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3.8
大手銀行から アパレルのトップメーカーOLIVEへ出向した薄井。愛人・美優樹、妻・史江、会長・織場、秘書・朝川真奈
いつの間にか、周りの人間を深く取り込んでゆく謎の占い師・長峰。
社長・福原のセクハラ問題。
親の介護・遺産を巡る妹夫婦との確執。
薄井のアホさ加減が飛び抜けていて笑えるのだけれど、帯のところで作者が、最も愛しい男を描いたとあるのは、何を意味しているのだろう・・
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2016/9/19
59歳仕事も愛人もあり恋人候補も見つけ充実した日々を送る薄井が、ご信託を与える女•長嶺に出会う。
薄井は人間の黒いところ全部集めたような奴で、最低最悪と思うのに、そんな欲望が自分の中にもあるのでは、と恐ろしくなってくる。
薄井を罰したい気持ちからか、どこまで落ちるのか怖いもの見たさか、先に先に読み進めてしまう。
本当に桐野さんは上手いなぁ。
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うーん、実に面白いし、こういう中堅どころの、どこにでもいる普通のサラリーマンを描いている小説はさすがに、現実味がある。しかも、ある程度、裕福に育ってきた我儘な男という設定も面白い。
しかし、男というのはどうしてこうもだらしないものだろうか?読んでいて納得するところもあるが、いささか同じ男性ながら幻滅する。奥さんにも、愛人にも、ましてや兄妹までにも嫌われ、浮気もばれて、離婚せざるをえなくなり、唯一の妹夫婦にまでも見捨てられ・・・家庭崩壊まで引き起こす。この主人公は自分さえよければいいのだろうか?と疑問さえわく。
その中で、一種異様なのが「長嶺」という占い師。この人の存在も不気味だ。要するに夢占いの一種だろうが、これが、よく当たるからついてない、主人公にとっては疫病神だというが、何故か人を惹き付ける物を持っている。物語も、この「長嶺」の夢通りの結末になっていくのであるが、占いが当ったのではなくて、自業自得ではないかと私は思う。なるべくしてそうなったのかもしれない。
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小説づくりは弁当づくりに等しいは桐野氏の持論。米五割肉三割野菜二割。昨夜の残りの焼き直し?見た目は違えど素材は同じ。どなたかが指摘された「渡鬼」感。主人公の姪っ子のえなりかずき感はぬぐい去れない。これはヴィアンサイドから描かれた渡鬼の焼き直しに他ならない。
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薄井、今でいうところのゲス野郎ですな。
読んでる間中ここまで不愉快な気持ちになれるなんて
ある意味貴重。
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出向先で役員におさまっている59歳の元銀行マンがあることをきっかけに堕ちていく物語。主人公を始めとしたほとんどの登場人物がイヤなやつで感情移入できません。読後感も最悪。
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主人公の薄井氏。59歳なのに元気なこと。
色んな欲に忠実で、しかも、まあまあその欲が叶ってきたある意味幸せもの、として描かれている。
その彼の、まずまずの状況に、夢占い師の女が現れる。
明示された訳ではないが、薄井氏に訪れる、多くの災厄は、ある種自己責任ではあるものの、全ての舞台回しが、彼女によって為されていたのではないか。
彼女は、調査し、金になるところから、金を吸い上げる。ビジネスとして。
だからこそ、薄井氏にも、金を払いさえすれば、なんとか事態を収めるチャンスが与えられたのではないか。
帯には、 あの女さえいなければ と書かれているが、その、あの女 とは彼女だろう。
しかし、一方では、そのビジネスのタネを蒔いたのは、薄井氏でもあり、彼からすれば、全ての女は、あの女 なのかもしれない。
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59歳なのにとても元気な主人公。
いろんな欲に貪欲。
どーしようもないダメ男だけど、
なんとなく嫌いになれない…。
最低男が魅力的に書かれてて、面白かった。
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自分のことだけ考えてる身勝手な男薄井.女のことも家のことも仕事までやることなすこと裏目に出る崖っぷちの59才,それにしても夢見で占う占い師長峰さん,怖すぎる.
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あっちこっちでその場に逆らわない言動をしていたら、その時はラクチンかもしれないが、最終的には窮地に追い込まれそう。ほらほら、やっぱりね。
意思を貫くのは大変だろうけど、うまくいかないときに悔いが残らないと思う。
しかし、この手の妙な雰囲気を持つ占い師に言われることがあれもこれも合致すると50万と言われても支払ってしまいそう。怖い。
誰しも何か確実なものにすがりつきたいということよね。
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定年を前にした薄ぺらな1人の男の転落
人生。欲にまみれた人間の愚かさを
サスペンスタッチで描いた作品。
表紙の赤いピエロが不気味で主人公の
滑稽さがよく表現されている。
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薄井正明59歳。銀行から関連アパレル会社役員として出向したサラリーマン。
妻子あり、十年来の愛人あり、さらに会長の秘書ともあわよくば…と画策している。
もっぱらの関心は社内での生き残り…
ある日家に帰ると、妻が呼び寄せた「夢を見て占う」という怪しい占い師がいた。
占い師の神託を無視した頃から、彼の回りで様々な問題が起きて…
いや~、面白かったと言えば面白かったんだけどね~。男ってこんなものなのかしら~。
「これまでで一番愛おしい男を書いた」と桐野さん直筆文字で書いてあるけど、そんな域には達しきれないわ~。
あっちの女がダメならこっち、こっちが上手くいかないならそっち、と自分に都合のいいように女の間をフラフラ。
浮気が妻にばれて家から追い出されても「やっぱり独りが一番」と独りごちる。
でも、じきにそれも耐えられなくなり、「家も家族もあるからこそ、男は一人になりたいのだ」ときた。
要は、女性から見て最低の男なのだ。
週刊現代で連載中は評判が良かったということは、サラリーマンのおじさん達、「わかるよ、その気持ち❗」といったところなんですかね…
男性と女性の評価が別れそうな作品です。
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女を書くのが上手だなーというのが
桐野夏生だったが
男、それもオジサンをうまく書いてて
面白く読んだ。
家族とも愛人ともうまくやって
会社でもうまく立ち回り
新しい女にも…
というつもりが結局どれもうまくいかなくなる
詐欺師まがいの占い師に振り回されて
貧乏神と言うが
この人が現れずともいずれは…かもね
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銀行からの出向,一応大手企業の役員である主人公。出世,金銭,女…,品性下劣な俗物であり。自己保身や欲望の実現に余念がない。そこに怪しげな占い師が絡み…。ひたすら嫌な男の行動とつまらない人間関係を読まされてなんの盛り上がりもドラマもなし。読後感も後味悪シ。いったい何が書きたかったのか…
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出向先でも、家でも、夫婦・親子関係でも、とにかく右往左往している。
そして、それをスマートに演じているつもりなのだが、綻びは誰の目にも明らか。