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フランスの作家ベルナール・ミニエ、2011年発表のミステリー小説。とても面白いです。
フランス南部、スペインとの国境近くのピレネー山麓の町を舞台にした警察小説。
中年バツイチの男性警部が主人公。フランス有数の富豪実業家の愛馬が惨殺される事件に端を発し、陰惨な連続殺人事件が起こります。近くの凶悪な犯罪を犯した精神病患者を収容する施設も絡んできて、事件は混迷の度を深め・・・。
状況に振り回されながらも着実に事件の核心に迫って行くタフな主人公がとても清々しく良いです。陰惨な事件を扱っているものの過度の暴力描写はないし、けれど充分スリリングで、登場人物は皆魅力的、ストーリー展開も巧みで最後まで一気に読ませます。
ただし、冒頭の馬の話と、事件にソシオパスのシリアルキラーを絡めることの必然性には疑問を感じます。舞台装置としては秀逸だし(シリアルキラーの話は「羊たちの沈黙」~「ハンニバル」を想起させますが)、蘊蓄としても興味深いので文句はないのですが・・・。
また、本筋から離れた挿話で消化不良な部分もあります。本筋から離れているからまあ良いのですが、少し気になります。
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フランス南部、スペインとの国境近くのピレネー山麓の町を舞台にした警察小説。タイトル通りの、全体を覆う重苦しい空気と凍てつくような世界観がストーリーを支える。
猟奇殺人タッチのオープニングだが、丁寧に描きすぎているのか上巻はスローペースで冗長気味。警察と憲兵隊の役割や位置付けもよくわからないので退屈しかかっていたが、下巻から一気に視界がクリアになった感じ。
主人公のセルヴァズ警部は地味ながらも有能で、そのせいか困難な状況に振り回されるけれども、着実に事件の核心に迫って行くタフなキャラクター。嫌味がなくてフツーで、何より作中の雰囲気にマッチしているので、それが安定した読書に繋がったのかも。
事件の背後に隠されたおぞましさを踏み台にして、クライマックスからラストへと劇的な展開が続く。警察小説としてもサスペンスとしても完成度が高いお話だけど、やっぱり上巻のスローペースが尾を引いたかな、結果的には可もなく不可もない評価になりました。続編はちょっと楽しみではあるけど。
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クセのあるものが多いフランスミステリだが、これはわりに読みやすかった。サービス精神旺盛なエンターテインメントという感じ。異常犯罪者が収容された施設とか、シリアルキラーとか、道具立ては派手で、どんどん先を読みたくなる面白さがある。反面、焦点がぼやけた感じがなきにしもあらず、というところ。アメリカのミステリなら、ラストはもう少しホッコリした雰囲気だろうけど、そうならないところがフランス。
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マルタン警部と娘マルゴ(別れた妻と同居)の関係は面白かった
マルタン警部がイレーヌ大尉(←イレーヌのよさが全然わからん)に惹かれかけるのがウザかった
後半、エスペランデューの妻シャレーヌ(妊娠中)からkissをされ欲望に目覚めるマルタン警部は気持ち悪い 部下の奥さんですよ!コラッ
マルタン警部を敬愛し、いつもおしゃれで村上春樹を読むgay(Bi?)のエスペランデュー
エピでエスペランデューとKleim162とのシーンが一番ぶっ飛んだわ
スイスから来たディアーヌは孤軍奮闘 GJ! よく頑張ったね
ディアーヌかエスペランデューが主人公ものを読んでみたいな
名前がとにかく、ややこかった ドイツものより無理かも
そもそも、女性で大尉ってのがイメージむずい
普段ロマを読んでる私にはどうしても大尉=男性になってしまうw
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あらすじ
馬、薬局店店主と被害者が増えていく。現場には、研究所に収容されている凶悪犯のDNAが。どうやら、店主たちは、4人で後ろ暗いことをしていたらしく、町全体に秘密が広がっている。警部セルヴァズは体調が悪いながらも捜査を進める…。
