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闇からの再生みたいなのが、テーマなんだと思うけどちょっと読むのがしんどかったかなあ。
幻想的なんだけど、どこか生々しくて怪しくてぞくりとする。
どの話にも最後は再生し、救いがあるのだけどあまり好きなタイプの作品ではなかったかも。
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すごくすごく好きな短編集。どれもゾクリ、ゾワリとなる厭な感じなのに、切なくて寂しくて苦しくて妖しくてそして甘美。
6つの短編集の中で好きだなと思ったのは
ゆびのいと
眼が開くとき
よるよふち
かいぶつの名前
読後、どれも泣きそうになる。ともに浄化されるような、こんな言葉かけて欲しかったんだよなとか、反面やはり怖くてぞわっとしたり。
言葉の選び方、運び方がやはり綺麗。すごく好き。
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短編6作。
心の闇が暗くて深いほど、対照的に差し込む僅かな光が美しい。
これほどに感情を言葉にのせられると、後ろ暗いわたしは慌ててしまう。
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紛れもなく彩瀬さんの文章なのに、今までのお話とは違う、粘りのようなものがある。すごく新鮮で、怖くて悲しくて、泣けてくる。全体的にミステリアスで、浮世離れした短編集だった。けれど決してホラーというわけではなく、最後に淡い光を見いだせる、希望のあるお話ばかりだった。人間なら誰しも抱える影や喪失感を、彩瀬さんはこんなにも繊細に、綺麗に描くから、読者としてはたまらない。
タイトルも真っ黒な表紙と相対するように、「朝」という希望の持てる言葉を使っているのが、とても素敵だと思う。
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どろりと澱んだ暗闇の奥底から湧き上ってくるような感覚。
この世の外から来たものたち。
誰もが抱える心の闇を、甘く揺さぶり、官能的に惑わす。
ダークで、妖しくて、美しくて、怖ろしい、極上の短編集。
絡め取られないように、気をつけて。
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彩瀬まるの作品でも、濃厚な湿度をまとった作品だった。
”ゆびのいと”が怖すぎた。
”かいぶつの名前”で、供えられたそば茶と大福に触れた瞬間にかつて食べた大福の味を思い出すような感覚だったという件は妙に納得できた。
”眼が開くとき”に出てくるぱりぱりぐちゃぐちゃばりばりごくんと言う擬音や、かいぶつの名前というタイトルからどうしても浦沢直樹のモンスターを連想してしまう。
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ひんやりとした雰囲気の短編集。
「ゆびのいと」が特に好きだった。
ここまで人に執着できるってすごいよなあって。
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前作「やがて海へと届く」がだいぶ幻想味の強い(純文学的な)作風になったと感じていたので、この作品集はどうだろうかと思ったのですが、これはどちらかというとそれまでの作品群寄りの、けれど比喩表現、作品世界に一層の深度、巧みさが引き立った作品集でした。
「ようやくできたお腹のなかの子供が…」「晴れて新婚夫婦となったけれどほどなくして新婦が…」など、導入部はいたって現実的な方なのですが、そこからの展開がとても自然に、「普通でなくなる」のが、ぞくっとすごみを感じるほどでした。文章に使われる比喩表現の洗練さ、巧みさがそれを助けているのでしょう。そしてその表される「普通でない」世界が、血と肉と骨、それらの質感を持って描かれているので、やたらと肉感的、蠱惑的なふうに感じ取れるのが特長的に感じたのでした。
そういう意味で、最後の一編はそのグロテスクさが、姿かたち、精神的、ともにリアルに想像できて差し迫ってくるようで、下手なホラーよりも恐ろしさを感じました。けれど話そのものはとても哀切なものなので…、なんというかひたすらにつらくてたまりませんでした。
どうしたらこんな表現を自在に操れるのだろう、と正直思います…。素晴らしいです。
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最近、ブクログで☆3.5以上の本を読むようにしているのですが、これはタイトルと装丁に一目惚れだった。
なんか甘々な恋愛小説をイメージしていたけど全然違った。笑
今まで読んだことないタイプ。
でも本当に本当によかった。
眼が開くとき、がいちばん好きで、なぜだかわからないけど最後は泣きそうになり、読み終わったあとは余韻にじーんとした。
とても美しいと思った。頭の中では映像化されてました。短編映画で見てみたいなぁ。
