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4つの短編を集めた作品集で、病気や子どもの自殺、介護など、どれもテーマは重い。
謎が解き明かされると、なるほどとじんわり沁みてくるし、真面目で地道なよさは確かにある。でも、『傍聞き』『教場』もそうだったように、残念ながら時間の経過とともに私の記憶からは消えてしまいそう。
個人的には、トリックもいいけれど、地味なりの深みや凄みが加わってほしいな、という感じ。
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おもしろかったぞ
キレのある短編集。凝りすぎて、もしくは読み手の努力と理解力が不足していることでわかりにくい作品もあるものの、どの作品もなかなか手応えがあって満足。
彼の作品は、短編集だからなのかどれも背景の説明がさらっとしている。だから、謎解きというかトリックというか、真実にスポットライトをあてるラストが際立つ。逆に言えば、そこですべてを理解しないとさっぱりおもしろくないわけだな。この意味で、おもしろいと感じる打率は60%くらいかな。残り40%は、なんとなくって感じになっちゃうのが少し残念。
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短編集。まったく違う内容での4編。「教場」しか読んだことがなかったけれど、全体の雰囲気はよく似てる。小説慣れしていないひとも、読みやすいかな。
2016/10/16読了
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短編集。
どの作品も仕掛けがあって、あっと驚かされます。特に『秘薬』は良かったです。
『傍聞き』がとても良かったので長岡さんの作品を読んでいるのですが、どうにも読後の重苦しさに慣れることが出来ません。イヤミスなのか社会派なのか、文章が淡々としていて救いを感じられないからなのかもしれません。否、『秘薬』のように光を感じられる作品もあるのでしょうけれど、それが伝わりにくいということなのかなぁ・・。うーん。
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4つの短編構成でした。どの短編も身近な人間に対する洞察力というのがテーマですかね?4編とも単調な展開だっただけに、やや読むのに難儀したような気がします。
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4篇の物語。
表題作『赤い刻印』では刑事である母と中学3年の娘の物語。
朱い手形と足形。
そして拇印。愛の証。
母がそうしてくれたから、私も娘に。
その愛がどういう形で過去の事件に結びつくのか。
互いに大切に想い合っていたが故の悲劇に苦い気持ちが広がる。
『サンクスレター』
息子が自殺した原因を探して常軌を逸した父の姿が描かれる。
秘密を書いたメモ。
それのせいで息子は死んだ。
そのメモを持つ者は誰だ。誰だ。誰だ。
そんなことで、人はこうも簡単に命を捨ててしまうのか。
結末はハッピーエンドではないが、救えた二つの命を思えば、この後味の悪さもうすまるだろうか。
『手に手を』
介護が必要な母と弟の間で辛抱を繰り返す女性の物語。
介護の苦しみを私は知らないが、看護の疲れは知っている。
幼い子が小さいなりに考え、助けようとしてくれる、そんな優しさも。
だから、この物語の初読ではわからなかったことが、二度三度と読み返した時急にわかったのだ。
そこにある優しさ、思いやりを。
区切ることで人は頑張れる。
ここまで、と決めるから頑張れる。
いつか、私もその区切りが見える日が来るだろうか。
辛抱。
一本加えられた線は誰かの手。
その差し出された手があるから、未来の「幸」を信じられるのだ。
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ミステリー仕立ての短編集。それぞれ何かを抱えている女性が主人公で、その“何か”を荷下しするまでの話。さっぱりした話ばかりで物足りない感じもあるかな。
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4話からなる。
「赤い刻印」
親から子へ、子から孫へと、受け継がれて行った赤ちゃんの手形。
そして、名前のない贈り物 お守り。その生地に描かれたナナカマド。
一つ一つの暗号のようなものが、最後に、結論を引き当てる。
母親が、自分の生みの親の犯した罪を暴くことになる。
「秘薬」
頭の側頭部に血腫で、倒れた水原千尋。
もうすぐ薬理学の試験があるのに、覚えられない。
少しづつ、身辺整理をしつつ、薬の一覧表で、名称、効能、用途を暗記する毎日であるが、、、、記憶障害であろうか?、、
自分の準備をするたびに、後からペナルティを科すことに解決策を考えた久我に、千尋が、取った行為は、ビックリするものであった。
「サンクスレター」
子どもが無くしたメモ。
それだけのことに、校舎の3階から飛び降りて自殺した息子。
好きであったカードゲーム。
そのカードゲームで、引き当てた子供は、、、我が子の臓器を移植した子供であった。
「手に手を」
介護の問題である。
