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作者定番の北海道の暗い話なんだけど、この話は幸せとは何か?を深く考えさせる良い物語になっているる。時間とお金に踊らされない自分の居場所がある事が大事だと気づかされる名書
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6編の連作短編。面白いのがその短編の表題が6人の女性で、数年の年代を経てそれぞれの女性の視点で描かれている。そして、それぞれが行き着くところはもう一人の女性順子。6人のうち4人は順子の高校の同級生、あと母親と和菓子店の女将。順子は高校卒業後、和菓子店に勤めるがそこの主人と駆け落ちし東京に逃げ、貧しいながらラーメン店を営む。同級生、母親はふっと順子を思い出し訪ねる。順子の姿を見て唖然とするが順子はしあわせだと。切なく蛇行する日々、しあわせの基準を問い掛け模索する作品のように思えた。
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面白くて一気に読めた!
こういう、短編だけど、一冊は全て繋がっている話は、次誰の目線かなと思って読めて、毎回楽しみな気持ちになる。
決して羨ましい生活をしているわけではないのに、順子がきらきらしている理由を探しながら読んだ気がする。
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結婚や幸せが、目に見えて光輝く美しいものではない。そう思える現実味のある話だった。
6人の話はそれぞれなんとも言えない気持ちになったが、直子の話の最後の2行でなぜか涙が溢れた。
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避妊具には男の一生懸命が詰まっている。
マジか(゚Д゚≡゚Д゚)゙?
そんな表現しちゃうこの著者に少しだけ好感が持てた。。
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NHKの朝イチに桜木紫乃さんが出演されていた。『ホテルローヤル』の映画化で話題となっている著者である。今までこの著者のことを知らなかったのだが、ご実家がラブホテルを経営されており、子供のころ仕事を手伝うと親に喜んでもらえた話とか、著作はご自身が育たれた北海道を舞台にされているとか、そんなお話をされながら滲み出る柔らかくも凛とした、そして気さくなお人柄に惹かれてこの方の小説を読みたくなった。
今の私には新刊を買う余裕はないので、ブックオフで探したが、話題となっているせいか、在庫なしのものが多く、☆が多い中で入手出来る中で選んだのが、この『蛇行する月』。
「蛇行する月」ってなんと詩的なタイトルなんだろう。
読み始めて北海道の釧路が舞台になっていることが分かり(多分桜木さんが生まれて現在も居住されている土地)、「そういえば、釧路って北海道のどこらへんだっけ?」と調べてみれば、釧路は北海道の東側で「国立釧路湿原公園」となっている土地らしい。写真を見ると、なんと美しい土地!。湿原なんて、見たことない!
こんな所で桜木さんは育たれたのか、羨ましい!そして、釧路川というのが流れていて、それが「蛇行」する川として有名らしい。この小説のタイトルは釧路川のイメージだったのだ。もちろん、釧路川と重ならなくても十分詩的だし、読者にとって釧路川のことはあってもなくても変わらないと思うのだが、生まれ育った背景から自然に詩的な言葉が使えるっていいな!と思った。
主人公の女達は皆、平凡な、しがない女達である。釧路湿原高校の図書部で同じだった、清美、桃子、美菜恵、直子のその後について年代を分けて書かれている。彼女たちはみんな、解説の言葉を借りれば、「蛇行する女達」であり、蛇行する川のように「田舎にいることの、金がないことの、職場の、家族間の、どんづまり感」をかかえている。
