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著者の意図としては不倫が必ずしも咎められないということだったが、自分が感じたのは寧ろ、不倫する人がマイノリティから抜け出すことの困難さだ。
まず、本来的に人は一夫一妻をとる哺乳類である、と。しかし正しくは一夫一妻「風」であるというのが動物学的なコンセンサスらしい。プレーリーハタネズミを使った実験によれば浮気しないこと、することの「2つの戦略はトレードオフとなっている。両者の拮抗がプレーリーハタネズミの遺伝子の多様性に貢献している」そうだ。
つまり、論理的矛盾のない説明方法として「一夫多妻から一夫一妻への移行」という説明を思い浮かべがちだが、「一夫一妻がベースであるが、それを司る脳の働き、もしくは遺伝子にはグラデーションが存在し、それが多様性を担保している」ということらしい。
社会的要請から出現した「一夫一妻制」は社会の安定を図るもので自明ではないというのが人文系の論客の主張だったが、動物学的な見地から根拠を見出せる。つまり、「一夫一妻制」は半分正しいし、半分間違っている。