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二十年ほど前の小説を、
大幅に加筆したものであるとのこと。
犯罪に手を染めてしまった弱者の心理描写が絶妙。
スマホ、SNSが物語のカギになっているため、
再編前の本作も読んでみたい、と思った。
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一気読みだった…。読みやすくもあるけど2人の女性が同じ境遇から逃亡する心境がわかりやすく先が気になる。しかし、鬼畜な男どもに、不倫のなりの果ては犠牲になるのはやはり子供なのか…読破後はなんとも言えない、「せつなさ」が残る本でやるせない。救われたのがユミの最後の一言に心打たれる。それだけが、救いだった。ドラマにもなったみたいだが…なんとも言えないなー
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並木響子は、藤森産業の社長の御曹司である藤森祐介を殺害した。容姿を変え、名前を変えて藤森産業の清掃員として働き、約三年間ずっとこの機会を待っていた。娘の可菜を自殺に追いやった藤森にとうとう復讐を遂げた響子は、その場に呆然と立ち尽くしていた。もう捕まってもいいし、死刑になっても構わないと思っていた。可菜のいないこの世界で生き続けることに、なんの意味も未練もないから。そこに突然道田ユミという若い女が現れ、響子の手を引いて何故か逃亡の手助けをしてくれた。ユミもまた藤森を殺すつもりだったのだ。どうして響子を助けるようなことをしてしまったのか、ユミ自身にもその理由は分からない。この場を離れ、響子を人目につかないところまで連れて行き、そこで別れるつもりだった。ユミは明日、横浜を出発するコンテナ船に密航して、フィリピン経由でスペインに行く予定だった。あるところから奪った三千万という大金とともに。
でも実際、事はそんなにスムーズには進まなかった。次々とトラブルが続く。そんな中で、年齢も性格も育った環境も全く違う二人は、自覚もないままに、いつしか見えない絆で結ばれていった。
二人の女性が抱える哀しい過去は、それぞれが受け止めてくれるべき人に語られ、読み手はそこで真実を知る。同じ女性として耐えられない経験だ。辛い。
ジェンダーレスだなんだというが、やはり女であるということはある意味弱い。どうしようもない弱さは仕方がない。それが辛い。
心に残った印象的な書き方がある。
ー病院の待合室で、妊婦とその付き添いの女性の屈託のない笑い声を憎みそうになった。
ーかつて自分が勤めていた会社の電話番号を、15年経ってもまだ覚えている自分に傷つきそうになった。
ー70代半ばの仲の良い夫婦が交わす笑顔に、労り合う愛を感じて傷つきそうになる自分を哀れに思った。
響子はいつもそうなりそうになっただけで、そうならない。なれなかったのか。
最後はどうしようも悲しくて、やりきれないほど切なくて、思わず涙がこぼれた。
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冒頭部から物語に没頭し、続きが気になってやめ時に悩む1冊でした。
お互いの素性を知らないままの響子とユミに、読者として、観測者として「それはこういうことなんだよ!」と何度教えてあげたいと思ったことか…。
最後の一文が印象的でした。この作家さんの他の本も読んでみたいと思いました。
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涙なしには読み進められない…どうしようもない現在を変えるためにどうしようもない奴に復讐して逃げる、そんな状況でもまだ信じられることもあるなんて。最後のシーンはやるせないけど、きっとこの方が良かったんだと、書かれていない未来を想像したいと思う。