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片付けやの大庭十萬里が依頼者の部屋を観察しながら、心に抱えてる問題事を解決して行く。心の乱れは生活の乱れ……ですよね。整理整頓、掃除が好きなんですが
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私は滅多に新しい作家の小説本を読まない。根が不器用なので、お気に入り作家が出来ると、読む本が増えて困るのである。上手く付き合えない、片づけられないのである。
現実でも、いろんなことが片づけられない。よって、この本を手に取った。特殊目的限定だから、こういう本は時々読むことにしている。小説だけど、情報採取目的の新書を読むようなものだ。煽り文句は「この本を読んだなら、きっとあなたも断捨離したくなる!」というものだった。結果は、うーむビミョーである。
小説としては、決して出来が良いわけではない。たまたま片づけ屋・大庭十萬里の言葉は、「心に問題がある」片づけられない人たちのツボを押さえて行くのだけど、月二回3ヶ月の訪問で、そんなに心の動きが変わるのならば、私でもやって欲しいくらいだ。たいてい、その気になっても、リバウンドしてしまう。あ、私は簡単にその気になるのだから、そもそもここに出てくる人のように「重症」ではないのか。どうなんだろ。「重症」の診断の仕方が、イマイチわからない。ここに出てくる人たちは、一部分きちんと片づけ出来ても、心に問題あるから「重症」と言われてしまっている。
小説には不満だ。でも、心に問題ありと認めたくないから、ちょっと片づけようとは思った。でも、続くかどうかはたいへん疑問だ。
2019年1月読了
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断捨離小説
片付けの裏に隠れた心の中の問題までまとめて解決していく。文章はイマドキであまり好きなタイプではないが、短編で読み進めやすく軽く読むには最適。読み終わったあとはお家の中の要らないものも捨てたくなる。
主人公のキャラクターが全く魅力的でなく、どこかでどんでん返し的に隠れた人間的な魅力が出てくるかと思いきや最後まで微妙な人物設定だったのが逆に斬新だった。
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「では一足ずつ確認していきます。例えば、この靴は今後も履きますか?」
十萬里は手近にあった靴を一足持ちあげた。ローヒールの赤いパンプスだった。買ってはみたが、どんな服にも合わなかった。可愛らしすぎた。そんなものをなぜ買ったかというと、風鈴が似たようなのを履いてたからだ。
「もう履きません」
というより、一度も履いていない。
「そうですか、では捨てましょう」
十萬里はゴミ袋に投げ込んだ。安くはなかったのに、以外にも未練を感じなかった。それどころか、惨めな気持ちの一部が消えてなくなった気がした。p64-65
…「これも一度も使ってませんね」
ステーキ用の皿を取り出した。鉄でできた小判型の皿に木製の受け皿がついている。悟史がステーキが好きだと言ったのは、いつのことだったろう。
「この蕎麦猪口、古伊万里じゃないですか。すごく高かったでしょう」
ひとつ八千円もした。それを5客揃えた。悟史が蕎麦の味は蕎麦猪口の雰囲気で決まると言ったからだ。p68-69
…この食器棚の中には、悟史を思い出させるものがいっぱいだ。それらが全部なくなったら、どんなにすっきりするだろう。
えっ?
