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当時スマホも携帯もない時期だから本は娯楽の中心だった。第二次世界大戦はプロパガンダ合戦でもあったのかと思った。本の果たした役割は大きいと思うけど終始本をゴリ押ししててちょっと疲れたな。ブルックリン横丁読んでみよう。
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フォロワーの方々のレビューを拝見して知った本です。
ありがとうございます。
先日、門井慶喜さんの『定価のない本』という戦後の日本の古本屋街の人たちの小説を拝読しました。ネタバレになりますが、その作品はフィクションではありますが、戦後、アメリカのGHQにより日本の古い歴史上重要な本をアメリカが全部買いとって、日本の歴史を奪おうとしたというような事件が描かれていました。
それで、アメリカの思想というか、戦時中にやっていたことを知りたくなり、図書館からずっと借りっぱなしだった、この本をやっと、手に取りました。
P97より
「この戦争の現時点での最強の武器は飛行機でも爆弾でも凄まじい破壊力を持つ戦車でもないー『我が闘争』である。この一冊の本が高い教養を備えた国民を焚書へと向かわせ、人の心を自由にしてくれる偉大な本を灰にした。アメリカが勝利と世界平和を目指すなら私たち一人ひとりが、敵よりも多くのことを知り、敵よりも深く考えなければならない。この戦争には本が必要である。本は私たちの武器である」
P135より
「軍は兵隊文庫を極めて重視していたのだ。兵士が何より欲しかったものは兵隊文庫だった。兵士には気晴らしがどうしても必要だった。多くの兵士にとって読書が唯一の気晴らしだった」
そして訳者あとがきにもよりますと、ヒトラーは無類の読書家だったからこそ本の力をよく知っており、一億冊もの本を燃やしたのではないか、そしてアメリカの図書館員もまた、本の力を知っていた。だからこそ、一億四千万冊もの本を戦場へ送ったのであると結んでおられます。
これは、簡単に言うと、イソップ童話の『北風と太陽』のような話だと思いました。
そして、先の話に戻るのですが、その本の力を知っているアメリカが戦後、日本から歴史の本をすべて取り上げようとしたという話は本当なのかと思いました。
それ程、日本は酷いことを戦争でやってきたのか。日本人としては大変悲しく思います。
日本史、特に近代史は高校の授業で時間が足りなくて、あまり深く学んできていないので、是非もう一度、日本のしたことや、当時の世界の情勢を学び直してみたいと思いました。
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後半だれて、読むのに時間がかかってしまった。
内容は、面白かった。
物語の必要性を感じるのと、
図書を通じたプロパガンダの怖さも同時にあった。
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第二次世界大戦中に兵士の娯楽・士気の低下防止のために国策として作られた米軍の「兵隊文庫」についての本。ヒトラーが仕掛けた焚書などの思想戦に対して、アメリカは文化を末端まで行き渡らせたというのが対照的なのです。戦争を「文化・娯楽・読書」という切り口で描くのは面白い視点だと思うのです。
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ヒトラ-の『我が闘争』が、高い教養をもつ国民を“焚書”へと向かわせ、人の心を自由にする偉大な本を灰にした。欧州は戦場だけでなく、国家が信奉する思想も攻撃にさらされていた。思想戦における最強の武器と防具は書物であるとし、アメリカは戦時図書審議会のもとで「兵隊文庫」を創設した。本土から何千マイルも離れた前線の兵士のもとへ書籍や雑誌が届けられた。緊張感に晒された兵士たちは、故郷からの手紙と現実から逃れる唯一の気晴らしとなる“ペ-パ-バック”を大切に持ち歩いていた。届けられた本は1億4千万冊にのぼるという。
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“いかなる人間もいかなる力も、思想を強制収容所に閉じ込めることはできない。いかなる人間もいかなる力も、あらゆる圧政に対する人間の果てしなき戦いとともにある本を、この世から抹殺できない。”(p.77)
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図書館の日関連のツイートでタイトルが流れてきて、ブクログの本棚チェックしたら案の定積ん読になっていた…あるということはわかったので発掘せねば(2023.4.30)。
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これは面白い! 歴史、文学、文化、米国風俗史の勉強になるし、なにせエキサイティングで泣ける!