あえて好きな順に並べるなら明滅→きみの心臓をいだくまで→よるのふち→かいぶつの名前→ゆびのいと、かな。後半二つは怖さが大きかった…
どの話も人間の弱さ、切実さ、強くなりたい気持ち、誰かを想うときのドロッとした気持ちがさらっと、でも共感できる形で書かれていたことがとてもすごい。
そして朝が来るまでそばにいてくれるのは、自分の中の恐怖だったり、寂しさだったり、救いを求める気持ちだったり、他人への執着だったり、そういうものなんだということに気づいた。みんな見に覚えがあると思う。
そういう感情が姿を変えて、目の前に現れるというのはわたし的にはあまり変な話じゃないというか、私にもありえることかも、とすら思った。
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こわい、とはちょっと違うな。苦しい、かな。内側に入った空気が抜けなくて膨れ上がって、肋間筋が痛い。そういう感じだった。この人の真面目さはしんどい。わたしなんてどれだけごめんなさいか。それと帯で「最高で、悔しい」と言っている膵臓の人よ。レベルが違うと思う。
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生々しく瑞々しい血と肉の感覚。読んでいてぞっとするものもあれば、少し明るさの見える作品もあり。表題を思いながら、もしくは読み終わった後に表題を見直すと、その深さに唸ります。彩瀬さんはタイトルを付けるのが上手だなと思います。ホラーのようにも読めるし、人間の醜さや弱さをとことん書いたようにも読めて。読んでも読んでも味が染み出てくるようでした。醜さを書きつつも、そういうもんだよね、と許容されたような安心感もあって。「朝」がいったい何なのかはそれぞれ違うのでしょう。良くも悪くもそばにいる人達の思いの強さ、でした。
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弱ったとき、逃げたいとき、見たくないものが見えてくる。高校の廊下にうずくまる、かつての少女だったものの影。疲れた女の部屋でせっせと料理を作る黒い鳥。母が亡くなってから毎夜現れる白い手・・・。何気ない暮らしの中に不意に現れる、この世の外から来たものたち。傷ついた人間を甘く優しくゆさぶり、心の闇を広げていく――新鋭が描く、幻想から再生へと続く連作短編集。
『骨を彩る』がとてもじわりとくる良作だったので、楽しみにしていました彩瀬さんの新刊。独特の表現で目に見えないものや空気を文字にするのがとても上手い。どの短編にも共通して流れるテイストというか、読むとこの人の文章だってすぐ分かります。決して綺麗なだけのものを描かないのも特徴的かなと思う。骨よりどろどろ感が増したような気が。けれど暗い終わり方ではなくちゃんと救いがあるので読んでいて追い詰められる感じもしない。本当に不思議な読後感。日々恐怖や苦しみを抱えてもがきながらも少しずつ乗り越える主人公たちに、そっと寄り添うことで自分もまた何かから救われているのかもしれないなあ。いつか直木賞とかとりそう。
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隣り合わせにある生と死を行き来する、作者独自の視点から紡ぎ出される6編の短編集。
本作は特にその傾向が強く、いずれも死の匂いが漂っている。
どの作品も印象的だけど、最後に主人公が救済される「かいぶつの名前」はラストに相応しい良い余韻を残す。
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彩瀬さんの作品は殆ど好きだけど、この作品は別格。
一番好き。この暗さ。不気味さ、たまりません。
今までの彩瀬さんの作品とちょっと違う感じもあるので、かなり好みがわかれるとは思うけど。
グロくて暗くていや!という人も多いと思います。
この本の、どの短編も大好きなんですが、読み始めて2編目の「ゆびのいと」。これmもうホラーですよね!!?
恒川光太郎さんとか好きだったら、かなりイケるんじゃないかと思います。
「君の心臓を抱くまで」とか、ちょっと男性にはキツいかもな・・・という作品もあって・・・これは、小池真理子氏の幻想怪奇小説系&女性特有グロ?な部分もあって。
購入して手元に置いておきたいくらい気に入りました。
図書館で、年末に予約していた本がきて、一度しか読み返せなかったんですが、また、ゆっくり読み返したいです。
こういう短編は、手元においておきたいわー。
どの短編が一番好きか書こうかと思いましたが、ムリ、どれもこれも大好きです。(君の心臓を抱くまで、が次点で、他は全部花丸一等賞級に大好き。)
文庫本がでたら購入したいくらい好きです。
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怖い。怖くて悲しい。
なんだろう。好きで好きでたまらなく好きだった人の骨をじゃりじゃりと食べてしまったらこんな感じなのかも。