識した地域再生があって良いのかな。と改めて思った。
・プレーヤーには、問題意識や成長意欲、開放性が大事。
→僕は開放性(というか仲間を巻き込む意識)があまりないので、恐らくプレーヤーとしての素質はないだろう。と思った。自分が大学卒業後、まちづくりの世界に残ら(れ)なかったことに妙に納得してしまった。
・結局は「人」がいるかいないか、強力なリーダーシップと問題意識を持った人が現れて、みんなと話をして説得できるか。
→やはりまちづくりで必要なのは、問題意識、開放性そしてリーダーシップ。特に2つ目と3つ目は、各々の元々の性格的な部分も大きい。僕はリーダーシップ皆無なので、自分がまちづくりの世界で飯を食うには向いていないということに、更に納得してしまった。
・新しい発想ができる人間は、公務員試験を普通は受けない。公務員の多くが、真面目で手堅い。
→特に地方公務員だと、優等生タイプ、学級委員タイプが多いのかもなあ。という印象。公務員の仕事は法律に則って行うのが大前提である以上、真面目な人が多くなるのは仕方ないのでは。
・地方では公務員は比較的エリートなので、志が高く野心的な人もいる。
→地方だと、自分の生まれ育った町で一旗上げようとか考える人が、その手段として公務員を選ぶ、ということが割とあり得ることなのかな。と。あと地方だと優秀な人材が、地元に戻って安定して高収入を、と考えると、インフラ・地銀・公務員あたりが選択肢になるというのもあるでしょうが。
と、色々と考えてしまった。全て素人の考えですが。
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木下斉氏、飯田泰之氏など”若手”に属する実務家、学者による現場から地域再生を考える話。経済面からか政治(厚生)からかどちらで評価するかそもそも考えましょう、というピンポイントな掴みにgoodだなと感じる。メモ。
(1)予算というお金を使うのだから、リターンもお金で示すべきなのにそうではない。市民が楽しかったと言えばいいイベントになる。
(2)サプライチェーンにはギュッと細くなるボトルネックが必ずあって、そこをにぎったひとが価格統制力を持つことが出来る。
(3)販売先から逆算して考え、独自の生産・加工を行うからこそ利幅も大きくなり、適切に人も雇える。
(4)戦略の基本は競争構造を理解したうえで戦ってはいけない人と戦わないこと
(5)本当の経営はやること自体の合理化をして予算制約を乗り越えたり、従来とは異なる収入モデルを作ってサービス維持のモデルを作り出すこと。
(6)大体人口20万人から30万人の規模で自治体のコストが、最も安く収まるという結果が出ています。
(7)ビジョンを示しコミュニケーションをとってしっかりと伝える事が経営者にとって最も重要な仕事。業績が良くても価値観に従わないマネージャーはクビ。
(8)都心に通勤しているサラリーマンの通勤時間は片道58分。毎日二時間以上も移動のためだけに費やしていたら、インフォーマルなコミュニケーションを行う時間も無くなってしまう。東京は人が多過ぎるがゆえに、人の集積によるメリットを生かす事が出来てないのではないか、と思う。
(9)グローバリゼーションとは国と国との関係ではなく特定の都市と都市の結びつきの強弱に収斂しつつある。
(10)商業対策なのか絆対策なのかは目的も手段も違う
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出版前から気になって。
ちらほらと論者によって言及されるのも聞く。
地域経済、市場・民の力をどう使うか。
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【メモ】
▼第1章
・中核企業を支援したいなら、撤廃してほしい規制を聞いて、そこを緩和する。規制緩和や許認可の手続きサポートをして、お金は自分で工面させる
・成果を上げたら税金を軽減するほうが実際に成果を出すのでいい
・多様な人に寛容な地域は、理由はよくわからないけど発展する(都市社会学者リチャード・フロリダ)
・多様性こそ可能性を引き出す。数を確保することが大事
・行政は、最良のシナリオから最悪のシナリオまでの幅をつくって、最悪を避けるようにマネジメントしなければならない
▼第2章
・日本経済、地域経済を考えるにあたっては、過去からの遺産(または負債)をどう使うのか、どう変えるのかという観点でしか現実的な解決策を示すことはできない
・自分のお金で自分の責任で投資をすることが重要
・地方創生が何を目指すものなのか明確ではないというのが最大の原因。自治体の税収増なり、その地域の一人当たり所得の向上なり、明確に数値化できる目標を設定していく必要がある
▼第3章
・人は知と知の偶然の組み合わせ、すなわち知の集積した都市も求めている。その意味でも、これからは知の集積が進む大都市と、その周辺えぼんやりとデフォルト・モード・ネットワークの状態がつくれる地方部を行き来する人が増えるのではないか
・地方都市が人を惹きつけるためには、まずは住みやすさがもっとも重要
▼第5章
・行政でしかできないことはインフラ整備
・商業に関しては重複が大きい。商店街振興という事業はみんな持っている。政治的にも、商業は票になるのでみんな担当したがる
・「経済」と「地域活性化」を切り分ける必要がある
・商業の活性化というのは、税収を増やし、雇用を生み出すこと、お金が適正に動くようにすることが目的
・しかし、ほとんどの商店街の活性化は、「まちおこし」になってしまっていて、個々のお店の競争力向上や商店街全体の戦略をつくるといったものになっていない。
・商業施策か絆対策なのかは、目的も手段も違う
・古来発展してきた都市の多くは街道沿いで、各地の承認たちが行き交ってきた歴史がある。気づくことは内部の人には難しく、隠れたストーリーは外部の人だけでは永遠に分からない。これが地域にとって望ましいコラボレーション
・産業集積をつくり出そうという動きが出てくるのは、おそらく人口30万人が1つのボーダーラインになるのではないか。三大都市圏以外では人口30万人を超えると徐々に周囲から人口を吸い上げる力が強くなる
・行政の仕事は結果が出るまでの時間が民間企業よりもはるかにかかってしまう。そうである以上、民間企業よりも将来のことを予測できなければならない
