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赤川氏の本格ミステリ愛とユーモアセンスが遺憾なく発揮されていました
2021/02/06 21:04
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投稿者:なのはな - この投稿者のレビュー一覧を見る
第九号棟シリーズの最初の短編集。歴史上の人物になりきった精神病院に入院中の面々が活躍します。設定自体がとてもワクワクします。なりしろ、ホームズやダルタニアンなど(自称)有名な人物がたくさん出てくるのですから。どの短編も本格ミステリの要素はしっかり保持しながら、アクションとサスペンスとユーモアあふれる動きのある作品になっています。こういうバタバタ喜劇は赤川次郎氏の真骨頂と言えるでしょう。
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「英雄たちの挨拶」
陥れようとした犯人は。
話の流れからすると必然的に疑いをかける人間は決まってくるが、犯行を行った人物の正体は予想外だったな。
「死者は泳いで帰らない」
第六コースに現れたのは。
理不尽な理由で出場を辞退しろというまでは有り得そうな話だが、それにより将来有望な子が殺されてしまうのはいたたまれないな…。
「失われた時の殺人」
日々失われる己の感覚。
知らぬ内に自分の部屋の感覚が変わっていくと、元々恐怖心がある人間にとっては致命的なストレスになりうるだろうな。
「相対性理論、証明せよ」
自分は一体何者なのか。
彼自身が壊れ始めている事に気付いていたのであれば彼女に伝えるべきだったろうし、皆が現実を見るべきだったろうな。
「シンデレラの心中」
何組も上がる湖からの死体。
死人に口なしとはこの事をいうのだろうかと言う程、互いの言葉を聞けたら簡単に分かる事件だったな。
「孤独なホテルの女主人」
誰もいないはずのホテルに宿泊を。
始めからこれだけの事を考え仕込みをし実行まで移せる人間なら相当頭がいいだろうし、実際ボロが出なければ逃げ切る事が出来ただろうな。
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気軽に読めるファンタジーとミステリーが混在した作品です。主人公以外の主要な人物は自称シャーロックホームズやダルタニアン、アルセーヌルパンら有名な空想上の人物ばかり、現代日本を舞台としているとは思えませんが、そこを読ませてしまうのが赤川次郎の力量かと思います。この登場人物達は勿論自称でして、日本人のシャーロックホームズを想像して笑ってしまいました。この設定なら今後も癖のある登場人物をいくらでも登場させることができ、ちょっと反則すれすれですが、ミステリー自体は結構本格的です。