- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
紙の本
酸いも甘いも噛み締めた恥じらいの熟女賛歌
2016/12/25 21:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公(30歳)の他にもセフレがいるっぽいクールな人妻熟女(39歳)が出てきたり、自分勝手で高慢な独身熟女(39歳)が主人公を振り回したりしている前半に辟易して読むのを止めてしまいそうになるかもしれないが、今しばらく先に進んでほしい。あるいは禁じ手かもしれないが、結末の1~2頁に目を通してから読むのも今回はアリかも。
表出する態度や立ち居振る舞いに潜む本心が分かれば可愛らしく見えてくる愛の熟女賛歌といった趣の作品である。
企業の秘書室勤務で容姿端麗にして才色兼備。マンションでペットを飼うプチセレブなアラフォー女子となれば充分に自活可能で結婚は半ば諦めムードと相場が決まっているが、本作のヒロインも多分に漏れないばかりか厚顔不遜の超絶自己チューがさらに加味される。
本人に結婚の意思がない訳ではないのだが、完璧過ぎる美貌や安定した高収入などが逆に壁となって男を遠ざけてしまう。そして、その真意に気づかず、さらに自分を磨けば磨くほど壁が高くなっていく悪循環である。また、華美な装いも災いして夜の営みもテクニック充分と誤解される始末。つまりは相当にこじらせている熟女なのである。
他にも本作に出てくる女性陣は総じて表向きと裏の本性が異なる存在として描かれている。
このヒロインの旧友であり、主人公へ紹介した人妻熟女から送られてくる学生時代の写真もまた、ヒロインが最初から高飛車だった訳ではなく、年を重ねていくうちにそうなってしまったことを示しているが、主人公もまた三十路を迎えて結婚願望が高まる中で、それでも若い娘には触手が伸びず熟女好きになった過去の経緯があったり、合コンで出会った22歳の一見おとなしい娘が実は経験豊富なS性の持ち主だったりと紆余曲折が描かれている。その意味では酸いも甘いも噛み締めた男女が出会った物語とも言える。
本作に出てくる女性陣の表裏が異なることで官能成分が底上げされている。
清楚で母性的な熟女には淫らな一面があり、クールな熟女は被虐の羞恥に肌を染める。一方で派手な出で立ちであっても意外に身持ちは固かったりする。そんな諸々のギャップの中で重役秘書として男達の視線を浴び、装いも振る舞いも完璧に見せるヒロインの本当の素顔を知るまでに踏み込むことができた主人公。その行く末は、苦行にも似たやり取りを続けたことへのご褒美なのかもしれない。
熟女のダメで面倒臭くて淫らさには正直なくせに恥じらいのオブラートに包むしたたかな側面を描きながら、それをも愛しいとする作者の眼差しを背景に良さがじわっと滲み出てくる作品だったと思う。その分岐点は後半の始まりを告げる第四章であろう。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |