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著者の小説を読んだことがないため55歳の等身大の考えを知るという読書になった。
小説が突飛な内容ということだが本書の内容に突飛な部分はほとんどない。
55歳という老いに向けての寂しさなどがリアルで怖い。
その中で『働く』ということについて人の役に立つという動機が信用ならないという内容が新鮮に感じた。
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まとも。
あまりにもまとも。
吉村さんの小説から見て、真逆の場所にありそうな言葉が綴られている。
でも、こうしたまともな感性や考察が、あの吉村さんの異様な小説群の背骨を、スッと立たせているのだろうと、納得のエッセイ集。
まともで真面目な人にしか、意図的な逸脱はなし得ないのだろう。
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実は私が現代日本文学を読んでいて、これが小説だと唸らされたのが「ハリガネムシ」の我が糞を手でつかんで潰す場面。
その衝撃以来、つかず離れず追ってきたが、その作者による初のエッセイ集。
この人の作品を構成している要素は色々あるが、日記、文字への偏愛、場末趣味、廃墟趣味、暴力と滑稽、アフォリズム言いたがり、などなど。
このエッセイ集ではそれらももちろんだが、雅俗自在というか雅俗一如というか、穢れは極点で聖へと転化するという世界観が、特に見て取れた。(中島らも。バタイユ。)
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詩人の若松氏とコラボして作らされたエッセイ集。
日々の生活、生きる上で必要な行為。それを表す言葉をテーマにして著者の中に浮かんできたことをエッセイとして記している。
言葉の端々に苦しみや後悔などが詰まっていて、共感できることも多く、気づきもあった。
良いエッセイ集だった。
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選ばれた動詞をテーマにして綴られたエッセイ。眠る・食べる・出す…といったありふれた動詞から著者の視点を垣間見ることができる。それらを知ることでまた新たな視点で世界を視ることができる。
著者の今まで生きてきた歴史・経験があるからこそ紡がれる言葉には力がある。
例えば「働く」ことに関していえば、「人の役に立ちたい」という裏にある「人の役に立たなければ存在価値がない」という強迫観念めいたことがある社会をバッサリ切る。どうしてもそうできない人達はいるのだから、価値がないとしてしまうそんな社会は駄目だと。
力強くも繊細な文章に心が動いた。