紙の本
移動図書館の柔らかな日常。利用者だったことがあり、あの特別感が好きでした。
2017/05/20 17:45
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
種川市は田舎といいつつも、横浜市の隣にあることがちょっとした
自慢で、東京へも通勤圏といういわゆる近郊の町です。
大崎さんは横浜市在住なので、その土地勘で書かれているので
なんとなく分かります。藤沢や横須賀が出てくることと、
海に接していることから鎌倉近辺となります。文頭の地図を見ると、
京急とJRの入り込んでいる逗子がモデルのように思えます。
照岡がクラス会で再開した榎本に近況を訪ねると、移動図書館、
つまり本バスの運転手をしているとのこと。
うんと遠くのどこかの地方の話と思っていたら、何を言っている、
横浜市にもあるんだとたしなめられます。
驚く照岡に、定年後の仕事で違うことをやると面白いのだと
教えてくれます。その榎本が、家庭の都合で運転手を
続けられなくなり、照岡にお鉢が回ってきて本バスのお話の
幕開けとなります。
本バスでコンビを組むのは、二十代半ばの司書の梅園奈緒子です。
本好きというと、眼鏡をかけた文学少女で、校則通りの制服を
着て中庭のベンチでひとり腰かけて本を読む女の子、
生真面目で色白、口数は少なくミステリアスな魅力がある、
勝手にそんなことを連想しています。
まあ、テンプレではありますね。
ウメちゃんこと梅園さんは、はきはきと物をしゃべり、口を開けて笑う
運動部的な女の子でした。
本バスは意外に力仕事です。
バスを留め、机を並べて簡易カウンターを設営し、予約本の詰まった
コンテナを数個引っ張り出し、バスのサイドウイングを撥ね上げて
本棚を登場させます。
お年寄りや子供のお客さんも多くて、本の出し入れもあります。
何よりもどの本を積むかで出発地点の本館で頻繁に出し入れを
行います。
頭を悩ませて配架を考えるのは司書のウメちゃんの仕事ですが、
それ以外は照岡も一緒にやる、むしろ照岡の体力と身長が
頼られている状況です。二十代の娘と六十過ぎのオヤジの
コンビは、なんとも柔らかい雰囲気です。
大崎さんなので、ちょっとした事件が起きてみんなで解決という
いつもの流れです。物語の世界観がまとまっていて、
心が優しく包まれる一冊です。
横浜に住んでいた頃、わたしも本バスに通っていました。
逆に地方の方が本バスは少ないのではと思います。
地方よりさらに田舎の散居村となるとまた違うのかも
しれませんが。
横浜は各区単位の図書館が一か所と、小中学校併設の
市民図書室しかなく、駐車場も狭いので意外に図書館が
不便なのです。
自転車を使うにも、横浜は坂がそこそこ多いのですね。
しかも人気の図書はすぐに何百人待ちです。
だから本バスは結構便利でした。二週間に一度、近所の
公園での店開きは特別な空間でした。
開放感がいいのかもしれません。
本バスじゃないと味わえない感覚を思い出しながら楽しみました。
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テルさんとウメちゃんのコンビが素敵。
テルさんの奥さんの聡子さんもいい感じだし。
事件という事件があるわけでないのも安心して読むことができる。
ほっこり温かくてもっと読んでいたくなる。
ちょっと暴走しそうになる若いウメちゃんを見守るみたいな定年後の再就職で運転手をやっているテルさん。最強コンビかも。
年齢層が高いながらも元気で人のいいめぐりん号の利用者たちにもついにっこり。
めぐりん号の存続の道は楽ではないかもしれないけど、がんばれ!
シリーズ化希望!
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こんな移動図書館が我が家の近くにもあったらいいなと思うほど、魅力的だったけど本作全体としては普通だったかなぁ。
柔らかい物語なのだけど、いまいちパンチが足りない。
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65歳にして移動図書館の運転手として勤め出した。40歳も年下の相棒と、移動図書館とそのステーションをめぐる諸問題を考えていく。それぞれの場所に謎だったり問題があったりするんだけど、ちょっと説明不足かなぁ…。自分が心ここにあらずで読んでいたからか、うまいことキャラクターを掴み切れなかった。ただ、小学生だった頃にはやみねさんや松原さんを読んでいた子が、中学生になって誉田さんを手に取るようになってたというくだりは、なんかわかる。そして、おばちゃまシリーズ!
