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コンゴ(ザイール)で類人猿のボノボの保護区で働く母のもとへ、米国の学校から休暇で戻ってきていたソフィーは、売買が禁止されているボノボの赤ん坊を買ってしまう。いくら可愛そうでもボノボがお金になるとコンゴの人々に思わせてはいけないのだ。こうして保護センターで育てられることになったボノボ・オットー。しかし、母親が仕事でセンターを離れている間にコンゴに反乱が起こり大統領が殺され、国内は無政府状態になってしまう。国連軍による欧米人の救出にソフィーは、オットーを残していけないと逃げ出してしまう。そこから、ソフィーとオットーの壮絶なサバイバルが始まる。
ボノボの習性等は、事実に基づいているそうだが、このサバイバルは運が良かったとしか思えない。コンゴの自然も、戦争中の人間の心理ももっとシビアなのではと思う。
それを差し引いての星の数にしたつもりです
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きっと密林のジャングルはこんな風なんだろう
きっと内線下の状況はこんな風なんだろう
きっとボノボたちはこんな声をあげるのだろう
きっとボノボたちはこんな関係を持つのだろう
小説であるからこそ描ける「物語」がここにある
きちんと裏付けされた「事実」がより迫真の「物語」になっている
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コンゴ民主共和国人の母とアメリカ人の父を持つコンゴ育ちのソフィーは、8歳の時に両親が離婚し、アメリカに移住した。夏休みを母と過ごすためコンゴへやってきた14歳の彼女は、ある日痩せて弱ったボノボの赤ちゃんと出会い、いたたまれなくなって買い取る。母親が運営するボノボの保護センターへ連れて行き、必至に世話をし、なんとか命はとりとめたが、しばらくして母親の長期不在中、首都で戦闘が起きた。電話も通信回線も使えなくなったうえ、暴徒はセンターにまで押し入り殺戮する。彼女はオットーと命名したボノボの赤ちゃんとともに生き延びる道を模索する。
絶滅危惧種のボノボと14歳の少女が織りなすサバイバル・アドベンチャー。
コンゴ民主共和国の限られた地域にしか生息していないボノボの生態と、かなり好ましくない環境がよくわかります。
半面、首都のキンシャサで戦闘が起きたなどと、事実と反する記述があるため、フィクションでありながら、現実と混同してしまう虞があります(この戦闘がフィクションだということはあとがきで触れられていますが、そこまで読まない子どもは多いかも知れません)。
さらにソフィーが捕らわれたオットーを助けるために兵士たちの中に入り、少年兵をうまくごまかして逃亡した場面などはあまりに現実離れしていて残念です。
加えて、逃げ出したボノボが大統領の冬の邸宅で楽しく暮らしていたなんて!そこまでの彼女たちのサバイバルと戦闘員たちの殺戮を考えると、もうファンタジーです!
最後の方で生き延びたオットーがしつこい咳に悩まされていたのは何かの伏線だと思いましたが、最後までそれに触れられることはありませんでした。では、あれはいったい何のために???
などなど、ツッコミ点はまだまだあります。
でも、ボノボの生態と、その問題の多い環境について考えるきっかけにはなると思います。