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青山文平さんの新作、短編の切れ味はさすが、好きな作者の1人である。
人は複雑な理由では動けぬものだ、1行で書き尽くされる理由でのみ、人は動ごく。
歳食ったら、人は丸くなるってのは、あれは外してるぜ、
年を送るほどに、カンニングする歯止めが消えてゆく、たっぷりと世間を見てきて、我慢のしがいをを感じていない
何も考えずにものを言うから、言葉が勝手に毒を持つ、
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御家人から身上がりして、一代御目見の「半席」から永々御目見の旗本になることに励む片岡直人であったが、徒目付組頭の内藤雅之からの頼まれ御用をこなすうちに、人の世の裏側の見えない真実に思いを馳せるようになるが・・・
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読書記録です。まだの人は読まないでね。
「半席」「真桑瓜」「六代目中村庄藏」「蓼を食う」「見抜く者」「役替え」同じ主人公の短編集。
表題の「半席」で半席とはなにか、主人公はどういう人物なのかを説明しています。他の作品にも短編であるがゆえに必ず導入される部分だけど、内容によって少しずつ変わっているところがあって、この短編はココなのね、と。あと、たわいないおしゃべりの相手が都合よくヒントをくれちゃうところもわかりやすい。一気に読めておもしろかった。
サムライって現代のブラック以上にブラックで、こんなにも本人の適性や希望が通らないものなんだということがやっと理解できました。父から長男へ家督を継ぐということが、どれだけの重圧なのかも。
主人公の時代は、罪を認めた咎人に「なぜ」は必要ない。その罪に見合う刑罰を受けるだけ。「なぜ」を掘り出すことは主人公の身を危うくすることもある。それでも知ることで何かが変わるという人臭さが救いになるお話でした。
現代は「なぜ」によって刑罰が変わる。時には「罪」よりも「なぜ」が重視され、見合う刑罰も軽重が変わり禍根が残る。
知ったがゆえに救われない人がいる。難しい。
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上司と部下の尊敬と信頼が最後にグッときた。尊敬される人間から必要とされるのは自尊心をこの上なく満たす。 ただ、私には難しい言葉が多くて読み進んで戻ってを繰り返した。江戸、要勉強。
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時代劇ミステリの短編6篇。
徒目付である直人は半席から脱出するため御役目である勘定方を目指して勤めていた。そんな中で上司である内藤から頼まれ御用を依頼される。
ミステリとしては何故を問うホワイダニット。そこには時代ならではの動機が多い。それだけに先が読めず面白い。
ただホワイダニットよりもハウダニットの方が好み。
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時代もので堅苦しい雰囲気ではなく、面白いと思わせる作品です。
なぜを追求することで、浮かぶ構図や主人公の成長など物語が展開していく。
次もありそうな最後でしたね。続編が出たら読みたいですし、この人の他の作品も読みたいですね。
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このミス4位なので読んでみた。
徒目付の片岡直人が探偵役となって、事件の「動機」を探る短編集。
正統派時代小説はあまり読んだことがないので、一代かぎりの「半席」、徒目付の職務、勘定所との関係などこの本で初めて知った。
片岡が上司に依頼される公務以外の頼まれ事は、犯人が犯行を自白して決着がついているのに動機だけがわからない事件である。黙して語らぬ犯人に「なぜ」を語らせるために、刑の執行までの短いあいだに真相を推理して犯人にぶつける。ホワイダニットの面白さもあるが、それよりも実直に生きていた武士たちの胸に秘め、長年こらえてきた想いが明らかになるところに切なさ、哀しさを感じた。
それにしても文明開化の前はみんな五十歳くらいで死んでいたと思っていたが、八十歳になっても隠居せずお役についている武士がけっこういたらしくてびっくり。
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六つの短編を集めた連作集、「半席」という言葉を初めて知り、青山文平を初めて読んだ。
どれも高齢の武士がらみなのは現代の高齢化社会を意識しているのか。第一編の『半席』でもう片岡直人は半席のままでいることになるのだろうと見当がつき、多分シリーズ化されると予想している。シリーズ化されることで、作者の代表作になるのだろう。消えてしまった沢田源内の行方が気になる。
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短編が6つ.主人公は旗本への昇進を夢見ている徒目付の片岡直人.上司の内藤雅之から頼まれ御用を受けて,事件の「なぜ」を探っている.どの話も楽しめる筋書きで,江戸時代特有の言葉が頻出するが,文中でうまく解説してあるので,この点も楽しめる.謎解きのヒントをもらう沢田源内(島崎貞之)の存在が面白かった.特に「見抜く者」の村田作之助の武士としての独白が良かった.