そんな同級生のうち、一人だけ異なるのが、順子。彼女は高校の時好きだった国語の先生の教員住宅まで押しかけて告白し、大問題になった子で、卒業後は、就職した和菓子屋の主人と駆け落ちし、東京の郊外で、夫婦でしがない中華料理屋を営む。それでも、「私、今すごく幸せ」と同級生たちに電話や手紙で、知らせてくるので、同級生が会いに行ってみると、決して流行っているとはいえない中華料理屋の二階の六畳二間で家族三人方を寄せ合って生活し、服にも構う余裕がないような経済状況で、籍も入れていない旦那さんは20歳以上年上。「これのどこが幸せなの?」とそれを見た同級生は思うのだが、順子は見栄ではなく、本当に自分は幸せだと心から思っている。順子は和菓子屋の女将さんから旦那さんを略奪するという、許されない罪を犯したのに、そんな真っ直ぐな彼女を見て、同級生たちも読者も(私は)、旦那さんを略奪された和菓子屋の女将さんまでもが順子を憎めない。
その和菓子屋の女将さん(弥生)のことを書いた章もある。旦那が店で雇った新人の女の子と駆け落ちしてしまった時、そのショックよりも、父親から受け継いだ暖簾を守ることに必死になり、それから約10年、一人で工夫しながら何とか商売を続けてきた。夫の居所が分かり、勇気を出して会いにゆき、ケリをつけて、一人の人生を心新たに歩み始める。
順子の母親(静江)のことを書いた章もある。彼女自身、親に捨てられたような人生で、一人娘も20歳以上年上の男と駆け落ちした後、会っていない。60歳になり、職場からの風当たりがキツくなり、同棲していた男にも去られてから、ふと娘の順子を訪ねてみようと思う。少し娘を頼りたい気持ちもあったのだが、自分と変わらない貧しさの中で自分とは違い、一人の男と二十年も寄り添って「幸せ」だと目をキラキラさせて語る娘を見て、静江も人にすがらず生きていく決心をする。
40代半ばで独身でいる看護師の直子。曲がったことが嫌いだが「曲がるならしっかり曲がれ」という信条を持っている。「曲がり角を曲がれば、目の前の景色も背後の景色も変わる」。
やっぱり、釧路川のような蛇行する川を見てきた桜木さんだから、こんな文章書けたのだろうな。この部分好きだ。
この小説の主人公の女達は順子という、ただ一人真っ直ぐに自分は幸せだと言っている女に再会して、ガクンと蛇行する。それが正しい方向なのか、幸せな方向なのかは分からないが、とにかく砂の溜まった曲がり角を何とか曲がり、新たな流れに進む。蛇行する川が出来るような厳しい自然の中で。
解説では、どの主人公も好きになれる人物ではないと書いてあったが、この小説の中では、私にはどの女性も愛おしく、背中を押して貰えた小説だった。
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高校を卒業した後、勤めていた和菓子屋の入婿である職人と駆け落ちしてしまった順子。彼女の高校時代の部活仲間の女性4人、順子の母親、駆け落ち相手の妻だった女性の6人をそれぞれ主人公に据えた連作短編集。
駆け落ち生活は楽ではなく、生活に追い立てられる日々であるが、駆け落ち相手と息子の3人で暮らす順子は、小説の中で、自分は幸せだと、いつもはっきりと言う。順子自身が主人公になる短編は書かれておらず、そのような順子と関わりを持つ6人の気持ちを描いた小説だ。日々の暮らしが精一杯で幸せなのだろうか、と思うが小説の中では本当に幸せなのだという設定になっており、順子と接する、決して自分を幸せだとは思っていない6人の気持ちの揺れが主題なのだと思う。
主要な登場人物が全て女性で、かつ、彼女たちの内面の気持ちの動きが話の主体なので、そこにリアリティがあるのかないのかが、よく分からない。だから面白くないという訳ではない。ストーリーとしては充分に面白く読んだ。しかし、登場人物たちの気持ちの真ん中が充分には分からない隔靴掻痒感はあった。
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評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
「東京に逃げることにしたの」釧路の高校を卒業してまもなく、二十以上も年上の和菓子職人と駆け落ちした順子。親子三人の貧しい生活を「しあわせ」と伝えてくる彼女に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた高校時代の仲間は引き寄せられる。―わたしにとって、本当のしあわせとは何か?ままならぬ人生を辿る女たちが見いだした、ひとすじの希望。生きることへの温かなエールが胸に響く物語。
それぞれの女性は個々に精一杯生きていて・・・それはそれで良いが、順子を見てあ~だこ~だ言う神経に今一共感できず。長い年月を経て最後には皆それぞれに幸せをつかむって事なんだろうが・・・
