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一編20ページくらいの、12の短編集。
どの編にもラジオと何かしらの食べ物が出てくる。が、だからといって、必ずしもそれらがこれみよがしに物語の重要な役割を担っているとも限らず、それがまた好ましい。ラジオとは日常に何気なく置かれていたり流れていたりするもので、目を閉じてその声にじっと耳を傾けるのもいいし、生活音に溶け込み聞くともなく聞いているくらいでもいい。その距離感がラジオの良さだと思う。だから、この物語に出てくるラジオが本当に魅力的に感じる。
この物語に限らず、吉田さんの物語に出てくる職業が相変わらずユニークだ。みんな、本当にこの世界の何処かでひっそりと暮らしていそうと思えるくらいに素朴で、それでいてどことなく儚い。最後の「最終回の彼女」が特に好き。「何かを見つけることだけが大事なのではなく、何も見つからないこともひとつの結論なのだと思う」というフレーズに、少し肩の力が抜ける心地がした。
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「静かな声」のラジオが片隅にある、短編集。
マリオ・コーヒーがいちばん好き。私にもそんな店があればいいのにな。
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ラジオと食べ物が紡ぐ12の短編集。
面白かった。
話が細く繋がってるのも良かったな。
アリスに逢いたいしヨイッパリベーカリーにも行きたいしお茶漬けも食べたい。
紙かつは必ず作らなきゃ。
吉田さんの世界はやっぱり面白い。
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あー、とても好き。
ふわふわ迷い込む。
想像する紙カツみたいな食(読)感。さくさくじゅわじゅわ。
そっと生活に寄り添うラジオの名脇役ぶり。
クラフト・エヴィングラジオで話題になっていたけど、やっぱり、食べ物は美味しそうです。笑
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台所のラジオ。
吉田篤弘の作品を表すのにぴったりだ。
おいしいスープを作りながら、耳を傾ける、幸福。
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「明日、無人島に行くことになったら、今夜、何を食べるか」
たまたまラジオから聴こえてきたその質問に思いを巡らせていた美々の携帯が鳴った。
相手は幼馴染みの直人くんで、突然東京駅に呼び出されるが......(「明日、世界が終わるとしたら」より」)。
ラジオと食べ物を巡る12の物語を収めた短編集。
2016年6月11日読了。
割と、読書に関してはせっかちな方だと思う。
だけど。吉田さんの本を読むときは、ゆっくり読みたくなってしまうのが不思議。
今回も12の物語をゆっくりゆっくり、味わうように読んでいました。
私の中での位置づけは大人の童話。読んでいるうちに、忘れかけていたものを思い出させてくれるような、そんな不思議な気分になるのです。
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ゆるくリンクしている12の短編集。食とラジオにまつわるお話。人情味のあるものや、不思議系のお話、吉田さん独特の世界観が広がっています。この本をゆったりと読んでいる時間そのものを楽しめる作品だなと感じました。紙カツに梶原ソースをかけて食べてみたい!
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+++
昔なじみのミルク・コーヒー、台所のラジオと夜ふけのお茶漬け、江戸の宵闇でいただくきつねうどん、子供のころの思い出のビフテキ…。滋味深く静かな温もりを胸に灯す12の美味しい物語。『ランティエ』連載を単行本化。
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さまざまな場所、さまざまな状況で、台所に置いたラジオを聴く――あるいは聞くともなく聞く――時間。ラジオのなかで話す人の声と、その声を耳にした人たちとが、ひとつになるほんの一瞬があるのかもしれない。いろんな場所にあるそれぞれ別の台所に、ぽつんと置かれたラジオと、そこから動き出す情景が目に見えるようである。実に現実的なようであって、ほんの少しばかりのずれのなかに迷い込んだような、吉田ワールドが堪能できる一冊である。
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台所に置いてあるラジオからの
静かな話し声が少しのきっかけになり
ちょっと変わった人たちの
静かで温かいお話の世界に
安心してどっぷりと浸かる読書の時間でした
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久方ぶりに浸る、絶妙な世界観。少しずつリンクしていく感じが心地よい。
寝る前に読む本として、最適ですよ。おやすみなさい。
2016/8/13読了
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短編集12編
一人暮らしの狭い台所に,誰もがラジオを置いていて,低い声で喋る女性の夕方の番組を聞いたり聞かなかったり.短編ながら,人生の一部を切り取ってその後の人生を決定づけるような,鮮やかな切り口で物語る文章のさえに感服.少し現実とはずれた世界,何処かボタンを掛け違ったような登場人物達,不思議な味わいがある.「夜間押しボタン式信号機」は少し怖かった.
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静かな声で話すラジオ、口にするものと生きるということ。
吉田さんのお話に出てくる、少し偏った人たちが大好きだ。
ラジオにしろ、本にしろ音楽にしてもそうだと思うのだけれど、いろいろな人の暮らしに自然に寄り添って、入り込んでいて、そういう受け手の一人ひとりに、「物語」があるのだなあ。
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ラジオと食べものが出てくる20ページずつくらいの短編集。短編同士がちょっとだけ繋がっていることもある。吉田さんの作り出す現実のようで現実でないような不思議な雰囲気の話。大好き!心に残る話ではなく、むしろ吹けば飛ぶようなふわふわした話で、内容はすぐ忘れてしまうけど、読んでいる間はほんわか幸せな気持ちになれる。あったかいスープを飲んでほっと一息しているような、その時だけの幸せ。買って手元に置いておきたい。
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あぁ いい物語に浸りたい。
ラヂヲだからこそ
膨らんでいく想像と不思議。
「らくだこぶ書房21世紀古書目録」
の中に入っていても不思議ではない。
全てに 当てはまる 一冊です。
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ラジオから夕方に流れる番組。
少しけだるげな女の人の声。
邪魔にならないような音。
…それがずっとバックに流れているような感じの短篇集。
商店街放送がずっと流れているのはうるさくて嫌です(笑)
不思議な雰囲気の、いつもの吉田ワールド。
日本人の名前が付いた人物ばかりだけど、現実にあるような気がしないお話の世界。
仕事に対する名前の付け方が独特だ。
分かったような気もするし、正直良くわからない話もある。
時々食べ物の描写がひどく美味しい。
「ある」物が描かれていないような気がする。
それを描くためにまわりの物を描く。
そうすると、描かれなかったところの形が浮かび上がる。
そんな風にして「ない」物を描くのが吉田さん…なのかな。
紙カツと黒ソース/目薬と棒パン/さくらと海苔巻き/油揚げと架空旅行/明日、世界が終わるとしたら/マリオ・コーヒー年代記/毛玉姫/夜間押ボタン式信号機/〈十時軒〉のアリス/いつか、宙返りするまで/シュロの休息/最終回の彼女