本の帯にはこういう紹介文があります。「戦地の兵士に本を送れーーー第二次大戦中にアメリカが展開した市場最大の図書館作戦の全貌とは?」・・・読むでしょ、これは。
このノンフィクションはナチスの文化浄化、焚書(ふんしょ)の歴史的描写からスタートします。ナチスが燃やすべき書籍の対象とした著者にはカール・マルクス、アプトン・シンクレア、ジャック・ロンドン、ハインリヒ・マン、ヘレン・ケラー、アルバート・アインシュタイン、トーマス・マン、アルトゥル・シュニッツラーが含まれていたそうで、逆説的にユダヤ人著作家達の偉大さが際立ちます。これらの書物は帝国文化院の長ゲッペルスの指導のもと焚書されてしまいます。本を大事にしなければいけないはずの大学生達が率先して炎の中に反ナチス的であると指定された書物が投げ入れられていたそうです。
これに対して米国はまず「思想戦」として本を武器にすることを考えます。ファシズム、帝国主義に対抗する自由民主主義の武器として「本」を活用しようとしたわけです。さらに戦地に送られた兵士のストレスは凄まじく、余暇娯楽の必要性から「兵隊文庫」と呼ばれる簡素な装丁の軽く持ち運びやすい本を大量生産して戦地に送ることを計画するわけです。
この序盤の部分で「アメリカはなんて文化教養水準の高い啓蒙主義の国なんだ!」と両手をあげて称賛する気にはなりませんでした。あくまで「戦争の手段」として合理的にはじきだされた「軍事作戦」の一つであるわけで、我が国の旧帝国軍の非合理性は努めて反省し批判すべきなのは当然のこととして、私がなんとなく違和感を感じたのが1940年以降に文化事業を担う人たちが既に反戦を主張するわけではなく、戦争に勝つために努力を始めているというところです。
それだけ「対ファシズム」という開戦理由は米国民にとって納得性の高いものであったということでしょうし、比較してベトナム戦争が米国民にとってどんな意味を持つ戦争であったのかということを考えてしまいました。
そして本書ではこのプロジェクトに携わる人達の試行錯誤や事業推進の様子がプロジェクトX的扇情的語りよりは随分抑えめの淡々とした文章で描かれます。国民から本の寄付を募る広報の話や、戦地に本を送るロジスティックスの不均衡の解消、出版社とのコストダウンの攻防・・・おそらく現代であっても日本だったら全く違うアプローチで解決されるだろうなという、いちいち丁寧な交渉や話し合いが面白いです。
さらに、私がこの本を読んで特に心を動かされたのは兵士たちの「本」との向き合い方です。
"「(前略)兵士は人を殺す訓練を受け、前線では、筆舌に尽くし難いほど残忍な行為を目の当たりにした。しかし、「私たちの軍の兵士は本を読むという行為をしているのだから、(まだ)人間なのだ、と思うことができました」"(p.56)
"「携帯用戦闘糧食(Kレーション)の包みに貼られたラベルに内容物が記されていると、前線の兵士はそれを読む。とにかく何かを読みたいのだ」"(p.103)
"乗船が始まると、兵士は必要性の低い物を埠頭に捨てた。荷物が重すぎたからだ。埠頭には、兵士が捨てていった様々な物が散乱していた。「後から回収班が埠頭を回ってそれらを集めたが、その中には兵隊文庫はほとんどなかった」兵隊文庫の重さはわずか数オンスで、兵士が携行するものの中で一番軽い武器だった。"(p.145)
"砲撃のさなか、ふと見ると、隊員のひとりが本を読んでいました。何を読んでいるのだと尋ねると、彼は『ブルックリン横町』ですと答えました。そして、❝乳離できないガッシー❞の部分を私たちに読んでくれました。砲弾が炸裂する中、皆で腹を抱えて笑いました。じつに愉快でした。"(p.178)
読書に関するこういった戦場の描写や体験談に出くわすたびに手が震えるような心地になって涙が止まりませんでした。デジタルガジェットに囲まれて安穏と暮らす今の自分には想像しかできない過酷な状況ですが、二度ICUに入るような外科手術を経験した身としては、体力的な消耗が激しくて、でも、精神的飢餓感や不安感がそれほど強くなければ本を読みたいとは思わなかったな、と思い出されるのです。肉体的な辛さを乗り越えてまで本を手に取ろうとは思いませんでした。だけどもこの本では大怪我をした野戦病院の兵士がずっと本を読んで過ごしたというような光景も語られています。戦争という非人間的な環境の中で、兵士が正気を保つために必要としたことが「一人で静かに読書をする」ことであったというのは、とても深い示唆を与えてくれるものだと思うのです。ショウペンハウエルはその著書『読書について』で"読書は思索の代用品にすぎない。読書は他人に思索誘導の務めをゆだねる。"と説いていて、そのことがこの『戦地の図書館』を読んでやっと納得できたいような気がします。狂気にすら片足を突っ込む戦火では、読書は精神を安全圏に退避させ、思索を危うい方向に進ませないためのガードレールになり得るのだと。
最後にはこの兵隊文庫の事業が復員兵の知識教養の向上につながったという話で本書は締めくくられています。
"兵士らは、帰国した時にはすでに、プラトン、シェイクスピア、ディケンズの作品を読んでいた。歴史、ビジネス、数学、科学、ジャーナリズム、法律に関するものを前線で読んだ兵士もいた。そして、大学で学ぶ機会を与えられ、読書に勤しんだように勉学に勤しんだ。砲弾が炸裂する中、蛸壺壕に潜んで本を読んだ彼らは、学業を成し遂げる力を身につけていたのである。"(p.256)
本好きの人にはたまらん系のノンフィクションでした。昨年の年末に求めやすい文庫版が出たばかりです。おすすめです。
2021年の一発目がこの本で、私は幸せを感じています・・・
#本 #読書 #感想文