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ヒトラーの元帥マンシュタイン 下 みんなのレビュー
- マンゴウ・メルヴィン (著), 大木 毅 (訳)
- 税込価格:5,500円(50pt)
- 出版社:白水社
- 発売日:2016/10/27
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紙の本
名将にして傍観者
2021/01/06 03:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mt - この投稿者のレビュー一覧を見る
スターリングラード、クルスクと激しさを増す東部戦線の攻防から突然の解任劇、そして戦後の自らと国防軍を守るための軍事法廷まで疾風怒濤で進む。マンシュタインの卓越した作戦術を称賛しながらも、ソ連軍に対する過小評価と戦争全体への楽観的な見方、ナチスの戦争犯罪を黙認したことなど手厳しい批判も多い。それはまた独ソ戦という巨大な狂気の中で、一人の軍人がどれほどの影響力を与えれるのかの限界を示しているようにも思える。ヒトラーと軍事面では対立しながらも、最後まで暗殺計画には加わらず、傍観者的態度だったのが象徴的である。
紙の本
元帥と元帥杖
2016/11/29 22:45
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
英軍は元帥が捕虜になってから車や武器の所持まで認めていて、最初の頃は随分と優遇したものだが、元帥杖は英軍兵士に略奪されて行方不明になっている、と書かれている。クノップの「ヒトラーの戦士たち」では英軍兵士に連行された時に「元帥杖を振りまわしておもしろがっていた」とあるが、どちらが正しいのだろうか。何しろ同じ日付なので、どちらかが間違っているはずだが。この伝記は「ヒトラーの戦士たち」を使って、フォン・ゲルスドルフ将軍の回想の信憑性を批判しているのだから、些事とはいえ、この矛盾する記述は、どう「解釈」すべきなのだろうか?
英軍はカイテル元帥やデーニッツ提督のような「推定有罪」の軍人達からは元帥杖をさっさと取り上げたようだが。
長生きをしたのでフィリップ・フォン・ベーゼラーガー男爵とともにクノップの本の主要な軍関係の情報源となった人物であり、ドイツ民主共和国最後の首相の叔父でもある連邦軍総監という制服組で最高の地位に就いたウルリヒ・ド・メジエール将軍(彼は「零時」の時は大佐だったから、シュタールベルクの弟には随分と階級と年齢が離れた友人がいたものだ)と一緒に映っている写真は「ヒトラーの戦士たち」に掲載されている写真と同じ時に撮ったものだ。
下巻は上巻に見られる「ユダヤ人問題の最終的解決」は出て来ない。邦訳者が「第二次大戦の〈分岐点〉」で書いているように元帥がパウル・カール・シュミット博士に依頼して「批判的な評価を受けることを恐れ」て肯定的に「焦土作戦」で書いてもらった時期(という事は彼を批判していた人がいたのだろう。例えばソ連やDDRで?あるいは「焦土作戦」の元になった雑誌の連載では彼に批判的だったのか?)で、大体シュタールベルクの回想録で書かれているのは、この時期だ。
シュタールベルクは母方がソ連に引き渡されてヴラジーミル監獄で獄死したフォン・クライスト元帥と遠縁だが、もしフォン・マンシュタイン元帥がソ連に引き渡されていたら、どうなっていただろうか?「ソ連市民」の虐殺の責任を問われて、公開裁判にかけられて絞首刑にされただろうか?それともヴラジーミル監獄に送られたか、イヴァノヴォの将官収容所のような来訪者に見せる為の収容所に送られたか、ドイツ人の「戦犯」をまとめて収容した収容所でデミャンスク解囲の英雄であり柏葉付き騎士十字章の佩用者から対ソ協力者を経て「戦犯」になったヴァルター・フォン・ザイトリッツ-クルツバッハ将軍と一緒に生活する事になったのだろうか。
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