面白かったー。でも、読み始めてすぐに不穏な雰囲気は伝わった。雪と氷に閉ざされたピレネー山脈、村。静かで閉鎖されて、沈んでいる。全体の4分の1までの被害は、馬だけだったけど、不気味に感じた。山っていうスケールの大きさな舞台や、凶悪犯の研究所で、どんな展開になるのか予想できなかった。これがデビュー作ってすごいな。どきどきした作品だけど、主人公のセルヴァズがまだ常識人で(多分。部下の妻が気になっているが)安心できた。
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1月-6。3.0点。
連続殺人に発展する事件。
過去の出来事が鍵に。
医療刑務所の凶悪犯は、出入りしているのか。
うーん。意外と時間がかかった。
犯人と思われた人物が、違ったりだけど、想像ついた感じ。
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ピレネー山脈で起きた残忍な馬殺しを捜査するセルヴァスと、精神医療研究所にやってきた心理学者のディアーヌ。連続殺人犯ハルトマンを介して、両者は結びつく。果たしてこの山奥にはどんな秘密が隠されているのか。
読んでるだけで寒い。。一方では、被害者側の暗い過去を探る謎解き部分があり、他方では異常な殺人犯達といわくありげな研究所の人々というサイコさんなハラハラ感がありで、色んな要素が詰まっています。合間にセルヴァスの娘マルゴへの心配、部下達との関わりやら不倫未遂やらが挟まり、どれもこれも展開が気になってどんどんページが進みました!
そして最後。。ハルトマンといいエスペランデューといい、これ絶対続きあるやん!ジーグラーが出てきたら嬉しい(願望)。
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じわじわ来る心理的な怖さと、アクション映画さながらのシーン。しかも短いセンテンスで無駄なく臨場感を出している。久々に面白い作品に出会えた。
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『羊たちの沈黙』のような張りつめた繊細さはないが、動きも多くけれん味も少々、会話も軽快なエンタメ。登場してくるキャラが結構多彩で、いずれどこかで広がるんだろうなあ、ああシリーズの始まりに置いてるんだなあ、という感じ。
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フランスの売れっ子作家と聴き、興味深く読み始めたが、幕開けが奇妙かつ派手な事件、その舞台となるのが冬のピレネーの山村、とアクロバティックで一気に引き込まれる大スケール&アクション・ミステリーであった。これがデビュー作ならフレンチ・ミステリーのスターダムに一気に輝いたというのも容易に頷ける。
連続する猟奇殺人にしても、山麓の村にある重罪犯を集めた研究所の存在にしても、相当に不気味である。腕利き警部マルタン・セルヴァスの活躍の中に挿入されるのが、その不気味な研究所にやってくる女性心理学者ディアーヌ・ベルクの章である。事件と並行して存在感を増す連続猟奇殺人犯と研究所の存在が、気になって仕方ない。
注目される連続殺人犯は、ジュリアン・ハルトマン。死体を残さないが、40人以上の女性の不審死の容疑者とみなされる。またシリアルキラーでありながら元検事、という特異な知的犯罪者の容貌を持つところなど、心を操る知的犯罪者としての側面から、どうしてもハンニバル・レクターを連想させる。この作者、よくぞ勇気ある勝負に出たものだ。
しかし彼を考慮に入れずとも、ロープウェイの山頂駅で最初に発見される皮をはがされた首なし馬の
死体という劇場型バイオレンスに始まる連続猟奇事件のミステリとして十分にサービス性が満点なのだ。二体目の殺人も、渓谷に発見されるが、劇場型であるところ、まるで横溝正史か? と懐かしささえ覚える。
派手な事件に、複雑に絡む人間関係。裏側に潜む真実はかなり深い部分に、そして時間軸を掘り下げてゆくことで真相は近づく。多くのミスリードの向こうに見えてくる真実。つまり語り口、プロットともに優秀な作品だからこそ、優れたエンターテインメントとしての完成度を誇る。ミステリーにとどまらぬ大自然を使った昔懐かしい冒険小説的魅力も兼ね備えているところがもしかしたら、最大の魅力なのかもしれない。
それにしても巻末解説においてこの作家の作品を、しかもセルヴァス警部のシリーズを、ぼくは既に
