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NHK取材班がゲノム編集の革命「クリスパー・キャス9」という技術についてクローズアップ現代で放送された。本書はそれを書籍化したものとなる。
iPS細胞の山中教授が序文に書くように、この技術は「簡単である」「成功率が高い」「多様な生物に適用できる」という特長を持つことで、遺伝子工学の世界を大きく変えたと言ってよい。これまでの遺伝子組み換え技術は当てずっぽうに変更したものを戻して確認するというような偶然に頼った技術であったのが、より高確率で狙った遺伝子を編集することができるようになった。すでにクリスパー・キャス9の編集ツールのカタログまで出ていて、安い値段でオンラインで発注することもできるようになっている。あまりにも簡単にできるので、早々に生命倫理面含めた議論の整理が必要であるとも言われている。
いずれヒトの生殖細胞にも適用するという議論が起きるに違いない。遺伝的疾病の治療のためならよいのか、など倫理面で課題が起きることも想像できる。この研究では中国がかなり先行しているという話もある。倫理面と企業の研究開発力の問題でもあるのかもしれない。
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植物の細胞壁が最新技術のゲノム編集を物理的に阻んでいるなんて、自然界って深い。
その一方で、ゲノム編集ツールをNPO法人がネット通販するなんて、技術革新の相互作用ってスゴイ。
一旦「ヒトゲノム編集国際会議」で臨床応用は禁止。 遺伝子治療の臨床研究側からもストップがかかってるとな。と言っても、基礎研究を続けて技術的に発展すれば、いずれ致死的な遺伝的変異に対して有効になるのは時間の問題だろうし。倫理観一つを盾に、目の前の救える命をスルーできるとは思えないけどね。
なんだかんだ言っても、消費者感情を慮って「角の無い牛」の写真NG、なんて辺りが現在の現実。
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CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)という言葉を聞いたことがある人はあまり多くはないかもしれない。2012年の研究に端を発するその技術は、遺伝子工学の世界では大きなブレークスルーとされている。開発者は、おそらく近い将来(それもかなり近い将来)にノーベル賞を取るだろう。iPS細胞を作製した山中伸弥教授をして、「この25年の中で、おそらく最も画期的な生命科学技術」と言わしめる技術である。
本書は、NHKクローズアップ現代で取り上げた「ゲノム編集」取材チームが核となり、クリスパー・キャス9技術のこれまでの足取り、これからの展望をまとめたものである。タイトルはいささか大仰だが、しかし、あながち大げさすぎるとは言えない可能性を、この技術は秘めている。
クリスパー・キャス9をひと言で言うと、極めて正確に、かつ簡便に、そして驚くほどの短時間で、ゲノムを編集することが可能な技術である。元々は細菌がウイルスから身を守る仕組みの研究から見出された。
ゲノムとは生物が設計図として保有する遺伝情報全体を指す。ゲノムを編集するとは、その中の1つの遺伝子の機能を止めたり、あるいは外部から何らかの働きをする遺伝子を入れたりして、設計図を「いじる」ことである。
クリスパー・キャス9以前の技術では、標的遺伝子を改変することはかなり煩雑で時間が掛かる作業だった。加えて、標的以外の場所が改変されたり、どの場所に改変があるか正確には不明である場合もあった。だが、クリスパー・キャス9は、さほど高い実験技術を持たない実験者でも、標的となる遺伝子を極めて正確に切断して働かなくしたり、目的の位置に遺伝子を組み込んだりすることを可能にした。
まだ商業的に利用されている段階ではないが、この技術で、品種改良を行う試みが本書中で紹介されている。
一般に、「遺伝子組換え」に対する嫌悪感は強いが、この技術を用いて作った食品が「遺伝子組換え食品」と見なされるかは実は微妙である。例えば筋肉を作る働きを抑制する遺伝子がある。この遺伝子を止めることが可能であれば、より筋肉量の多い動物が得られるはずだ。動物が元々持っていたこの遺伝子自体を止めるだけであれば、遺伝子を組み換えたことにはならない(少なくとも、法整備上は遺伝子組換えにあたらないとする国が多い)。cf.『日経サイエンス2016年6月号』
この技術で起こる改変は、極めて正確であり、結果として得られるものは、従来の「品種改良」と同じである。狙った遺伝子のみを操作することから、従来型では含まれている可能性があった、別の遺伝子の改変を含まない。そのため、従来型よりも「安全」であると主張する研究者もいる。
また、これまでの「遺伝子治療」では大きな成果が出なかったような疾患に対しても、クリスパー・キャス9を使った治療法が可能になりうる。HIV、血友病、がん、筋ジストロフィーなど、遺伝子と疾患の関係が判明しているものについては、臨床適用も視野に入りつつある。
この先、この技術の問題点となりうる点は、長所でもある「簡便さ・迅速さ」だろう。結果的には品種改良の陰で起こっている突然変異と同じであっても、���リスパー・キャス9によって、「時間」の選択圧を経ずに、ことが起こるのはいささか危うい。滅多に起こらなかった変異が起こり、それが大量に出回り、予想もつかない弊害が起こることは十分にありうる。