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私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2017.2.2読了
設定も面白いし、直木賞作家の手になるものだから拙い訳はないのだが、文芸誌掲載の短編の集めだからか、同じことの説明が何度も何度も出てくる。そして、少し説教くさい文章で、大部分はそれを読まされるとなると、「なぜ」を見出す巧さよりも嫌気が先に立って来る。
もうこれは星2つで、受賞作家なのに、と、くさそうと思いながら終いの「役替え」を読んでいましたが、本当に最後の一場面が、何故か心にグッと沁みて、何とも言えない良い気持ちになったのであります。
うーん、でも長編への期待を込めて、やっぱり星2つかな。
短編、ひとつだけを読んだら星4つのが多いね。
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江戸時代の徒目付・片岡直人が事件のなぜを追求する6つの短編集。事件を通して、片岡の半席という立場をかいてある。が、江戸の役人の出世に共感が持ちにくい。
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片岡直人は小普請世話役から徒目付に移り既に2年。
「半席」から抜け出し、旗本へ出世することだけを思い
務めている。
上司の内藤雅之から振られた事件の〈なぜ〉を解明するため
寸暇を惜しんで走り回る。
『六代目中村庄蔵』が良かった。人の情けが悲しくて・・。
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この人の本は「白樫の木の下で」だけしか読んでないけどすごく良かった記憶がある。
この本も良かったです。人によっては物足りないかも知れませんが。細かいお役目とか分かりにくいですか、謎解きも人間味豊かで、それ以外にも旬の食材の話とか、なんかそれを肴にお酒飲みたくなるのもたまらない。
これってこれで終わりなのかしら…?
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時代物のミステリ。起こってしまった事件が、『なぜ』起こってしまったのか、その動機を見極める『見抜く者』になるため、葛藤しつつ成長する主人公がいい感じです。上役もいい味出してて、登場人物が皆魅力的。主人公以外の平均年齢は高めですが(笑)。 続きがあるならぜひ読みたいと思いました。
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江戸時代を舞台にホワイダニットに特化した推理短編集。
旗本目指してお勤めに精を出す無骨な下級武士の青年が、
上司から頼まれ、既に犯人が捕まっていたり
目撃者がいて子細が明らかになっている事件の”動機”を調査する話。
動機はいずれも些細なことだけど、その些細なことが毒のように悪意を満ちさせていく様がリアル。
あと、特筆すべきは食事の描写のすばらしさ。
落ちさごの卵の塩辛、蛤と卵を合わせて蒸した時雨卵、焼き塩振って遠火で炙った黒鯛の若魚、青柳の蓼酢に里芋の土垂等々。
細かいところでは、事件の目撃者が鱮釣りは鱮の淡さを楽しむ釣りであるという持論を打つ場面も良い。
老侍が釣りの最中に筏の上を走って入水した事件を追う表題作、
老侍の集まりで出た真桑瓜が原因で刃傷沙汰になった「真桑瓜」、
忠義者の使用人が自分に良くしてくれていたはずの主人を殺した「六代目中村庄蔵」、
ドブ攫いをしていた侍に隠密筋の者が斬りかかった「蓼を食う」、
相手の攻めを受け続けて疲弊させて制する念流の遣い手が襲撃された「見抜く者」、
ひょんなことから旧友の父から命を狙われることになる「役替え」の6編を収録。