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順子という1人の女性から様々な接点を持つ、 6人の女性のお話。
内容も面白く、1話1時間もかからない量なのでサクサク読めた。
それぞれに悩み、問題を抱えつつ懸命に生きる姿に響くものがあった。
自分も誰かに胸を張って「とっても幸せ」と言えるような人生を送りたいと感じた。
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6人の女性の内5人は高校の同級生であり、年代を重ねながら進んでいく物語。その中の、どんなときでも「すごくしあわせ」と話す順子に皆引き寄せられるが、会えば「何処にしあわせを見いだせているのか分からない生活状況」それでも、最後まで1点の曇のない眼差しで見つめる彼女に、自分のしあわせは何かを問いただして行く。人生にまっすぐな道は無く蛇行していて、紆余曲折ありそれぞれの幸せを掴み取るために日々必死なのだ。
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学生時代から今おっさんになるまで、地続きの自分がいます。突然大人になったわけでもなんでもなく、少年の自分が心の中にしっかり居るのを感じて生きています。
高校卒業後就職した和菓子屋の主人と不倫をして2人で失踪した順子を軸に、同級生や和菓子屋の奥さん等関わった人々の姿を描いた連作集です。
順子が貧しい暮らしをしながら、迷いなく幸せという姿に戸惑う同級生たち。おしゃれ一つ出来ず、籍を入れる事も出来ない生活の中で、親子三人カツカツで生きて行く姿はどう見ても人生の敗者なのに、目を輝かせて幸せを語る順子。読んでいる方も次第に順子に肩入れしてしまっている自分を感じる事でしょう。
どう読んでいい本なのか分からないのに、最後にはグッと胸が苦しくなるような切ない空気が漂います。人生ってこういうもんかもしれない。
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女性の人生における人間模様を上手に描く最近の人気作家といえば、辻村深月さんを思い浮かべるのだが、桜木紫乃さんの本作(そして「ホテルローヤル」も)は、その域において新しく強烈な印象を残してくれた。きっと(特に女性)読者はそれぞれの女性の全て、あるいは何人かのある場面の心情に、自分を重ね、心揺さぶられると思う。関東の都市部出身である自分には、なかなか実感がわかない北海道の(郊外)事情も新鮮だった。主人公だけではなく、それぞれの女性を描く年代も変わるのだが、当時の社会的な雰囲気も伝わる。
さて、私に刺さった一文(というか二文)はここでした。
「子供が大人になるように、ずるさが包容力になり恋が勘違いに姿を変えても、マイナスやプラスを繰り返し最良の答えを探さねばならない。結婚は虫食い問題だ。」
…もう離婚して2年以上たつけど、結婚の虫食い問題、うまく答えられてないだろうな、20代半ばの自分には。今だから意味を理解した上で言える、私はあの頃若かった(笑)チャンチャン♪
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自分のある環境や手にしているものに満足し、自分は幸せだと感じれる。人から見たら全然幸せそうには見えなくても、自分が幸せならこれ以上無敵なことないよね。
「幸せ」って感じながら生きていきたいな。
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順子と関わりのある複数の女性の視点から描かれたストーリー。順子が1人称の章はない。
それぞれの女性が複雑な想いを抱えつつ、目の前の生活を日々こなしている。
順子は強烈に誰かに影響を与えたというわけではない。しかし、自分の感情に素直に行動し、彼女なりの幸せを掴んだ。その象徴として、憧れの一種?として描かれている。順子の人生も褒められたことではないのだが、いわゆる世間が考える「幸せ」と、自分で選択して自分だけが感じる「幸せ」はズレがあり、後者の方が心が満たされるのではないかと思わされる。
女性の心情を細やかに描く表現に共感したが、一貫して流れる空気が灰色なので、☆3つ。
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桜木紫乃らしい。
東京に菓子職人と駆け落ちした、順子から、親子3人の貧しい生活を、しあわせと伝えてくる・・・,