紙の本
貘さんの詩集
2023/06/02 18:23
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
テーマとなった状況や社会の問題の根は深く重いのに、なぜか軽やかでしなやかな貘さんの詩。1938年の第1詩集から、没後に出版された全集に収録された詩まで150篇以上が収められている。年譜もあり、便利。
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平易な言葉で書かれているけれど、それが何を意味するのかがよく分からないことがある。読み手に考えさせる作品が多い詩人だと思った。世界が下から上へと拡大していくのが面白い。ほかの詩人にも通じることだと思うが。
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高田渡の「生活の柄」♪を久々に聴いて同郷だし同じ高校だし一応読んどくか⁈ でも読み進めるにつれ頭が痒くなって来た
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詩を読みながら、身体が軽くなる心地がしました。
優れた詩というのは、なべてそういうものかもしれませんが、リズムがいい。
リズムがいい詩は、心だけでなく、身体にも響きます。
山之口貘は1編の詩を完成させるまでに、200~300枚も原稿を使ったそう。
それも頷けるというものです。
リズムがいいというのは、平易な言葉を使っていることも与っています。
恐らく中学生程度の国語力があれば、難なく読めるのではないでしょうか。
内容が薄いというわけではありません。
むしろ、濃密。
言葉は平易ですが、徹底的に選び抜かれ、緻密に組み立てられているのが分かります。
テーマは、貧乏生活や結婚願望、故郷の沖縄などなど。
どれも悲惨に描けば描けるテーマです。
ただ、山之口の詩は独自の諧謔にあふれ、明るさに満ちています。
本当に、どれも熟読玩味したい詩ばかり。
私は特に、結婚願望について書いた詩が気に入りました。
以下は、「求婚の広告」という詩です。
□□□
一日もはやく私は結婚をしたいのです
結婚さえすれば
私は人一倍生きていたくなるでしょう
かように私は面白い男であると私もおもうのです
面白い男と面白く暮したくなって
私をおっとにしたくなって
せんちめんたるになっている女はそこらにいませんか
さっさと来て呉れませんか
見えもしない風を見ているかのように
どの女があなたであるかは知らないが
あなたを
私は待ち詫びているのです
□□□
書いていて、あらためて、リズムがいいのが分かりました笑。
結婚願望について、これだけストレートに思いを発露した作品を私は知りません。
それどころか、一般の日本人男性は照れもあるのか、結婚については、突き放したり、斜に構えたり、ひねくれた態度で臨むのが常で、肯定的な場合でも、とても控えめです。
それだけに、山之口のこの詩はとても新鮮に映りますし、私は好感しました。
私でも知っている金子光晴に、「日本のほんとうの詩は山之口君のような人達からはじまる」とまで言わしめた山之口貘。
素敵な詩に出合うことができました。
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柳広司「南風に乗る」で知った山之口貘の詩集(岩波文庫)、時間をかけて味わった。好きになった。
最後に高良勉の解説を読み、柳広司の小説通りの人だと得心しさらに好きになった。
これからも時々はページを繰ることになるだろう。