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え~!!
ここで終わり?
これじゃ、すぐに続きを読むしかないじゃん!
というのが読み終わった直後の感想。
週刊少年ジャンプ並みの引きの強さ。
19世紀後半、ビクトリア女王の頃のイギリス…からちょっとずれた位相にあるロンドン郊外にある巨大なゴミ屋敷が舞台。
何しろ地上7階、地下6階の建物に一族みんなで住んでいて、館の中には駅まであるのだから、その巨大さも知れようというもの。
主人公のクロッドは純粋なアイアマンガーの一族として、地上に部屋を持ち、大勢のおじ・おばや従兄弟・はとこたちと暮らしている。
両親は彼が生まれてすぐに相次いで亡くなり、彼が物の声を聴くことができるという特殊能力を持っていることで、一族の人たちに蔑まれ苛められているため、親しく付き合っているのはいとこのタミスくらいのものだった。
もう一人の主人公は、何代か前までアイアマンガーだったという血筋の孤児の少女・ルーシー。
純潔ではない彼女は下働きとして地下の召使い部屋で暮らし、上の人たちと出会うことは禁止されていた。
しかしクロッドとルーシーが出会ったことにより、堆塵館に住むアイアマンガー達に大きな異変が起こり始める。
物事は見た目どおりではない。
アイアマンガー一族は、生まれた時に何か一つ『誕生の品』を与えられ、それを片時も手放すことなく大切に扱わなくてはならない。
人と物が一対なのである。
アイアマンガー一族がゴミの山に隣接するゴミ屋敷に住んでいるのは、もともとゴミ拾いだった先祖が、ごみの中から価値のあるものを見つけ出してはそれを売ることによって財産を得てきたから。
その強引な取引方法によって、周囲の住民たちからは忌み嫌われている彼ら。
アイアマンガーと非アイアマンガー。
純血とそうでないもの。
きっちりと線を引き、そこに上下関係を固定させ、かれらだけの理屈で存在するアイアマンガー。
ゴミを出し、ごみの処理をアイアマンガーに押しつけながら、彼らを忌み嫌うロンドン市民の姿は、現代の私たちに通じるものがある。
と、最初は思いながら読んでいたが、読み進むにつれ「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせてくる。
見た目どおりではない物事。
汚染されたゴミの山に押し流されそうになり、逃げ惑う人々。
ゴミが結集してできている巨大な人型がとめようもなく暴力的に暴れ、そしてほどけていく様子は正に「カオナシ」のシーンそのものだった。
名前を奪われたルーシーを助け、ふたりで堆塵館から脱出しようとするクロッド。
で、ふたりの逃避行はどうなったのかが分からないまま(というか、失敗したっぽい?)、第2部に続くのだ。
これは読まなきゃいられないでしょ。
私は「千と千尋の神隠し」をイメージしたけど、書評家の杉江松恋氏は「未来少年コナン」だという。
作者は宮崎駿のファンなのかもしれない。
でも、ごみ溜めの悪臭と不快な感触は、「千と千尋の神隠し」なんだよなあ。
最後に、なぜ生���もの全てに惜しみない愛情を与える心優しいタミスは、一族の人から軽く扱われていたのかが気になる。
優しすぎて、心が弱いことがそんなに悪いことなのか。
タミスは…本当にいい子だったよ。
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表紙を見ただけで絶対この本面白いと思わせる妖しさ!表紙も中のイラストも、ちょっとグロテスクなんだけどこの本の世界観がこれ以上無いくらいに表現されている。
まず設定がすごくて、アイアマンガー一族がみんな誕生の品を肌見離さず持っていること、それが一つ一つ名前があって自分の名前を喋ること、クロッドにだけその声が聞こえる(後に一族で何人かはそれが可能であることが判明するが)ことなどなんじゃこれはと思いながらもグイグイ引き込まれて、クロッドや、ルーシーに同調せずにいられない。
児童むけ?らしいが。ハマった。
早く続きを読みたい気持ちでいっぱいです。
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物語の舞台となるのは19世紀後半のロンドンのはずれにあるゴミ捨て場である。そのゴミ捨て場中央には大きな屋敷が鎮座し、アイアマンガーという一族が付近を管理・支配していた。
アイアマンガー一族には生まれつき誕生の品が与えられる。誕生の品は大事なもので肌身離さず持っているというのが、決まりであった。
そして主人公、クロッドは誕生の品の声が聞こえるのだ。
歴史的背景とファンタジー的設定が絡まり合って独特の世界観をなした本作は、特殊な能力を持ったアイアマンガーであるクロッドと無理やりアイアマンガー家に連れてこられた孤児のルーシー・ペナントという2人の人物を中心にして、読者の前で何度も何度も万華鏡のように展開を、世界を、変えてみせる。
そして、誕生の品やアイアマンガー一族の謎など驚くべき答えを見せつけながら予想もできない方向に物語を飛ばしていくのだ。
最初から最後まで面白く、打ちのめされるようなファンタジーの傑作。
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BURRN!の書評欄で、そこを担当する本訳者自身が勧めているのを見て読みたくなった作品。まだ三部作の一だけど、のっけからグイグイ惹き込まれる内容。ゴミ屋敷が舞台で、冷静に考えると気持ち悪くなってくるんだけど、たぶんそこに住まう人同様、読み手の側もだんだん慣れてマヒしてくる。人とモノの関わりが物語の中心だけど、ふとしたきっかけでタガが外れて、だんだん対立構造へと移ろっていく不気味さ。作者自身が描いたというイラストのおかげもあって、いやでも応でも世界観に飲み込まれる。読み終わって尚、ちょっと酔ってるくらい。続きを早く読まなくちゃ。
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ゴミの山に囲まれた館,堆塵館は一つの宇宙である.この世界の中の秩序はアイアマンガーと分かち難く結ばれた誕生の品にかかっているようだ.一人の少女ルーシーがアイアマンガーのクロッドと出会い,その逢瀬が恋と館の崩壊へと進んでいく.最後,クロッドの善良なる心の結果のもたらしたものを思うと残念で,だから次の巻でのなんらかの展開が気になる.
