紙の本
偉大な憲法学の大家による「立憲か、非立憲か」かという対による議論が重要であることを説いた書です!
2020/03/02 13:35
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、憲法学の大家と称されている美濃部達吉氏と並ぶぐらい偉大な佐々木惣一氏が1918年に著した代表作です。当時は大正デモクラシー華やかな時期でしたが、その時に、合憲か違憲かという対だけでは本質を掴めないことを指摘し、合憲であっても非立憲であってはならないと説くとともに、立憲か、非立憲か、という対こそが重要であることを主張した一冊です。憲法改正の議論が持ちあげっている今でこそ、改めて読んでおきたい貴重な一冊です!
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大日本帝国憲法下、大正時代に書かれたものではあるが、あるべき「立憲主義」の精神や大臣(為政者)・議会・国民がそれぞれ負っている「責任」についての記述は今もなお通じる普遍性を持つ。
「国民が代議士を選定するのであるから、代議士の腐敗な国民がその選定を誤った結果である。然らば、之に就ては、国民自ら責任を有って居ること、云うまでもない」(本書p.181)。
今一度、この言葉の意味を噛み締めてみる必要があるだろう。
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評論集?
Ⅰ君権制限機関を如何なる君主の下でも国民の作用(議会制)に依て作成することが立憲主義であって、大臣の輔弼(責任引受)によって君主主義との両立が可能になる。君主主義国に於ける立憲政治とは君民一体の思想であるらしい
Ⅱ立憲政治の道徳的意味 政治運動は国民道徳と密接であるべきである。国家は国民の正義の理想への最良の手段(プラトン的)で立憲国は(専制国と比べ)道徳的な自由さが促進され真の忠君愛国が育つ。立憲政治には政治参加の教育的効果もあるのだ。
Ⅲ我が立憲制度の由来 流血騒ぎとなった西洋と違い、日本では国民間での憲法発布運動の高まりから天皇が憲法を制定した。憲法の社会関係への影響を軽視せず認められた自己主張で運用を改善していくことが大事。
Ⅳ現代の政治と信念 輿論への考え方。テクニカル
Ⅴ一票の投げどころ 政治家の選び方。テクニカル
Ⅵ憲法裁判所設置の議 戦後の三権分立につながる考え方。大臣の違憲審査制度を提唱している。
論文の並べ方がわからない。何か意図がありそうなので聞いてみたい。君主国における立憲主義の感覚は掴めた。立憲君主主義では主権者と国民が違うが、現行憲法では主権者=国民な訳で大臣の責任が議会に向けられているということか。よく独逸憲法と似ているといわれるが、憲政の常道に関する説明などは英国っぽい考え方な気がする。よく天皇が主権者で外見的立憲主義といわれるが、本書を読む限りそこは議論の余地ありでは... まあ佐々木は戦前は自由主義者といって叩かれたらしいし本流とは違ったのかもしれないけど