読んでいた。そして楽しんだということに気づいてしまった。シリーズ三作目の『魔女の組曲』! そう、これは一気読みの面白さであったが、セルヴァス警部としての個性は目立たなかった。運動神経オンチで、銃の扱いも乗り物も苦手。恰好悪いが事件の真っただ中に突入してしまうこの中年刑事は、本作では、とても存在感濃厚である。『魔女の組曲』は、ストーリーと被害者のほうが目立ち過ぎて、警部は救世主ではあるのに、狂言回し的な地味な役柄なのであった。
それにしてもストーリーテリング最高の作家に出会えました。とりあえず、フレンチ版ジェフリー・ディーヴァーと呼んでおこう。
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まるで、某メーカーの酎ハイのようなタイトルで、中身はフレンチミステリー。
凍り付くような季節・場所・事件に、スピードのある展開と緊迫感満載の場面の連続で、あっという間においしく飲み干してしまった。
舞台は、暗い谷の奥に怪しげに佇む精神医療研究所と閉鎖的な町。
雪と氷で閉ざされた水力発電所のロープウエイ頂上で、首を斬られた馬が吊り下げられていたという事件から始まる連続殺人(馬一頭含む)事件と、時代錯誤とも感じるほどの「治療」方法が行われる「研究所」の謎。
入所しているのは最強のシリアルキラーたち、なかでも最強なのが知性と残虐性を併せ持つハルトマン。外に出ることが不可能なはずのハルトマンの痕跡が殺人(馬)現場に、…。
運動音痴(でも体力勝負)のセルヴァス警部とクールビューティでパーフェクトなイレーヌ大尉のコンビによる捜査と、研究所に着任したばかりの心理学者ディアーヌが体験する研究所の出来事が交互に語られ、飽きる暇もなく進む。
しかし、やっぱり主役の刑事さんは離婚している……。
ヨーロッパの警察は過酷な職業で、優秀であればあるほど家庭との両立ができないってこと?それとも性格的にクセの強い人しかなれないの?
ちょっと、日本人のヒーロー像と違っているかなー。
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上巻を読んで期待していた分、裏切られた感が大きかった。
まぁ終わってみたら、何もかも中途半端!
アレ?あいつどうなった? あいつはどこ行った?
で、結局あいつはどうなるの?
と、想像をかき立てるだけ立たせておいて、納得のいく言及されない奴らが4、5人はいた(もっといたかも)。
シリーズの宿敵になりそうな奴はともかくとして、あとは雑過ぎないか?
作中では主人公は有能な刑事との評価らしいけど、所々で致命的な失点をしているし、何かと後回しにするのが癖なのか、単に片付けるのが苦手なだらしのない人に私には映った。
いらない伏線も多くて、蓋開けたら何のひねりも無く、そもそも引っ張る必要あったか?と言うより本当にいらない設定だった。
そして後日談に至っては「まぁ!なんていただけない!」につきてしまった。
この方はもっと丁寧に創作した方が良いと思った。
決して面白くない訳じゃないのに残り50頁で台無しだったなぁ。
残念!
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ミニエの小説は初めて。
主要な登場人物の描写がうまく、彼らに対していろいろ想像で補強しながら人物像を思い描くことができた。
多角的に伏線が張られ、ミスリードもあり終盤までどんどん読み進めることができた。
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クライマックスに至る前から事件の真相や真犯人の見当がついてしまい、割と平凡なミステリーだったという印象だが、常識に囚われないフランスらしい男女の色模様がキャラクターたちに人間味を加えており、シリーズものならではの群像劇を今後楽しませてもらえそうな予感と最強最悪な敵役が登場する期待を込めて続刊を手に取りたい。
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フランス作家のミステリ。舞台は雪と氷に閉ざされた冬のフランス・スペイン国境に横たわるピレネー山脈の山麓の町。標高2000mの水力発電所で、大富豪ロンバールの愛馬が惨殺されて発見された。ここから、ラストまで冷たく、鬱々とした雰囲気で物語が進む。上巻は、サラッと読んだほうがいいのかも、なかなか話が進展しないように感じたので。
メインのセルヴァス警部を含め、魅力を感じる、ワクワクするような登場人物がなく、逆に悪役の方が魅力的?