母親の介護と、186㎝100キロの弟の面倒を見ないといけない和佳は、婚期も逃し、ストレスをためている。
幼友達の医師海老原が、母親の病気を診てくれるのだが、、
口承法の漢字の覚え方「辛抱」の「辛」に一棒足して「幸」にするんは、、、
スーッと小説の中へ入って行けるのだが、暗号のような、一つ一つをジグソーパズルの空いたところにはめていくような小説である。
ピタッと収まっても、答えが出るような話でないのが、少しすっきりしないのであり、又ほかの作品は同なのかと、気になる作者である。
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長岡さんの、巧みな構成が光る短編集。
人を思いやる心、真実にたどり着きラストにハッとさせられる。
表題の赤い刻印は、「傍聞き」の母娘が出てきます。
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4篇の短編集。表題作は『傍聞き』の母娘が成長して登場。でも最後の指紋の件はよくわかんないんだよね。チサの指紋をとったってこと?なんのために?分からなくてすっきりしない。話自体はいい話だと思うけど。生き別れになった親子なんて、今の時代もいるのかな。『サンクスレター』はどんでん返しで良かった。ほんと先生は大変だ。
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赤い刻印は良かった。これを読むために傍え聞きを読み直した甲斐があった。
手に手をは私的には恐ろしかった。とてもキツい日々だとおもう。最後のその選択は私はしないかも。
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本書は短編4作で構成されています。いずれも“生“に関するストーリーです。医学書にも載っていない数少ない症例の病気になった医学生は、新しいクスリの名前を覚える度に、何かを失い、何かにけりをつける。どうしたら“生“に向かって進めるのか。
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人間の繊細な心の動き、哀しみ、憂い、
怒り、驚き、怯えが細やかに描き出されている。
この作家さんの短編には、いつも、唸らされる。
いつのまにか、思いがけない結末に導かれ、
それでも、違和感はなく、納得してしまう。
「傍聞き」に登場した母娘が再び登場する
表題作の「赤い刻印」ほか、3編。
中学三年の菜月は、刑事である母、啓子から、
自分には二人の母親がおり、実母はまだ生きているのだと
聞かされる。
そんな母のもとには、毎年春、お守りが届く。
送り主はわからない。
そして、物語は、ある事件への結末へと繋がっていく…。
(「赤い刻印」)
主人公の女子医大生が記憶障害に陥る。
医師になる道は閉ざされた。
だが、物語は淡々と続く。
一日一日、記憶をなくしていく彼女に
医師は日記を書くよう指示するが…。
(「秘薬」)
小さな謎が解き明かされる時、
心が動かされることに気づく。
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刑事である母に毎年届く、差出人不明のお守り-。秘められた想いが、封印された過去を引き寄せる。「傍聞き」の母娘が再び登場する、全4編のミステリー集。
日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞した「傍聞き」のことは自分では覚えているような気がしたけれど、梗概であの「母娘」と言われても全く覚えていなかった。その表題作は印象的だったが、他の3篇はそれほどでも…。
(Ⅽ)
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図書館本。
●収録作品●赤い刻印/秘薬/サンクスレター/手に手を
どちらかというと長編が好きで、短編集が苦手、でも、長岡弘樹さんの短編を読む機会があり何度か読んで…抵抗なく楽しめたので他の作品も読んでみたいなと思ってのチャレンジ。
決して派手な作風ではなく、静かな穏やかな雰囲気。
でも、時々ぞくりとする展開もあったりして。
この本には四つの作品が収録されている。
連作というわけではなく、それぞれ別のお話。
*****
『秘薬』以外は家族のことが主に関わるお話の印象。
『赤い刻印』の母娘については『傍聞き』という作品にも出ているらしいので読んでみたい。
今回はちょっと設定が出来すぎている気はしたけれど。
以前にも登場したキャラだからか主人公母娘のキャラクタができてしまっていたので、これも『傍聞き』を読んでいたらもっと楽しめたんじゃないかなぁと。
『秘薬』も主人公がけっこう大変な状態なんだけれど、周囲のひとがあったかくていい。
タフさを少し取り戻す主人公も良かった。
『サンクスレター』も設定がちょっと…偶然って言ってもなぁ…なんて。
でも、ぐっとはきた。お父さん…。
『手に手を』は静かにひたひたと物語が進む感じが主人公の心の澱を描いているようでもやっとした不安感を抱きつつ読んだ。
お医者さんのキャラクタがお気に入り。
設定がなんだと野暮なことも言いましたが、全体として楽しく読むことができた。
他の作品も気になっている作家さん。