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投稿者:カボチャ王子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際にあった事件を題材にした一冊でした。
これは紛うことなき、登場人物の多くは私利私欲で腐り切った自民党政治で噴出した社会問題の犠牲者になったと言っても過言ではない。
電子書籍
実話とは異なるミステリーもの
2016/11/29 15:21
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投稿者:ema - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際の事件は今でも記憶に残るくらい衝撃的だったのでサイトのCMが気になり購読したので、ちょっと肩透かし。。ただ話自体は面白い。
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老夫婦が焼身自殺をする話なんだが、夫婦がずっと穏やかに思い合って、死ぬ瞬間まで、互いを思いやっているのが深い。これはこれで幸せな最期だった、と真相を追いかける記者が呟くが、確かにそう。
老老介護の果てに、と世間は言うのだが、繰り広げられる光景に、奥さんは確かに認知症と糖尿病と、足が悪くなって歩けない三重苦で、旦那は高血圧でそれでも家事一切やりながら奥さんのことも面倒見ていて、限界集落で若い人も少ないから町内会の集まりとかも中心人物的に参加しなきゃならないのだが(この夫婦には子供がいない)、旦那さんはそんなに苦しそうではない。もともと働き者で「家事が少しきつくなった」というのだけれど、奥さんに当たるでもなく、奥さんも病気で心がすさむわけでもなく、ただただ、穏やかな日が前半、繰り広げられる。。
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老老介護の末の覚悟の焼身自殺・・・という事件を取材に限界集落を訪れた若い記者は、その背後に隠された真実を知ることになる。一種のミステリー。小説ならば長編ではなく短編になるだろう。介護の現場、虐待、そして良くも悪くもそれに対応するムラ意識などが描かれる。丁寧なつくりの佳作であるが、自死のありかたがテーマなので、次の世代へのメッセージよりも、静かな終末観に覆われているように思われる作品。
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老老介護からの心中。幸せな最期に見えたけど、そこに至るまでの過程は事件性有り。夫婦二人、認知症にならないことが1番だけど、片方がそうなった場合はやはり施設に入るのがお互いのためになるんだろうなぁ。
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ネット広告が気になって電子書籍で珍しく購入。
夫婦が火葬場で音楽を流しながら心中していたという実際に起きた事件をもとに、筆者がバックストーリーを膨らませていったという作品。
夫婦が心中へと向かっていく過程が丁寧に描かれている。独特のコントラストの濃いイラスト、夫婦の優しい表情などの描かれ方が温かい。
子供を守るためとは言え、人を殺してしまった妻の、「私のせいでこの人を地獄に道連れにしてしまう」という思いと、妻が一人で罪を背負って苦しんでいるのを放っておけず、「一緒に死んで、代々受け継がれてきた田に帰ろう」と思う夫。お互いがひたすらに相手を思い合っていて、悲劇的なのに温かい。切ないのに、羨ましい。苦しくて優しい。
私には結婚の予定なんて当分ないのだけれど、するかどうかもわからないけれど、お互いにここまで思い合える夫婦に少し憧れてしまう。
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ある村で夫婦が自死を選んだらしい。老々介護の果て、焼身自殺、などなどニュースでバッと放映され、世間的には焼身自殺と言うことで話題にはなれど、それらはすぐに風化する。
しかしある一人の記者が、上司の命令ということもあるけれどその自死について踏み込まなければならなくなった。
そこでその自死について奇妙な点があらわになり、一歩また一歩と記者はある事実に近づいていく。
誰が正しいと言うわけでも、誰が正しくないと言うわけでもない。
ただ哀しく、ただ良くないことが重なった、とも言えるし、死んで当たり前の父といえるくらい虐待なんぞする父親とは言えども、そこに至るバックグラウンドが少し弱めなのと、周りがもっと気にかけていれば、一歩間違えれば『誰も知らない』みたいた哀しい結末になっていた可能性もある。
今回はたまたまアクセル踏んで殺したわけだが、それまでは心配だねえ、で放置していたわけで。近所付き合いもあるないとかあったわけだけど、年配同士はよく話やらしてたみたいだしなあ。
あるニュース報道を元に膨らませた物語(結果のみ利用させて頂き過程はまったく別)とのことで、絵は物凄く上手、とは言わないけれど安定はしており、老老介護、死ぬと言うこと、生きると言うことをじんわり考えさせられる作品。
マイナーな内容でもあるので是非とも。
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アイディアは悪くないけれど、結局人を殺めた罪悪感の果てに、ふたりだけの世界に閉じこもって自死を選ぶ、という感じがちょっと好きじゃないな、と思った。裁かれていないんですよね。善人と悪人、という恣意的な概念がある物語だと思う。地獄の業火をモチーフにしているのは、その中でいえば、すこし救いだ。/なので満足度も低いしちょっとこういう倫理観キライだな、とも思ったのですが、中盤の展開がやはり面白かったのと、こういう手触りの作品は少ないと思うので、おまけで星を上げておきます。宇仁田ゆみ的な絵も物語によく合っていた。
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老老介護に疲れた夫婦の無理心中で処理された事件を取材するため、限界集落にとんだ記者が見たものとは。
誰かが言っているが、たしかにファンタジーでありフィクションである。本人、または身近に介護者や被介護者がいる者が汚い面を全く描いてない、美化していると憤慨するのも理解はできるが、この作者と作品に関しては描きたいテーマにふさわしい見せ方を選択したのだと感じた。
書きたいテーマとは何かだが、個人的には「イノセントな夫婦愛」だと感じた。
救い難く悲惨な現実、陰惨で猟奇的な事件など、いくらでも露悪的にグロテスクに描けるし、現にその手のフィクションは巷にあふれている。
辛い現実に必ず救済が用意されてる訳ではないと、むしろそんなのは一握りの幸運な特例だと、テレビやインターネットの連日の報道で私たちはもう知っている。この作品は、ただ光をあてる場所が違うだけだ。
どんなに惨い結末をむかえたとしても、そこに至るまでの道のり全てが哀しみや苦しみだけで埋め尽くされていたとは思わない。
表紙には手を握り合い幸せそうに目を閉じた老夫婦。
死んでいるのか眠っているのか、その表情は満ち足りて安らかだ。
だがこれは火葬場の中で、夫婦は今から生きながら燃やされようとしている。
フィクションだ。あたりまえだ。ファンタジーだ。それはそうだ。でも誰も何も悪くない。
赤星のみ例外だが、本書の登場人物が誰かが誰かの為に行動した。
誰かを守り庇い助ける為の行為が必ずしもハッピーエンドに繋がる訳ではなく、回り回って人を呵責し、死に至らしめる事もある。
老老介護、過疎化した限界集落、DV、虐待、終活。
キーワードだけ並べるとなんとも殺伐とした印象を受けるが、実際の描写はシンプルな絵柄も相まって淡々としている。
夫婦が選択した終わり方は過激だが、私には二人が不幸だとは思えなかった。
火葬場の中で交わされた最期の会話、「神様!」という妻の心の叫びは、空の上の神様に向けたのではなく、彼女にとっての神様……最期の最期まで彼女を愛し包み労り思いやり、共に添い遂げんとした最愛の夫に向けたものだと私は思った。
個人的に物足りない点を挙げれば、よそ者の傍観者に徹した記者の存在感。
集落の内側の話を書く為には仕方ない役どころだったのかもしれないが、彼が地道な取材を重ね関係者を洗い、断片を再構成して真相へと至るミステリー的な構成を思い浮かべていたので、受動的・一方的に語り聞かせられる立場に終わってしまったのが少し残念だった。