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スチームパンク?…ともまた違うか。塵芥を集積したロンドン郊外に住むアイアマガー一族と彼らの召使とその皆が住む大きな屋敷の物語。
塵芥の山に立つ屋敷が舞台なのだから、汚れに汚れた不潔な世界観、人間関係もゴチャゴチャ、登場人物たちも好人物っぽいのは一切いない。主人公もなんだかフワフワだし、ヒロインは泥棒だし、それ以外の全員が悪役的。なのに、そのすべてがちょっと気になるというか居心地がいいというか。なんという世界観だ、これ?
この1冊だけを手に取ってみたが、早く続きが読みたい。
ところで、3部作というより、全3巻なのではないだろうか?でないと、このラストは締めになってないぞ。
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三部作、貪るように読みました。子供の頃ハリーポッターにハマった時と同じ気分を味わえました。
ティムバードンの世界観が好きな人にはおすすめ。映画化に期待…!
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最初こそ、設定の奇抜さに戸惑ったが、世界観を理解した瞬間、変わりました。これは面白い。
十代の少年少女向けに書かれたというのも、奇妙な絵や世界観でありながら、単純に「クロッド」と「ルーシー」のハラハラドキドキの大冒険にハマってしまい、読書の止めどきが難しい感じで分かる。
それにしても、この世界観、私は好きですね。
人々から捨てられたもので造られた館の周りに、更に屑山があり、館の地上と地下で住む人々が分けられている、この設定自体がひとつの人生を象徴しているようにも思えてきます。前者は私の嗜好で、後者は私の性格なんてのは、悲観的すぎるだろうか。
更に、その屑山の中から価値のあるものが誕生することや、物と人との関係性の奇妙さは、物を大事にする大切さや、ゴミ問題、物で溢れかえる現代社会への皮肉にも感じられました。
まだ三部作のうちの初っ端で「⭐五」なのは、どうかとも思うが、物語と世界観がこれだけ上手く密接に絡み合っているのが素晴らしく、メッセージも感じられたし、何より、クロッドとルーシーに思い切り感情移入出来る、作品の熱量が好きです。個性的な絵柄も、最初は不気味に見えたが、次第に愛嬌あるものに感じられました。
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期待して読んだ、ケアリー初読書です。おもしろいです。
翻訳の古屋美登里さんが上手いのかな、読みやすい文章でした。登場人物が単純に2つの名前をもっていることになるお話しなので、ただで混乱しそうですが、分かり易いです。
解説によると、これは子供に向けたお話だそうです。だから分かり易いのでしょうか。
このプロットって、「シャドーハウス」そっくりだなと思ったのは私だけではないだろう。
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「舞台は19世紀ロンドン。廃棄物の寄せ集めでできた巨大な屋敷には、ごみから材を築いたアイアンマンガー一族が住んでいた。孤児のルーシーは召使として屋敷に入り、やがてクロッド少年と出会うことで一族の運命に大きく関わっていく。」
3部作。読むと続きが気になる!!
(『10代のためのYAブックガイド150!2』の紹介文より抜粋)
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ゴミで大金持ちになった一族の
ゴミの中の館
19世紀イギリスの徹底した階級社会で
凄まじい悪臭が伝わるし空気がわるい
挿絵がヘンな魅力あって読んでしまった
三部作の第一作
おわり方も謎を残していて
なかなかだ
けど当分エドワード・ケアリーを読む予定は無い