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食べ物に敏感でその産地から作り手の気持ちまで感じてしまうローズ,その生きにくさを思うと怖くなるほどだ.9歳からその能力?に目覚め,ただ生きるためにあるいは食べるために払う努力工夫に圧倒される.そしてその兄のジョーのまた変わった性質,違う物の世界へと侵食される様な形に,ローズだけは気がつく.ただ生きて行く事の大変さにおずおずと手探りしているかの様な,そんなローズの人生に幸せが訪れそうな予感で物語が終わって,ほっとした.ところで,お父さんの能力ってなんだったんだろう.それがとても気になる.
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子供の頃の私は、用水路に落ちた汚い葉っぱのようなもので、生きてるのか死んでるのかわからず、むしろ自ら仮死状態を装っていました。
時々まれに覚醒することがありました。その1つに、自宅にて、ロッテから発売していた「ジャフィ」というオレンジジャム入りのチョコレートビスケットを見つけた時です。後からなんと言われようが、とにかく限界まで味わいたい、とリミッターが外れる美味しさでした。エイミーベンダーはもう読まないつもりでしたが、表紙のずるさに負けました。また余計なことを書いて感想は書かないというね。。。
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おもしろかった。半分くらいご飯の話していた気がするけど、主人公の能力の影響で、読んでいてもお腹がすいてこなかった。著者のあとがきの「感じやすい人々」という表現はなるほどそうかと思った。どこか発達していると人の感情の機微に気が付きやすくて、生きづらい。うまい呼吸の仕方を見つけられる人もいれば、特定のものごとを避ける人も出てくるし、もちろん生きていけない人もいる。そういう話なんだなあと思った。
訳のせいか元々の文章のせいか分からないけど若干読みづらい文章だった。
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面白かったです。エイミー・ベンダーの本を読むのは久しぶりでした。
料理を食べると、作った人の感情が解ってしまう力を持つローズが哀しくも、でも料理に携わって生きていこうとする光を感じました。
彼女の家族もつらくて…ローズの兄のジョゼフは世界を手離して、椅子になってしまうのでしょうか。そこがよくわからなかったのですが、この作者さんらしい不思議さでした。
空気を読む、とかのレベルでなく、人の感情が解ってしまうというのは大変な能力です…人の秘密や、知りたく無いことまで知ってしまう、というのは悲劇です。
それでも絶望せず、最後は進む道を獲得するローズが眩しかったです。ローズの能力を知っている、ジョゼフの友人のジョージが良い人だったというのもありますが、ローズ自身の力も大きいのではないかと思いました。
アメリカの料理は美味しそうだというより大柄だなと思っていたのですが、ローズが働くカフェの料理は優しく美味しそうでした。
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・いかに愛していても親は子どもを傷つけることがあるんだなと思いました
・お父さんが病院に入れない/医療ドラマは好き の理由が最後にわかったのがよかった
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特殊能力やアリエナイコトが起こるこの物語を、ただ深い意味のないファンタジーと捉えることもできるかもしれない。
でも、誰かの心の中で起こることは、その人の中での真実。現実とそうでないことの境目は、常に曖昧だ。自分には信じられないからと、それを嘲笑ったりたしなめたりすることが、なんの役に立つのだろう?
著者のエイミー・ベンダー氏に、「あなたはどこまで他人の真実を受け入れられますか?」と聞かれているようだった。
“食事はあいかわらず食事だし、食べ物はあいかわらず決まったはじまりと終わりのあいだにある、そして私は自分に食べられるもの食べられないものを自分で決められる、と。そして父の場合は完全に避けて通ることもできる病院であり、おじいちゃんの匂いの場合はどうやらお店でのことらしかったけど、もし、ジョゼフが毎日感じたことにはそんなはっきりしたかたちがなかったのだとしたら、どうだろう?避けることも、変えることも、できなかったのだとしたら?いつもそうだったとしたら?”
わたしたちは例え家族であっても、肌をどんなに重ねも、感覚を、思考をひとつにすることはできない。椅子になってしまったジョゼフは、その孤独さを常に感じていたのかもしれない。
愛情を注いでも、あなたが必要だと言っても、それは彼の孤独をさらに強めるだけで、彼の救いはただのものになること。ローズはそれを理解したが故に、あの「最後のお願い」をしたのではと思う。
わたしはローズのようにその選択を尊重できるだろうか。彼の選択を尊重するということ、それが正しいのかすら、今のわたしには、わからない。
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本当にこの人の翻訳がとても読みづらくて苦手。でもエイミーベンダーの小説の雰囲気は好き。でも私が読んでいるのは翻訳版のみ。結局私はこの読みづらい翻訳の雰囲気が好きなのか?
