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読み物として面白いということ。
崇高な理想の元、四歩五歩先の未来を予想して、書かれた憲法。理想的過ぎるくらい。
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私は日本で生まれました。
国籍も日本国民になっています。
現在の日本国憲法が国民に知らされたのは、
終戦の年(昭和20年)では無く、
それよりも後になってからで、
それまでの間の日本は、闇市や物々交換、
お金の価値も定まらない、そんな混乱の中を揺らいでいる船のようだった事は確か学校で習いました。
丁度、母が昭和20年生まれで戦後の苦難や経済渦中の時代に生まれ、
其の事も子供時代に聞かされた覚えもあります。
ただ、私は日本に生まれ落ちたのに、
日本国憲法が出来上がるまでの事実を、
この年になるまで知る由もありませんでした。
或る人に教えて頂くまで、現在の日本国憲法も誰が何の目的で作成し、そして現実に実行されているのかも。
私は、婚姻し仕事を持ち、
そして、子をも持つ母親ですが、
著者ベアテ・シロタ・ゴードンが憲法草案を作り出す密室の9日間のメンバーの一人に加わらなければ、
今、こんな幸せな生活を送っていなかった事実を今回知りました。
数年前【戦争はなぜおこるのか(ドン・スレイター著 山本直英訳)】という子供向けの戦争に関する本を読み、
『悲惨だった第二次世界大戦は、
日本にとって良い摩擦だったのかもしれないと思っている。でなければ、アメリカとはこんなにも友好な関係を保てなかっただろう。』
という個人的感想を書いた覚えがありますが、
この本を読んで其れは強ち間違いでは無かった事も解りました。
この本はベアテの自伝的エッセイですが、
彼女が子供時代10年以上も住んでいた日本への愛国心のようなモノが溢れているのと同時に、
戦前の女性が何の権利も無い只の奴隷のような存在だった事を、何とか救いあげる方法は無いのかと必死になって考えあぐねた憲法草案が沢山出て来ます。
■日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務■
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
憲法の三章に戦後70年も経ったベアテの功績によって、
女性である私にも自由に生き、婚姻しても職を持ち、
子供を預ける施設があり、芸術も宗教も自由に選択肢を齎せて頂いている事を知る事が出来た。
ただ、国民の生活を脅かす「集団的自衛権の行使容認」が施行されそうになっている昨今。
第九条の奥底までは、この本からは詠めませんでした。
だから、他のベアテの本も目を通して行きたいと思っています。
ベアテの人生の後半はジャパン・ソサエティ、アジア・ソサエティという団体に所属し各国の芸術をアメリカに伝える役目をする事になります。
私は、この本を読みながら、
「戦争は、やっぱり嫌だ、好きな本も絵画も音楽も、
何もかも自分から遠く離れた所に行ってしまうのが戦争だから、、」と思いました。
それから、この時代にベアテが居てくれて大変助かった、と確信出来る説もありました。
芸術的部分では、
���古い芸術と新しい芸術を何の法則も持たないで混ぜてはいけない、其れをするとドチラの長所も失くす事になるから』
という所、6ヶ国語を巧みに使い、沢山の国を歩いて来たベアテの言う事は本当の確信的な所が沢山ありました。
そんなベアテ自身が「これは確信」と言い切る部分もあった、私もこの意見に大いに共感します。
『戦争の原因は宗教・領土・政治・経済。
でも、何処の国でも皆同じ事を考えている。
なのに皆何故「違い」を強調するんだろう?
その事を一番理解しているのは女の人だと思う。
夫や子供と安全に暮らしたい、お腹いっぱい食べモノがあって皆と笑顔で過ごしていたい。
私は世界中の女性が手を繋げば平和な世の中に出来る筈だと思っている。
地球上の半分は女性なのだから、
世界平和は女性のパワーに掛かっていると思っている』
世界の半分は女で出来ていて、
子供を産み育て、仕事も出来るし、
勿論、意見もあるのだ。
そんな女性が世界を率先して行く時代。
それが平和に繋がる時が、
これから遣って来るのかもしれない。
この本を購読している最中に、
或る女性政治家に会う事が出来ました。
短い時間だったけれど、政治に関する意見も聞けたのですが、その人の瞳はキラキラしていたし、
今より、もっともっと良い日本にして行こうとしている姿勢が良かった。
ベアテや其の女性政治家のように、
自国の平和、各国の平和、戦争が無い世界を!!
