投稿元:
レビューを見る
大好きな「怖い絵」。「怖い絵」展も行ったし、これで最後、と中野京子さんが書かれていた時はとても寂しく思った。しかし復活!とても嬉しかった。
今回の「新怖い絵」で、知っている絵もあれば、知らない絵もあった。ゲイシ―の「自画像」や表紙のミレイ「オフィーリア」などは知っていたが、大好きなゴヤの「鰯の埋葬」は知らなかったなあ。
印象的だったのはカーロ「折れた背骨」。カーロの人生が、あまりにも凄絶で、それでも生き抜いていくカーロが、何というか、もう凄いとしか言いようがなかった。
レーピンの「思いがけなく」も良かった。やはり一瞬で物語を立ち上げさせるレーピンの筆は本当に素晴らしい。子どもの訝し気な表情がリアルだ。
モネの「死の床のカミーユ」は、その後の物語、モネと後の妻アリスとの話が心に残る。死んだ人間には敵わない、という。カミーユはモネの永遠のモデルであるが、薄幸の妻である。アリスはモネの成功を共に味わい、モネの心強いパートナーであっただろうが、カミーユには敵わないという気持ちや罪悪感が消えなかったのではないか、と思う。現実の成功をともに味わうこと、と死してもなお、心に生き続けること、パートナーとしてはどちらがいいと思うだろう。
ゴヤの「鰯の埋葬」。真ん中のニヤニヤ笑いの旗が、いかにもゴヤらしい。この顔、他のゴヤの作品でも見たことがある。「黒い絵」の中にもいくつかある。聴力を無くして、何か人の狂気を感じる力が研ぎ澄まされたのだろうか、画面から狂気が伝わってくるように感じる。
中野京子さんを初めて読んだのは学生の頃、ツヴァイク「マリー・アントワネット」の訳者としてだった。まさか、十数年後にこんなに彼女のファンになるとは思ってもみなかった。
投稿元:
レビューを見る
以前に筆者の講義を聴いた際、絵を感性で鑑賞するなんて無理、勉強するからこそ理解出来て面白い、と言われていたが、その通り。この本一冊だけで、それぞれの絵に描かれていることとその意味を深く知ることが出来る。絵を眺めていても何もわからないけれど、勉強するとこんなにも楽しいのだ、と認識させてもらえる。
フリーダ・カーロ 折れた背骨
背骨に見えたのは幾つものヒビが入った柱。全身に打たれた釘と涙が痛々しい。
ミレー 落穂拾い
富農とおこぼれに預かる農婦の対比だったとは。
フラゴナール ブランコ
女性の旦那がブランコを揺らしている!
ジロデ 眠るエンデュミオン
まとわりつく女神
ティツィアーノ パウルス3世と孫たち
老獪な教皇と孫
投稿元:
レビューを見る
1ヶ月ほどかけて読み終わった。
改めて絵画の奥深さを知ったし、大学でも学びたいと思えた。
印象に残った絵は、ドローネーの『ローマのペスト』、ミレイの『オフィーリア』、レーピンの『思いがけなく』だ。宗教画も背景がわかると面白いが、そのリアルすぎる描写が少し怖く感じてしまう時がある。
このシリーズの他の本もどんどん読んでいきたい。
投稿元:
レビューを見る
この本を読んで、画家は何らかの意味をこめてその絵を描いているという意味を初めて理解した気がする。本書には、見たことがある絵もない絵も出てきたが、どの絵にも何らかの物語があり、これはそういうことだったのか、と読みながら楽しめた。
「怖い絵」というタイトルが既に怖くて今まで遠ざけてきたけど、もっと早く読んでおけば良かった。何度か美術館に足を運んだことがあるけれど、本書を読んだあとならもっと楽しめていたのではないかと思う。シリーズ物なので、他の巻も読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
表紙のミレーのオフィーリアが美しいが、例によってモデルは産業革命時に命を落とした女性だったり。ユダヤ人のシャガール、落穂を拾うしかない貧民女性、ありとあらゆる虐げられた人々が歴史の隅にいる、というのを思い出させられた。
ブグローの絵で、神曲読んでみようかなと思った。
投稿元:
レビューを見る
怖い絵でイリヤ・レーピンの絵を読むのは3回目だけどもっとレーピンのこと知りたくなった
あとモネとカミーユの話切ないけどめちゃくちゃ良かった
死の床のカミーユを亡くなるまで手放さなかったことも最後の肖像画だったことも