"そんなにちがったことだったのだろうか、私がまだ工場で作られ自販機で売られる食べ物を食べるのを好んでいたことは?… そのころ私は十二歳くらいだった。学校であの自販機がなかったなら、いったいどうやって一日を過ごせたことか、わからなかった。私は、ありがとうというお祈りを自販機にむけ、毎晩それに商品を補充する人、また商品を買う人にもむけた。
それははたしてカードテーブル用の椅子を選ぶことと、それほどちがったことだったろうか、ただ私の選択は私がこの世界に留まることを許し、彼の選択がそうでなかったことを除けば?"
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ファンタジー?文学?
あらすじ
9歳の誕生日、母が作ったレモンケーキを食べて以来、食べ物を作った人の感情がわかるようになった私。それを知っているのは、兄とその親友。兄は天才で、人を寄せ付けないタイプだったが、大学に落ち、一人暮らしを始めた。前から時々姿を消すが、ますますひどくなる。母は浮気を始めた。父は無関心だ。兄の親友は優秀で大学で地元を離れ、楽しそうだ。実は兄も能力を持っていた。家具に溶け込める?ことができる。しかしコントロールできないし、だんだん家具の中にいる方が心地よくなってしまったようで、ついに姿を消す。私は力を使ってカフェで働き始めた。
多分ヤングアダルトだけど難しかったなー。海外のファンタジーってわかりにくい。でも静かな雰囲気とか、それぞれの登場人物が混乱しながらも生活している様子とか、主人公の静かな失恋とか丁寧に書かれていて、読んでいて落ち着いたので最後まで読んだ。
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たまらなく愛おしい物語。
エイミー・ベンダーは人間の感情を描くのがほんとに上手い。
母親のこさえたケーキをかじった9歳のある時から
食べ物をこさえた人の感情しか味として感じられなくなる少女が成人するまでの物語。
この一家の秘密と、兄の悲しすぎる能力に衝撃をうける。
人間は渇望と虚しさを飼い慣らして生きていくが
それに食い殺されるのもまた、人間らしい気がする。
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食べ物から作った人の中身を読み取ってしまう9歳の少女ローズが、その能力故の辛さを抱えながら成長していくストーリー。
ローズの天才的な理系少年の兄は成長とともに、自分より優秀な少年達が多く存在することを知って内にこもっていく。その兄には説明も理解もし難い能力がありローズだけがそれを理解する。
この特殊な兄妹に対して両親は基本的に普通なので、このストーリーを現実世界から浮遊させることなく読み進めます。
ローズの未来に希望を感じつつ、兄のことが気になって、心にざわざわ感が残りました。
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靄に包まれるような気分でした。現実的でそれでいて非現実的だと思いました。短い文を重ねることからたくさんのこころを感じました。
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最初の3分の1くらいは、どうしたものかと思いながら読んでいたけれど、真ん中過ぎからは止まらず、一気読み。
翻訳にクセがあるのは、詩人の方が訳しているからか。
びっくりするような誤植がいくつかあったのは残念。
不思議で、予定調和のない世界観、どのキャラも痛烈な個性を持っていることが魅力。
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文体が慣れなくて最初なかなか読み進められなかったけど、真ん中ぐらいから一気読み。
お父さんやお兄ちゃんのことが結局どうゆうことなのかよく分からなかったけど、予想通りの終わり方でした。
私小説っぽい?
好きな人はハマりそうな小説だけど、私にはもう少し短い方が読みやすいかも。
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まさに感受性という言葉にぴったりな物語だった。表現という表現がセンシティブ(本来の意味で)すぎる。このお話を読んでいるとまるでローズが何か人の作った食べ物を食べた時のようにローズの感情を感じられて、だんだんローズと同調してくるようで、一気に読むには少し重かった。少しインターバルが必要。文章の意味を追わずに表現だけをうっとりと眺めていたいと思った。
時折登場人物が「へい(Hey?)」というところだけ翻訳が気になった。舞台がアメリカと考えれば自然(?)な呼びかけか。
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表紙とタイトルに惹かれて手に取ってみた。
親目線で読むと、母親が終始気の毒で辛い。
ハッキリとした結末を期待して読み進めたけど、釈然としないまま終わってしまった。
翻訳は、洋書を読んでいるような気分になれてとても良かった。