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『暗幕のゲルニカ』はピカソ作品そのものにストーリー性を持たせたものだが、本作は『マダム・セザンヌ』の作品そのものというよりもそれを取り巻くデトロイト市民と作品の関係性に重点が置かれている。
いわゆる一般的な市民代表のフレッドと早くに逝ってしまったその妻、たジェシカ。二人から見た『マダム・セザンヌ』。
キュレーターのジェフリーから見た『マダム・セザンヌ』。
コレクターのタナヒルから見た『マダム・セザンヌ』。
アートはある一方面からのアプローチに限られていないことが良くわかる。美術に対する蘊蓄ウンヌンではなく、自分なりに感じることが大切なんだなナ。
原田マハの作品は「もっと気軽に見て、そして感じていいんだよ」ということを常に教えてくれる。
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自動車産業の翳りとともに、財政破綻に追い込まれたデトロイト市。
市民生活を維持するために、市の財産でもっとも金銭的な価値のあるもの…デトロイト美術館収蔵のコレクションを売却しなければならないのか。
『マダム・セザンヌ』を愛した人々が、やがて奇跡を起こす。
実話に基づく短編集。
モダン・アートの黎明期に多くの傑作を収集し、その死後愛したコレクションを美術館に寄贈したコレクター。
デトロイトの典型的な労働者階級に生まれ育ち、亡き妻に誘われてアートを愛するようになった年金生活者。
財政破綻の現実と、コレクションの散逸の危機との間で悩むキュレーター。
知識も何もなくても、アートの持つ力はこれほどまでに強く人の心を動かすんだということ。
作品に込められた思い、作品から受け取る思い、作品に捧げる思い、どれも目に見えない美しい力で、さらに作品を輝かせるのかもしれない。
美術館は大好きだけれど、残念ながらここまで深く感じることはできていない鈍感な凡人である私。
美術館の入場料が決して安くなく、大規模に宣伝されるような企画展では人波にもまれてしまい、作品との対話なんて出来やしない…という現状。
ちょっと待ち合わせまで時間がある、にわか雨をやり過ごしたい、散歩の途中ですこし休みたい、そんな時にちょっと喫茶店に入るくらいの気軽さで展示を楽しめるような場所だといいのに…
お酒でも色々な味の銘柄を繰り返し飲むうちに美味しさも違いもわかってくるように、もっとアートに日常的にふれる習慣を持つことで、もっと目と心が磨かれるような気がする。
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なんか、話としてはいいんだけど、肝心なところが「表面ヅラをなぞっているだけ」って感じで惜しかったです。
もっともっと、デトロイト市民や企業・団体では語りつくせない逸話があったんだと思います。
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実話を基にしているとのこと。芸術を愛する原田マハさん。こんな話を耳にし、目にして、書かずにはいられなかったんだろうと思う。アートの力、人の善意、良識を感じられる、秀作だと思った。
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アートへの想い、アートとひと、場所、歴史のつながり。生み出される価値、優先順位の括りに縛られない結末。ストレート過ぎるところがこのお話の価値だと思います。
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四六判のハードカバーだけど厚みがあるわけではなく、本当に数時間で読み終えるほどあっさり終わる(事実に基づいているから膨らませようがないのはわかる)。
でもマハさん節は健在だし、実際に自分もDIAに行ってみたい!と思わせる力は流石。
デトロイト美術館展に行かれる方には是非この本を読んでから行くことをおすすめしたい。きっとセザンヌ夫人の絵の見方が変わる。
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『デトロイト美術館展』に行くつもりなので行く前に読みました。
100ページちょっとで写真も多く掲載されているのでボリュームは少なく、1時間ちょっとで読了。
通常なら短編集に入るような短いストーリーです。
「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」と同じような雰囲気の美術に絡んだお話。
それほど深くはないけれど、スッキリした結末だし、
前述の2作が好きな人は楽しめるでしょう。
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(2016.10.05読了)(2016.10.02拝借)
「デトロイト美術館展」の東京展が、下記のように開催されます。「豊田」「大阪」は、既に終了しています。
デトロイト美術館館展
主催:フジテレビジョン、産経新聞社
会場:上野の森美術館
会期:2016年10月7日 (金) 〜 2017年1月21日 (土)
入場料:一般1,600円
概要
デトロイト美術館(アメリカ合衆国ミシガン州)は、古代エジプト美術から現代美術まで65,000点以上の作品を所蔵している全米屈指の美術館です。
本展では、デトロイト美術館の絵画コレクションの中から、モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、マティス、ピカソ等、名作中の名作52点を紹介する「デトロイト美術館館展」を開催いたします。