と本気で願い行動する女性をこれからも応援して行きたいと強く思った一冊でした。
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日本国憲法草案作成の9日間の記載は、さすがに当事者だけあって迫力があり興味深かった。民生局のホイットニー准将やケーディス大佐といった歴史上著名な人物の人となりがよくわかるところも面白かった。また戦後の棟方志功との交流等は全く知らなかったのでこれも興味深かった。
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日本国憲法の草案を、戦後GHQのスタッフが作成し、かつ、人権条項については日本で育った22歳の女性が作成したなんて、驚きの連続だ。
戦後、日本では当然のように男女平等が謳われ、自力で復興したかのように思っていたけれど、GHQの大きな後ろ盾かなければ、今とは違った日本になっていただろう。
土井たか子さんもおっしゃったとおり、草案者であるベアテさんが、憲法学者といった専門家ではなく、生活者であったこと、人が幸せになるために何が必要か本質をズバリと書いてくださったことが良かったと、本当に思う。
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日本の憲法には男女平等が明記されている
これは米国の憲法にさえ明記されていない画期的なこと。それを書いたのは、当時GHQと日本政府の通訳を献身的にしていたGHQの外国人女性。
その自伝。
日本政府が男女平等の明記に難色を示したとき、GHQがそれを書いたのはこれまで献身的に通訳をしたこの女性だと紹介したことで、了承された。
戦後とはいえ、当時22歳の憲法素人の女性が憲法作成に携わり、日本の女性を想うからこそ男女平等という画期的なものをのこせた。
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戦後GHQの民政局に日本語通訳として勤務し、日本国憲法のマッカーサー草案の作成に携わったベアテさんの自伝。タイトルはベアテさんが来日した日でした。
当時22歳で現憲法の24条などの原案を作成したベアテさんはお父さんが世界的なピアニスト、ご本人も6か国語を話す才女で、少女時代を東京で過ごすなど単なる「22歳の小娘」ではなかった。
日本で暮らしていたからこそ、日本民族の付和雷同で自分から意見を決して言い出さない引っ込み思案な性格、そのくせ過激なリーダーに魅力を感じる英雄待望的一面があることを把握しており、日本の民主主義、特に女性やこどもの権利の確立に不安を持っていたことがよくわかった。
自分は特に護憲派ではないけれど、戦後の日本が平和で男女平等な民主的国家になるために、また極東軍事裁判で天皇の戦争責任を回避するために…と不眠不休で草案を作ったGHQの実情がわかって、日本国憲法への関心が高まりました。
ベアテさんは日本国憲法では女性も天皇になれると明言していたとのこと。明治憲法にあった天皇は男性という文言があえて日本国憲法では削られており、14条に男女平等がうたわれている。むしろ今の男性にしか皇位継承を認めない皇室典範は違憲であるように思うし、憲法で「世襲」とある皇位を娘がいるのに弟に譲ることも憲法上おかしいのではないかと思いました。
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トークイベントで松田青子さんが紹介されて知った本。しばらく興味はなかったのだけど、『女性のいない民主主義』などを読んで民主主義、憲法に興味が湧いてきたので注文して購入。
タイトルから戦後の憲法案を作るところだけを取り上げた本なのかと思い込んでいたけど、実際はベアテさんの自伝だった。ベアテさんの長い人生の中で、憲法案作成に関わってのはわずか一週間の出来事だった。当時22歳。
憲法案作成の件も興味深かったけれど、それ以上にアジア・ソサエティでの仕事の件がいきいきとしていてよかった。
パン代を稼ぐためとはいえ、面白くない仕事に時間を費やすのは嫌だ、という一節がこの人のあり方を示しているなあと強く思う。
憲法や民主主義の本しても読めるし、女性のキャリアデザイン、生き方の本としても紹介できる本だと思う。
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大学の講義にて、参考文献として一部取り上げられたことをきっかけに興味を持ち、講義外で完読。
当時のベアテさんと同い年の私。
GHQの目上の男性たちと肩を並べて、たくましく奮闘する姿にとても感動した。
“女性”という性で日本に生まれ、今を生きる私にとって、「日本国憲法」「人権」「女性」等について学び、社会の一つひとつの問題に対し意思を持てる大人にならなければと気づかせてくれた一冊。
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十年くらい前に購入してずっと背表紙を眺めてきたが、やっと読むことができた。もしベアテさんがいなかったら、日本の今はどうなっていただろう。特に女性の人権に関してはイスラム系の国に似たり寄ったりだったのではと思う。