紙の本
思わず知ってる!と言いたくなる
2024/03/15 18:57
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投稿者:amami - この投稿者のレビュー一覧を見る
マリオ、ぷよぷよ、ストツー、ドラクエどれも子どもの頃にプレイし楽しいワクワクした記憶しかない。
それらを題材にした本作は見事にこれらを大人味の物語に昇華し、ゲームに関する蘊蓄も多く盛り込まれておりとても楽しめた。
柵馬さんのゲームに関連する思い出が甘酸っぱかったり、ほろ苦かったりするのを見ていると少し苦しそうだなと重い気持ちにもなった。
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ゲームをテーマにした短編集。
『スーパーマリオ』『ぷよぷよ』『ドラクエ』など、取り上げられているゲームは一世を風靡したメジャータイトルばかりで、ゲームに詳しくなくとも楽しめる。また、ミステリ要素よりも青春小説っぽい雰囲気で、謎はあるものの、主人公の成長物語としての側面が強かったと思う。
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これまでの詠坂作品とはやや趣を異にする感じですが、おなじみのキャラが登場してますし、趣味的とも言えるゲーム話に絡めてくる謎は、なるほど詠坂作品です。
私はドラクエを1つもプレイしていませんが、これからもきっとプレイしないので、巻末の話も読みました。
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この評価は、自分には合わなかったと言う意味。
ゲームについて、詳しくないので話について行けない。
特にシューティングなんてほぼやったことない。
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ゲームを中心にした連作短編集。続編よりもミステリ色は強く、さくっと楽しめる作品です。とはいえ、詠坂さん特有のシニカルさや諦観といった苦みのある人物、文章は健在です。 ゲーム誌に寄稿しているライターの柵馬。彼は記事のネタを探して様々な出来事の調査をしていた。多摩奥地で動くキノコを追い、かつての恋人のことを調べ、先輩ライターのメッセージを読み解きます。 全体的にラストの情景が美しい作品集です。浮かび上がるシニカルな感情と、それでもどこか希望がある思いに胸の奥が熱くなりました。
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○ 一言感想
○ レビュー
主に,「Press Start」(通称プレスタ)というゲーム雑誌で記事を書いている柵馬朋康という人物が主人公という短編集。一応,ミステリではあるが,ミステリ要素は少なく,ゲーム業界やゲームについてのうんちくが豊富に描かれている。
小学校の頃にファミコンが登場し,まさにゲームとゲーム雑誌に囲まれて成長してきたので,この作品はまさにどストライク。確かに,ひと昔前にはプレスタのような雑誌が結構あった。ゲーム雑誌やゲーム雑誌のバカ記事が減ってしまったのは悲しい限り。
舞台は平成16年頃。ネットが普及して巷にはテキストが溢れ,ライターの仕事が減りだした頃。登場人物は,主人公の柵馬があこがれるライター流川映と,流川の知り合いという設定で登場する小説家の詠坂雄二。これらの登場人物がゲーム雑誌の記事の取材で,奇妙な出来事やちょっとした謎に遭遇する。
○ 穴へはキノコをおいかけて (★★★☆☆)
スーパーマリオブラザース発売20周年記念の記事を書くために,ツチグリという動くキノコを探す。柵馬は,奥多摩の山麓で,血のようなものを見付ける。柵馬が再度同じ場所を訪れると,血のようなものは消えていた。真相は,血のようなものは「変形菌」という胞子の残りだった。風で飛ばされて何も残らなかった。
ミステリというよりは世にも奇妙な物語系のちょっとした小話。マリオについてのうんちくがまぶされている。ゲームのウンチクは面白い。
○ 残響ばよえ~ん
プレスタの「ぷよぷよ15周年特集」のネタに困った柵馬が,中学校時代に同級生のミズシロという女の子と格闘ゲームやらぷよぷよやらをしていたというネタで特集記事を書いた。その話はぷよぷよの思い出。長い間勝ち越せていた勝負の最後で柵馬は負けた。もし勝てていたらどんな秘密が打ち明けられていたのかという話。記事は創作ではなく,大部分が実話。そして,その作品には,ミズシロが柵馬にぷよぷよで負けたら,どんな秘密を話していたのかという謎を解くカギが,柵馬が気付かないうちに隠されていた。