この本は、上記展覧会に合わせて書かれ、出版されたようです。100頁ほどの本なので、割とすぐに読めてしまいます。
この本の中では、セザンヌの「画家の夫人」がメインで扱われていますが、展覧会の作品紹介の中には、この作品は入っていません。従って「画家の夫人」が、来日しているのかどうかは不明です。
かつて、自動車産業の街だったデトロイト。2013年、デトロイト市は財政破綻に陥った。市民に支払う年金に充てるべきお金が足りなくなってしまった。市民の生活を守るために、デトロイト美術館の作品の売却が検討された。
所蔵されている作品は、優れたコレクターの手によって集められ寄贈されたものが含まれており、市民にもそれらの作品に愛着を持って、何度も見に訪れる人たちもいる。
一度売却して散逸してしまえば、再び集めることは不可能である。
美術愛好家の中に、なけなしの年金をはたいて寄付したいという人が現れた。そのことにヒントを得て、寄付を募ったところ、多くの法人や市民からの寄付が集まり、美術品の売却をせず維持できるのに十分な資金が集まった。
というお話です。
【目次】
第一章 フレッド・ウィル《妻の思い出》 2013年
第二章 ロバート・タナヒル《マダム・セザンヌ》 1969年
第三章 ジェフリー・マクノイド《予期せぬ訪問者》 2013年
第四章 デトロイト美術館《奇跡》 2013-2015年
●妻の肖像画(41頁)
セザンヌは生涯に油彩だけでも29点もの妻の肖像画を描いたという。《サント・ヴィクトワール山》や《リンゴのある静物》と同様、セザンヌは自分の妻を「動かざるモデル」として、このんで描いていた。
●デトロイト美術館(59頁)
デトロイト美術館のコレクションは、幅広い時代と領域をカバーしている。中でも、印象派・後期印象派・近代美術の充実ぶりは、全米屈指と言ってもいい。ゴッホやマティスの作品は、アメリカのほかの公立美術館に先駆けて購入した歴史をもつ。
☆関連図書(既読)
「楽園のカンヴァス」原田マハ著、新潮社、2012.01.20
「ジヴェルニーの食卓」原田マハ著、集英社、2013.03.30
(2016年10月6日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
ゴッホ、セザンヌ、マティス。綺羅星のようなコレクションを誇る美術館が、市の財政難から存続の危機にさらされる。市民の暮らしと前時代の遺物、どちらを選ぶべきか?全米を巻き込んだ論争は、ある男の切なる思いによって変わっていく―。アメリカの美術館で本当に起こった感動の物語。『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』の系譜を継ぐ珠玉のアート小説。
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「暗幕のゲルニカ」など、歴史的美術作品の裏に隠された物語を描くのが上手な作家さんなので、今回もデトロイト美術館の裏側を期待していたのだが、今回は史実のみが時系列で描かれているだけで、小説としての面白さを感じることが出来なかった。でも、歴史の勉強にはなったかな・・・
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あっという間に読める。財政破綻による年金危機を寄付でしのぎ、デトロイト美術館の作品を守ったそうですが、あまりカラクリがわからない。後で調べよう。
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大変感動的な物語であるが、もう少し話を膨らませて、いろいろな人物を登場させた方が良かったのではと思う。
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本の表紙となっている
1枚の絵、ポール・セザンヌ作
「マダム・セゼンヌ(画家の夫人)」
そして、アートはあたしの友達という言葉が
多くの人たちを動かす
短いお話だけど、ぎっちりと感動が詰まっている
静かに、考える、諦めない、強い物語
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デトロイト美術館(DIA)所蔵の数々の名画の中でも、セザンヌがその妻・オルタンスを描いたマダム・セザンヌにスポットをあて、名画と、そしてDIAの運命に絡む人々のドラマ。
第1章 妻・ジェシカに先立たれた、デトロイトの溶接工フレッド。ジェシカの最後の願いはDIAに一緒に行く事だった。
第2章 マダム・セザンヌをこよなく愛したコレクター、ロバート・タナヒルと、その名画がDIAに遺贈されるまで。
第3章 デトロイト市の財政破綻で、名画の売却を迫られるDIA.。そのチーフキュレータージェフリーとフレッドとの出会い。
第4章 市の負債の主席調停人・ダニエルとジェフリーの出会いから、起死回生のグランド・バーゲンまで。
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原田マハさんの作品はやっぱり好き。デトロイトという場所がどんな状況か、その中でデトロイト美術館の存在や作品がどれほど偉大か、いつの間にかもっともっと知りたくなる。この本のお陰でデトロイトは私の旅行リストに加わった。
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アートは友達。
美術館は友達の家。
なんとも素敵な考え!
一枚の絵を救いたいと言う一心で奇跡が起こる。
やっぱりアートの力って凄いんだなとマハさんは毎度思わせてくれる。