・地域が元気であるための条件は、行きたくなる場所があること
<目次>
第1章 経営から見た「正しい地域再生」
第2章 官民連携の新しい戦略
第3章 フラット化しない地域経済
第4章 人口減少社会の先進地としての過疎地域
第5章 現場から考えるこれからの地域再生
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地域再生にまつわる施策の歴史を検証すれば、失敗例が多々あったのではとの筆者の言葉。しかし今、その地域の再生の成否に、日本の未来がかかっていることには間違いない。
そこで、従来の発想ではない新たな視点で取り組んでいる方々の講義と、筆者の対談という構成の本である。
第1章 経営から見た「正しい地域再生」
木下 斉 エリア・イノベーション・アライアンス代表
第2章 官民連携の新しい戦略
川崎 一泰 東洋大学経済学部教授
第3章 フラット化しない地域経済
入山 章栄 早稲田大学ビジネススクルール准教授
第4章 人口減少社会の先進地としての過疎地域
林 直樹 東京大学大学院農学生命科学研究科・特任助教
第5章 現場から考えるこれからの地域再生
熊谷 俊人 千葉市長
登場する方々は、1969年〜1982年生まれである。
これからの日本を背負う若い方々の考え方に期待を寄せるものである。
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5人の色々な専門分野の方から見た地域再生の在り方について考えさせられる本。
30万人程度の地方都市、中山間地域などを抱える地域にはヒントになる事が多そう。
私は1万人の村なのでどんぴしゃでは無かったけれどヒントになる事は多かった。
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過去のばらまき的な地方再生術がなんでうまくいかないのか、と言うことが書いてあり、うまくいくにはこんなアイデアがあるよ、という事が丁寧に書いてある本。著者が複数で視点も多岐にわたり、海外の都市との連携が必要だという話や、人が集まって知恵を出し合うカフェがあると良い等々、具体的なアイデアがたくさん書いてあり、なるほどなーと思った。ただ、特効薬的な話はないので、色んな施策を地域に併せて地味にやっていくしか成功への道は無いんだろうな、と感じた。
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昨年度ふるさと納税をやってみてから、少しずつ興味がわいてた事項。ふるさと納税だけじゃなくて、ゆるキャラとか、B級グルメとか、実際それどうなのって思ってました。
一番印象的な話だったのが、色んな選択肢の1つとして、みんなの合意のもと集団移住すること。これもっと詳しく?知りたいし、広まるべき事柄でないかなと思いました。
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地域再生の成功例を紹介する本が多い中、この本は、地域再生に関わる専門家の生の声を取り上げている点で、毛色が異なる感を受けた。
諸氏の理念などもわかり読みごたえあり。
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評価なし。
最初の序文と中身をパラパラ読んだが、
今の自分には必要なさそうと感じた。
地域づくり携わっている場合は刺さる部分があるのだろうか。その時に参考になる?かも。
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経済学者の飯田氏と現場のプレーヤーである事業者や政治家との対談や研究者の講義の内容をまとめた一冊。テーマは「これまでの地域経済政策の失敗からこれからの地域再生を考える」というもの。従来の大規模インフラ整備や工場・企業誘致は地域振興への特効薬にはならず、今後の地域再生は民間主導、行政はあくまでもサポート役に徹すべき。第1章の木下氏が言うとおり、行政の視点は「いかに配るか」が中心。「いかに稼ぐか」という考え方はほとんど無い。「変わらずに生き残るためには、変わらなければいけない」分かってはいるが、難しい…
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いわゆる地方が直面している問題。画一的にどうすれば人口は増えるのか?ということに議論は展開されるが、あえてそこを目指さないという可能性。日本全国総中流という概念がむしろ消滅可能性地域をうみだしているのかも。選択的な集落移転とか興味深い。あと商店街が閑散としていても店舗オーナーなどの当事者が困っていないというのが意外だった。一時的な町おこしの成功を夢見るのでは、画一的な小東京化を目的とせず、潜在的な資源を活用しながら、いい意味で尖ったコンテンツを作り上げるしかないのかな。それを担うのはやはり、若者、よそ者、馬鹿者であり、かれらを受け入れなければならない。
周辺からの人口流入が期待できるのが30万人都市という仮説に基づけば、石川県は金沢だけがオーバー30万人。
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序盤は辛口な批判が続いて読んでて不快でしたが、辛口なのは最初だけで、全体的には良書に感じました。
普通は成功事例とかを載せて、『ウチはこのやり方で成功しました!他の地域の皆さんも是非試してみて!』みたいな喧伝が一般的ですが、本書は逆のアプローチで、今までのまちづくりの失敗から今後にどう活かすべきかを提供してくれる面白い本です。
中山間地域の解散話はちょっと衝撃でした。村を存続できなくなったら、村民全員が村を出るという発想は昔からあったらしいのですが、いよいよ現実味を帯びてきたように思います。
余談ですが、現在放送しているアニメ『サクラクエスト』というのが地域活性化の話で、主人公は観光大使として町をもりあげようと奮闘するストーリーです。これがまた、だいたいにおいては現在の地域活性化の問題を端的に表現しているように思います。「観光」というアプローチから活性化することの難しさがうまく描かれていて、地域再生に興味がある人は一度観てみるとよ良いと思います。
僕の評価はA-にします。