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水が飲料として飲まれるまでの歴史。主に欧州の水事情、歴史を紹介する。
水道水が当たり前に飲まれる現代の日本と違って、水が危険な飲み物として敵視される時代があったらしい。水が健康に良いと認識されるようになったのはつい最近のことであり、過去には水よりもアルコールのほうが飲み物として重要と考えられていた。あのゲーテも飲むなら水よりアルコールと公言していたようだ。よく考えてみれば、欧州のような大陸の水には不純物も多く、体に必要とは判っていても、体調を崩す原因にもなったり、そのまま飲むにはかなり抵抗があったのだろう。まあ現代でも水よりアルコールが好きな人が多いのは、どの世界でも同じようですが。
この本では、水に纏わる様々なエピソードが紹介されていて、大変興味深く読めた。
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新年初の書評ということで選んだのは、「水の歴史」という本。水と言えば、初詣の時に手を洗い清めたり、金運の神様を祭っているところでは「銭洗い」なんて言うこともある。それのみならず、水は人間にとって不可欠であり身近な存在だ。
今のように蛇口をひねったら水が出たり、スーパーやコンビニ行けば、ミネラルウォーターが手に入るという便利な時代でなかった時、水を手に入れるのに苦労したり、水に対する考え方も違っていた。
水を飲もうと説得していた時代(近世ヨーロッパ)があると知ってびっくりした。まあ、日本でも運動中に水を飲むのはだめなんて言っていた恐ろしい時代もあったが。
そのような時代には、「アルコール派 対 水派」の対立があった。酒飲みにとっては都合の良い免罪符にはなるかもしれないが、健康を考えると疑問符が浮かんでくる。
18世紀には、あの電撃ネトワークを思わせる過激なパフォーマンスを展開していた「水噴き人」が痛そうだ。その名は、ブラシュ・デ・マンフレ。ヨーロッパ各地を回りながら、大量の水を飲んではワイン、ビール、油、牛乳に変えて吐き出すという想像もつかないようなパフォーマンスをして大衆を虜にした。さらに皇帝や王も見学したとあるから、過激なパフォーマンスは人の注目を集めるものだ。パフォーマンスで人の注目を集めるとは、あのトランプみたい。
現代の水と言えば、ミネラルウォーターだ。この本でも当然、取り上げられている。水をボトルに詰めて売り出すとはなかなかうまいことを考え付いたものだ。
「食」の図書館シリーズで水が登場するとは思いもよらなかった。脂肪がテーマになるくらいだから、これから何がテーマになっても驚かないかな。
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「食」の図書館シリーズ、なんと水について綴られています。
日本で暮らしていると信じられないことですが、世界中のほとんどの水はそのままでは飲むことができません。
現在の先進国では蛇口をひねれば殺菌された水道水が出ますが、ここまで来るのに人類は大変な苦労をしてきました。
お酒が水よりも健康的と考えられていた時代から、水こそが健康を保つために必要であるという認識へ変遷する歴史にロマンを感じます。
身近に飲み水があることが如何に幸福か、考えさせられる一冊。
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昔の水は消毒されておらず水源も汚染されていて病気の元だった。今でもアフリカなどでは下痢で多くの人がなくなっている。安全な水をいつでも飲めるのを人間の権利だと考えるまでになっているが現代になってからやっと実現したことだった。
水が危険な飲み物であり人間は水を飲むように出来ていないとすら昔は思われていたという。どうしたら無味無臭の水を飲んでもらえるのかという試みは昔からずーっと続いてきている。
水が物足りないから他の飲み物を飲んでいる(アルコールは例外)ということを改めて認識した次第。良書。
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以下3点のキッカケで読む事になった『水の歴史』(イアン・ミラー)。
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❶『日本人はなぜ富士山を求めるのか』(島田裕巳)で水に関係する儀式(日本の禊ぎ、インドのガンジス川沐浴、古代ヒッタイトの沐浴)について知り、関連書を読みたくなった。
❷『文明崩壊』(ジャレド・ダイヤモンド)や『国土と日本人』(大石和久)を読んで、「人間はある程度食べなくても生きれるけど、水がなくなったらアウト」という事が感覚的にわかった所でら水に関する歴史にどんなものがあるのか気になった。
❸『サステナブル・フード革命』(アマンダ・リトル)で【水】が関係する争いを知り、関連書を読みたくなった。
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今回に関しては❷がメインとなりました。
本書は欧米の水に関する歴史が主ではありましたが非常に勉強になりました。
ローマやエジプト、メソポタミアなど古代の文明国家で水管理システムがアチコチで見られるけれど、
時が流れるにつれて、
工業の発達による水汚染、水に関係する感染症の蔓延が発生。
「水よりお酒の方が安全」という考えを多くの人が持つ中、「水は人間にとって絶対に必要なもの」という事を知る医師、科学者、医療ライターの活動によって、
飲料水の普及が成し遂げられて今にいたる壮大な歴史は感動しました。
ただ、現代の水問題が深刻である事は考えさせられました。
本書が発行された2016年時点で、
●地球の水の約97%は、浄水処理がなければ危険で飲む事ができない。
●数世紀にもわたる技術革新にもかかわらず、海水を飲み水に変える方法はいまだ発見されていない。
という事がわかっており、
「文明とは、人間と水の終わりのない対話」という引用文は深かったです。
そして読み終えた今、「飲み水は天然資源と考えられがちだが、実際は人間がつくる製品と考えたほうが良い」という言葉はずっと頭に残っています。
「水は大切です」とよく言われるけど、
歴史を知るとより一層その中身がわかる気がしました。
今回欧米の水に関する歴史については知ったけど、他国ではどんなものなのか、現在の水事情は…といった所が気になっているので、
関連書読んで知りたいです。