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止まぬ雨はない。明けぬ夜もない。少年は、ただ明日をめざす。
父は切腹、所払いとなった天羽藩上士の子・伊吹藤士郎は、
一面に藺草田が広がる僻村の大地を踏み締める――
過酷な運命を背負った武士の子は、何を知り、いかなる生を選ぶのか?
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天羽藩大組頭・伊吹家の嫡男の藤士郎が主人公。豪商と癒着し、藩を壟断した咎で父が切腹。それまでの生活が一辺する。死を前に、父は自身の身の潔白と藩政改革の捨て石となる覚悟の告げ、藤士郎に介錯を命じた。父の無実を信じたいのに、自分の知る生前の父とは違う姿が分かり、迷いながらも自身の進むべき道に…その横に柘植左京がいてくれることが心強い。二人は無事、江戸にたどり着けるのか、この続きが気になる。
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武士の子息として何不自由なく育った藤四郎。
父親の切腹により世の荒波を知り、葛藤を
抱えながらも現実に目を瞑る事なく生きて
行く覚悟をする。
父親の裏の顔や友の裏切り等、藤四郎に辛い
現実ばかり突き付けられる。
最後に江戸に向かうが、続きがあるなら
ぜひ読みたい。
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これはまだまだ序章でこれから続くのかな?
と言うか続かないと完全燃焼すぎて堪らないわ!
あさのさん十八番の少年同士の友情と裏切り…
読んでいて一緒に心乱される。
若いからこその心の動きが堪らない。
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藩政を私した罪で処断された父の無実を信じ、家族は僻村で新たな生活を始める。初めて民の生活を知り、己のぬるさに気づく藤士郎の成長が、藩政の闇と絡めて描かれる。
『燦』の主要人物を全体的に小さくした感じの話。主人公を育ちのよいだけの、取り立てて非凡なところがない少年にし、父親の別の顔、主要人物の出生の秘密などを絡めた成長譚にしている。主人公の平凡さと年齢ゆえ、藩政との関わりはそこまで深く描かれてはいない。
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2015〜16年に「小説NON」に連載された8章をの単行本化。
のっけから重たい。十四、五歳の前髪が取れていない少年が、突然切腹を命じられた父に刀を届けに行き、父から介錯を命じられる。父の首を斬った感触が手に残る。
家禄を激減され、少年と姉、母は領内所払いとなるが、少年は父がなぜ切腹しなければならなかったかを知ろうとする。
藩政を巡る権力争いの真相はやがて見えてくるのだが、見たくないことまでたくさん見えてくる。ハッピーエンドにはならないのは予想できるのだが。。。
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最近同じような設定の話が多いような気がする,主人公の家族や友人への想いが優先されることは気持ちがいい,ただ,父親の方は庶子への冷たい態度が気に障って,藩政への対処の仕方も信用がおけない.これはこのままで終わりって感じではないし,シリーズになるのかな.
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父親の潔白を証明するために前へ進む主人公とその家族、友人たち、少しずつ分かる真実と友との決別。
児童文学を多く手掛けてきた著者だけに、重い内容の中にも若く熱い心が描かれている。
最後はあまりはっきりした終わり方ではなかったが、政治の世界は潔癖な人はいないのは今も昔も変わらないんだろう。
主人公の今後の生き方が気になる。
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不正の疑いをもって腹を切った父。
父は悪事を働いてはいないと信じる息子の取る道とは。
もしや続くのか・・・!?
友である二人の男の子がかわいかったんだけど、予想通りのことになって哀しい。
左京はいいキャラなので、ばんばん出て欲しい。
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あさのさんの時代小説は、テンポよく一気に読める。
主人公は、真面目で素直な青年が多い。
愚鈍ではなく、思慮深い育ちのいい青年だ。
影のあるものが側にいたり、友がいたり、家族がいる。
政に否応なしに引き面れ、抗うのか流れに身をまかせるのか、己が成すべきことを成すのか。
毛嫌いせずに、時代小説も読んでほしいなー
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L
児童書っぽいかと思いきや、かなり中身は深め。ただ父親が切腹だ、濡れ衣だ、犯人は、的なことで終わらないのが一歩進んでいる感じ。
大抵の真相は父親は清廉潔白で藩政を憂いて巻き込まれ〜のところ、さらに進んだ真相が好印象。そのくらい人間腐ってないとな!的な。
ただいつもの?友情あたりはあさの流でしかなかった。そこは安易で残念。家族の出自もあそこまで和気藹々の武家ならやっぱりそんなオチか、と思いますわな。いろいろも布石があからさま過ぎで驚きにつながらないところがいまいち。でも全体に漂う「あさの空気」は健在なので、さくさく読み進められる。終わりもここで終わりがきっといいのだろうね。主人公はもっと悩んで鬱々とした方が人間らしいかも。ちょっと晴れ晴れとしすぎ。 なんだかんだいいつつ面白かったよ。
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おかんが図書館で借りた本。
江戸時代。
面白かったが、暗い話。
後半、どんどん暗くなる。
父上の冤罪を信じて動くが…。
登場人物が皆、前向きで、そこまでの暗さを感じさせないから、すらすら読めるのだと思う。
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あさのあつこさんの「天を灼く」、2016.10発行です。政の腐敗を正すために捨て石となった父、冤罪で切腹となった父の介錯をした息子伊吹藤士郎とその母、姉、友の生き様を描いた物語。ストーリーは、重いです。でも、読み応えがありました! 武士と商人、武士と農民、・・・、政治とは民の暮らしが楽になるようにするもの。飢えずに済むこと、夜、明かりを灯せること、そんな暮らしができるように。前編振り返り、父を介錯し疲れ切った藤士郎を優しく包む百姓の妻のシーンが(この作品の主題ではないと思いますが)最も印象に残りました。
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天羽藩大組組頭伊吹斗十郎は、豪商から賄賂を受け取ったとの罪で切腹を申し渡される。斗十郎の息子藤士郎は、父の捕らえられた牢屋敷に呼び出され、父の切腹の介錯をすることになる。姉の美鶴とともに父の身の潔白を探る藤士郎。
姉の美鶴、母の茂登子、藤士郎の親友慶吾、五馬、謎の若者柘植左京などの脇役が、活き活きと描かれ、いい味を出している。
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ストーリーを要約したり、ピソードを一つひとつ振り返ると決して奇想天外な内容ではない。むしろ想定内。
だからこそ、文章の端々からあさのあつこのユニークさが
発揮されていた。
ラスト、客観的に考えと主人公の今後は決して楽観視できないが、それでも明るさを感じた。