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移動図書館を描いた連作短編集。定年退職後、移動図書館の運転手を始めたテルさんと、若いけどしっかり者の司書のウメちゃんが、移動図書館の出張先「ステーション」で起こる日常の謎を明かしていくというもの。そんなに難しい話でもなく、どこかほんわりとした印象。
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主人公のテルさんがもっと頑固な爺かと思ったらめっちゃいい人でほっこりしました。
物語内にでてくる小さい謎やトラブルも意地悪なものではないまさに「優しい世界」。
コージーミステリー、私も好きです♡
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ひょんなきっかけで定年後に移動図書館の新米運転手なったテルさん。相棒は20代の女性司書、菜緒子。
本バス「めぐりん」と町の人々との交流から生まれた5つのコージーミステリー♪
中でも「道を照らす花」よかった。
”本って変わらないのがいいのかも。いつでもどんなときでも、開けば同じ物語がそこにあるんです”という司書の言葉に深く同意。大崎さんらしさが集約されている気がした。
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移動図書館というものがあることは知っているけど見たことはない。私の住んでいるところはたいていの徒歩圏内に図書館があるからだ。
本書はその移動図書館の新米運転手(第二の人生を始めたばかりの65歳)の視点から、相棒の若い女性司書、本バスが巡る町の人々を5つの短編で描いている。
どの話もしみじみと面白かったが、年月と共に高齢者の町になってしまった殿ヶ丘の「気だてがよくて賢くて」と団地に越してきたばかりの中学生が出てくる「道を照らす花」が好きだ。子どもに関わる話だからかもしれない。
その「道を照らす花」の中の”本って変わらないのがいいのかも。いつでもどんなときでも、開けば同じ物語がそこにあるんです”という司書の言葉に深くうなずいた。本の世界が安心できる場所であったり、時には自身の変化を映す鏡でもあったりするのは、まさに開けば同じ物語がそこに変わらずにあるからだ。
著者の大崎さんらしい、本に対する愛を感じさせる言葉だった。
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移動図書館「本バスめぐりん」号。65歳の新人運転手テルさんと20代の図書館司書ウメちゃんが主人公。返却した本に挟んだままの写真の行方、バスに置かれていた謎の封筒、利用者減少で廃止されてしまいそうなステーションの存続問題、何度も同じ本を借りる少女等々…。移動図書館を巡るちょっとしたミステリー。団地の高齢化問題、保育園の設置問題とか、現代の社会問題も盛り込みつつほんわかと優しい雰囲気。読んでいてほっこり和む、本好きには最適のハートフル・ミステリー!
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とある町の移動図書館を舞台に、
司書のウメちゃんと運転手のテルさんが、
住民たちのプチ不思議のなぞ解きをする、
爽やかほっこり系の短編集です。
移動図書館がめぐるそれぞれの地区で、
そこに暮らす、読書好きの住民たちが、
移動図書館をきっかけに、また核として、
幸せになっていく様子が、とてもいい。
お話のふつぅ感、世界観のふつぅ感も、
やさしく、肌になじんでくる感じ?で、
読了感が、とてもいい作品でしたね。
大崎さんの旨味?が、よく出ています。
評価は、甘めになっちゃいましたね。
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建物館の図書館ではなく、移動図書館ならではのお話や日常ミステリーが中心で面白かった。
移動図書館ならではの大変さも伝わってくる。
続編があるといいな。
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移動図書館の本と小さな謎解き。この作家らしいな。 2016.12.27
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2017.07.07
確かアメトーークの読書芸人で又吉さんが紹介してたような?
登場人物みんながとても素直な気持ちで読書や、移動図書館の利用者のことを考えていてほっこりした。
最後斜め読みしちゃった。
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初めての作家さん。とても読みやすい。
定年後、移動図書館バスの運転手となったテルさんが主人公と相棒の20代女性司書のウメちゃんのコンビが日常ミステリを解き明かす連作短編集。
現実社会の問題点も指摘している。この本みたいにうまく解決できるといいのですが。
全編、ほっこり温まるいいお話でした。きっと続きがありそうな予感。
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移動図書館をめぐる、ちょっとしたミステリー♪ほんわかと優しい雰囲気ながらも、ありがちな問題もあって特に「幼稚園、保育園は迷惑施設なのか」というのは本当に考えさせられました。登場した人物はみな明るい日々を取り戻し、笑顔を浮かべている。テルさんとうめちゃんの名コンビ。テルさんの洞察力はなかなかで、それだけに被害者になったラストはちょっとトキドキしましたが、無事解決して良かった☆移動図書館は本を読みたいと思う全ての人に平等に本を届けられる貴重な機会。諸事情あれどなるべく多くの地域に行って欲しいなと思います。