さらに大きな問題点は、技術の使用者がすべて、「善意」を持って、「常識的」に使用するとは限らないことだろう。それは例えば「マッド・サイエンティスト」だけではない。何らかの「儲かる」「カネになる」使用法が見つかれば、必ず思いもよらぬ「悪用」をしようとするものは現れる。
そして前の2つにも関わることだが、使いやすい道具であるがために、さまざまな使用者がさまざまな使用法を思いつくだろう。技術的に大きく広がることで、プラスになることもあるが、マイナスになる可能性は小さくない。
AIであれ、ドローンであれ、新しい技術には付きものだが、どういった適用可能性があるのか、なかなか見えにくいという問題がある。野放しにするのは危険すぎるが、かといってあまり規制を厳しくしていくと技術はそこで止まってしまう。いずれにしろ、便利な技術であることが広く知られている現状では、「使うな」というのはもはや無理だろう。
進捗状況を注視しながら、適切な枷をはめていくことになるだろう。
研究者からも、この技術を使用する「ルール」を整えるべきだという声が大きくなってきている。ヒト生殖細胞・受精卵に使用すべきでないという提言も出ている。が、その一方で、グレーゾーンに近いような研究も、すでに行われてしまっている。
個人的には、この技術には少々危機感を持っている。暴走しないよう、社会全体での議論・見守りが必要だろうと思っている。
そのために多くの人にこの技術を伝える入門書としては適切な1冊だと思う。
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この本を読むまではゲノム編集とは何だろうと思いましたが、なるほど品種改良や遺伝子組み換え、ゲノム編集の違いがよくわかりました。
食品やエネルギー問題医療などゲノム編集の持っている可能性は非常に高い。
食品に関しては、遺伝子組み換えとゲノム編集の違いが非常に興味深かった。
簡単に言えば遺伝子組み換えは足し算の発想でゲノム編集は、引き算の発想で、根本的な仕組みが違います。
科学の進歩にはどうしても倫理的な問題が出てきますがゲノム編集の可能性に関しては非常に期待を込めたいです。
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図書館で借りた本。ゲノム編集とは遺伝子組み換えとは違い狙ったDNAを切り取りして編集する事。遺伝子操作をしているには違いない。狙った場所が分かるのはクリスパー・キャス9と言う技術。クリスパー・キャス9はノーベル賞受賞は間違いないと言われている技術。2016年に日本でゲノム編集の学会も開催され、農業畜産植物海洋食物医学などの研究者が参加。遺伝病やHIVやガン等の治療効果にも期待できそうなゲノム編集ではあるが、研究者や企業の倫理面も必要。ゲノム編集作業は簡単で通販で一式購入できるようになっているそうだ。ある意味怖い。個人的には寿命や天命に逆らってまで生命伸ばしても意味は無いと思っているし、ゲノム編集した米や魚や肉や野菜は食べたいと思えない。
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ゲノム編集は特定遺伝子を正確に壊す技術で,数百年かかる生物の変化を数年で起こすことができるといいます。神の領域にも近いこの技術は,今どこまで進んでいるのでしょうか。そしてそこから開かれる新しい世界は,果たして人間に何をもたらすのでしょうか。
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http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB21841557
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技術的なことと世界へのインパクトの部分がバランスよく書かれていてわかりやすかった。本書を読んでるだけでも研究開発のスピード感を感じ、こういった知識のアップデートの必要性を感じた。
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2020年のNovel生物学賞を受賞した成果であることはニュース等で報じられたとおりである。
従来のゲノム編集や遺伝子組み換え技術はかなり運任せの作業であり、技術的にもかなり高度な作業であったようだ。
そこで登場した、クリスパー・キャス9という方法は、狙った場所に任意の遺伝子を入れ込み、かつそのほかの場所には影響せずに編集できる、しかも簡単!最強の方法である。
内容はNHKの理系素人が書いているので、ほとんどないと言ってもよいが、衝撃度合いはNHKが書いているので(良くも悪くも)よくわかる。
クリスパーキャス9関連の書籍では、やはりNovel賞を受賞した本人が執筆した「CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見」のほうが良いと思う。
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ゲノム編集に関して、素人向けに分かりやすく説明されている。遺伝子組み換え、品種改良と比較してゲノム編集のメリットがよくわかる。ただゲノム編集の技術そのものの説明は少なく、あくまで入門書。