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陰謀論者や、いわゆる放射脳をこの本で殴りたい。現状のまとめ資料として大変優れている。図版や「いちえふ」作者のマンガを読むだけでも価値はあるし、専門家、現場に近い人ほど書かれている文章が響くことだろう。
「いちえふ」に始まり「いちから聞きたい放射線のほんとう」「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」などの良書を経て、本書に行きつくのが良い。
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いくら公平に評価を定めても反対する人は反対する。しかし福島という町は確実に前に進んでいることも事実、その裏にはここに書かれているようにいろいろな分野の人が一生懸命に働いてくれている。
このような人たちにまず敬意を表する。それからでも反対することは遅くはない。そして本当に今自分が思っている状態が事実かどうかそれをしっかりと調べ把握することにより自らの論の価値が上がることを肝に銘じるべきだ。
自分の頭の中では真実は一つかもしれない、だが立場による真実はいくらにも考えることができるものだから本当の真実が何かを見つけ出すことはそう簡単なことではない。いやむしろ難しいというべきなのかもしれない。
いわき海洋調べ隊「うみラボ」公式サイト
www.umilabo.jp
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東日本大震災による地震と津波が原因となり発生した福島第一原発事故から5年。
事故発生当初から、政府、事業者による事実の隠ぺいが繰り返され、それでも原発推進派、いつのまにか原発推進自民党、なにがなんても原発怖い派等から発信される情報は、あくまでも自分たちの主張を裏付けするものに偏っている。
それは正式な事故報告が4つも存在し、それぞれの内容が異なることに象徴されている。
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3526040_po_0756.pdf?contentNo=1
本書は、なるべくそれらの意見には偏ることなく、5年目の福島第一原発の事故現場がどのようになっていて、事故収束への工程、廃炉への工程がどのようになり、いまどんな状況にあるか。事故現場での作業員の状況や、原発周辺汚染地域の状況は、そこに住む住民の暮らしは?といった内容について、写真、漫画、図表そしてインタビュー記事から立体的に可視化している。
しかし、残念なことにそれらの情報は、本書が執筆され、出版されたとき時点の情報を切り取っただけのものであることも、また一つの事実。
汚染水を減らす切り札であったはずの凍土壁は当の政府によって否定され、福島の知恵を活かすといった東電は、老朽化している原発の再稼働を急ぐ。
結局、原発事故からの復旧はまだめどが立っていないということなのだと思う。
なんでもかんでも原発事故のせいというのでは、話は前に進まないかもしれないが、目をつぶって道路をすすんでいけば、いつかまた事故に遇うことは100%確実ではないかと思う。
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160709 中央図書館
思い込みやポリティカルなフィルターで編集されることを避け、できるだけ淡々と豊富なFACTSを提示するという方法で、現在のF1の姿、働く人々の姿を見せてくれている。
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福島第一原発の廃炉の状況をまとめた本。
図鑑というだけあって分厚く、内容がまとまっているのは良いのだが、電車で読むには向いていない…
それから、情報がすでに古いので、現時点での改訂版がほしい。漫画や図も多用していて、読みやすいので、いつかしっかり読みたい。
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福島第一原発の廃炉。廃炉には長い時間がかかるとかカネがかかるとか、廃棄物の問題だとか、ネガ意見をよく目にする。廃炉の最大の課題は「イメージの固定化」だという。ALPSが動き始めていたのに、影響力のある人物がALPSが動かないのが問題だ、と言ったりした。情報のアップデートが出来ず固定化されるのが怖いと。僕のイメージも固定化されている。凍土壁はいつも凍っていないような気がする。
さて、本書はそういう立ち位置ばかりの本ではない。後世に、福島第一原発事故から5年の技術・社会レベルがこれぐらいだった、と残しておくことには価値が有るだろう。
ベタな話だが、一日何人が働いているのかだって知らなかった。7000人、1500もの事業者が関わっているという。
糸井重里と小泉進次郎へのインタビューがある。福島第一原発は、取り繕っている場所ではなく、新しい事業が興っている場所だ、と。それを聞いて怒る人もいるかもしれないが、しかしこの廃炉も、転んでもただではおきない、この際だから前向きな話にするのがいいんだろうなあ、と思った。若い人たちは、これを読んで廃炉(廃って言葉がよくないのかもね)の仕事に就きたい、という人も出るかもしれない。出たらイイよね。だがイメージの固定化は強い。フキンシンだーと怒り出す人も多いし、怒る人に弱い人も多いからなあ…。そもそも、世の中の多くは福島原発事故などどうでもよくなっているのではないだろうか。あんなに騒いだのに。
兎も角、なかなかのボリュームがあり、ここで書かなかったさまざまな問題に言及している。良い本、といってよいと思う。