その謎は,ミズシロが色盲だったということ。柵馬が書いていたミズシロの中学校時代の様子は,全てミズシロが色盲だったと考えればつじつまが合っていた。
この小説をミステリとして見れば,色盲は使い古されたネタだし,伏線もあからさま過ぎる。しかし,ミステリとして読ませない,特に謎なんてない青臭い青春小説だと読ませるというミスディレクションが仕組まれている。そういった意味では割と完成度が高いと思う。悪くないデキ
○ 俺より強いヤツ
10年ほど前にストリートファイトをしていた犭(けものへん)という団体の3人の最強候補,泥犬,病狐,屍狼に話を聞いて,誰が最強だったかを解き明かそうとする話。3人はいずれも自分は負けたと言っている。最終的に誰が最強だったのかということを解き明かすミステリかと思えばそうではない。結局だれが最強だったかは分からない。3人が戦いを辞めた理由を聞いて,3人が戦いながら戦うことを上回る物語を見付けた。10年の歳月に洗われて残った真実として描いている。
これは,なんというか。ミステリとはいえない。残響ばよえ~んはミステリとしての完成度はともかく,ミステリでないと思わせるという作品全体のミスディレクションが面白い作品だった。しかし,これはミステリではない話と思わせて,実際にミステリ要素がない。失敗作ではないかと思わせる作品。なんだこれ。
○ インサート・コイン(ズ)
柵馬があこがれる流川映が逮捕される。同時にプレスタた休刊になる。柵馬は流川が持っていた仕事を引き継ぐように言われる。柵馬はかつて流川から「シューティングゲームの必勝法と文章のそれは一緒」と聞いたことを思い出す。柵魔へとして残されたPCの文章にあった「insert coin(s)」という英単語。コインを入れたあとに出てくるメッセージは「PRESS START」。休刊になった幻のプレスタ2008年11月号に載る予定だった流川記事のデータを見る。
オチらしいオチはないが,先人たちの誰も想像できなかった文章を書けば読者を圧倒できるという流川からのメッセージと,人生で1枚しか持っていないコインでゲームを繰り返すように進んでいけというメッセージと受け取ったという話
これもミステリ要素はあまりない。感動的な話にしようとしているのか,なんともつかみどころがない。確かに,マイナーなゲーム雑誌にはこういうような変な文章載っていたような気がするが。なんとも評価しづらいデキ。嫌いではないが,それほど面白くはない。
○ そしてまわりこまれなかった
柵馬の古くからの友人で,ゲーム会社に勤めていた宇波という友人から「ドラクエⅢで最大の伏線が何か分かるか?」とだけ書かれた年賀状が届く。その後,宇波が自殺したという知らせが届く。
宇波はなぜドラクエの新作を待たずに死んだのか。詠坂にも相談したところ,ドラクエⅢの最大の伏線はタイトル画面にテーマ曲がないこと。それと年賀状の関係。絵のない年賀状。なぜメールではなく年賀状だったのか。年賀状には余白にのたくる線があった。鉛筆でこすると「よしおはにげだした」の文字が。宇波はドラクエの新作が出る前に人生から逃げ出したのだ。そしてまわりこまれなかったのだ。
これはちょっとしたミステリとなっている。タイトル伏線となっている。柵馬の境遇と宇波の自殺。なんとも哀愁の漂う作品で,この作品の雰囲気は嫌いではない。
リロ・グラ・シスタ,遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?,電氣人閒の虞,といった外連味のあるミステリとは一味違った,ゲーム雑誌のライターというどこか哀愁漂う存在をテーマにした短編集。ミステリ的な要素はあまりない。ゲームについてのうんちくや,昔からよく知っているゲーム雑誌のライターという存在をテーマにし,ゲーム雑誌が減り,ゲーム雑誌でライターの記事を読むことがめっきりなくなった現在を踏まえた哀愁の漂う作品に仕上がっっている。ミステリとしては評価できないが,この雰囲気は嫌いではない。なにか心に残る短編集。★4で。
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ゲームを題材にした小説を読むのは、この作品が初めてかもしれない。
スーパーマリオ、ぷよぷよ、格ゲー、シューティングゲーム、ドラゴンクエスト。
懐かしのゲームと流川の言葉を通して、柵馬は己の人生を見つめ直す。
個人的にぷよぷよを題材にした『残響ばよえ~ん』が気に入ってる。
楽しい要素は全く無くて、あるのは少しの寂しさとほろ苦さ。
なんだか心臓がキュッとなるけれど、悪くはないんだよな。