春花は自分の気持ちの変化に驚いていた。p70
仕事に対する意欲が漲ってきたのは久しぶりだった。p95
→過去を清算すると、自然と前を向けるようになる。過去が今縛り付けることは往往にしてある。
もっと丁寧に生活しよう。
送信ボタンを押したとき、唐突にそう思った。
生活そのものを楽しもう。
もう誰にも振り回されずに生きていこう。
目を閉じて想像してみる。大きな窓から差し込む太陽の光、清潔なフローリングの床わ上質なソファとコーヒーテーブル、そして出窓に飾られた花。
赤いベネチアングラスの花瓶は、これからも大切に使っていこう。ついこの間までは捨てようと思っていた。見るたびに悟史のことを思い出して辛くなったからだ。だけど今は違う。そう遠くない日に悟史を思い出すこともなくなり、別の楽しい思い出を作っていける予感がする。p101
玄関に下りて下駄箱を開けてみると、予想通り、八割方が美津子の履き物だった。ミツコは足が小さかったから、デカ足の風味子が履けそうなものは一足もない。
「思いきって捨てるかな」
そう言うと、おばはんはにっこりと笑った。
なんだか妙に嬉しかった。染物屋のエミちゃんの笑顔と違い、滅多に見られない文、おばはんの笑顔の方が価値があるような錯覚に陥った。
ワシとしたことが…。
ワシまで騙されてどうする。
「やっと夫婦二人暮らしからひとり暮らしにシフトする覚悟ができたようですね。その調子ですよ」
なんなんだ、偉そうに。p144
「まぁ、どうぞ、お入りください」
ワシは自分の口からずっと出てきた言葉に驚いていた。
接客はすべて美津子に任せていたのだが、これからは何でもかんでも自分でやっていかなきゃならん。ワシは相変わらずワシだが、ワシは美津子でもあるんじゃないか。最近はそんな気がしている。こういうのが、早く逝った美津子の分まで生きるということかも知れん。p146
「ああ、確かに暮らしやすくなった。家の中は美津子が生きていたときのままだったから、母さんの物が溢れていて、必要な物がなかなか探せなかった。それに、美津子の物を目にすることが多いから、なんだか四六時中、母さんのことを思い出してしまって、実を言うとつらかった。こんなに早く逝くとわかっていたなら、母さんが行きたがっていた沖縄旅行にさっさと連れてってやればよかった、銀婚式の時に指輪を買ってやればよかった。そんなことを思ってしまう。それだけならまだいい。若かった頃のことも次々に頭に浮かぶんだ。金もないのに飲み歩いて苦しめた時期もあったし、てめぇの人生が面白くなくて些細なことで怒鳴ってばかりいた時期もあった。あのとき、ああしてやってれば、こうしてやってれば…もう再現なく頭の中で後悔が渦巻くんだ。ワシは少し情緒不安定になっていたみたいだ」
「知らなかった。お父さんがそういうことで苦しんでいたなんて」
「おばはんの方針とやらに従って、母さんの物を思いきって捨てたり、ダンボールに入れて納戸にしまったりしたから、母さんの物があんまり目につかんようになった。だからといって、いろんなことを思い出しては後悔することが全くなくなったわけじゃないんだが、少し楽になったことは事実だ。それに、春翔が来てくれたことで、気が紛れることも多くなった」
それでもワシは、美津子の持ち物を目の前から消すことに、少なからず抵抗があった。
美津子を思い出さないようにしているみたいで、申し訳ないような気がした。そんなワシの気持ちを察したのか、おばはんは言った。
ーいつの日か、心穏やかに奥様のことを思い出せる日がくるんじゃないでしょうか。人生は山あり谷あり、いろいろあったけど、なんとか協力して二人でやってきたんだって思える日がきっと来ますよ。p156-157
「じゃあ家の前に不用品の入った段ボールを置いて、『ご自由にお持ちください』と書いておいたらいかがでしょう。東京ではよく見かけるんですが」
「ほんなら試しに明日からやってみます」
「一週間ほど置いてみて、それでも残った物は…」
「十萬里さん、そうなったら潔く捨てますがな」
私はきっぱりと言い切った。
来月は睦美が久しぶりに泊まりにくる。
今年の大晦日は子や孫が全員揃うことになっている。
想像しただけでうきうきしてしまう。
その前に、要らない物は全部処分してしまおう。
→現実世界のつながりが充実すれば、物に思い出を託して、後生大事にすることもなくなるのかな。
「…子供が死ぬのは親にとっていちばんつらいことですから」
菜々美は黙って聞いていた。大人になる途中の心に、どう響いただろうか。
大人が当たり前だと考えることでも、子供は初めて耳にすることが多いものだ。そして、そのことに気づいていない大人は多い。大人は言葉を惜しんではならないのに、忙しさにかまけて子供を知らず知らずのうちにないがしろにしている。p285-286
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もともと片付けは好きだけど、読みながら片付けたくてウズウズしてしまった。
本当に気持ちが荒れていると家が散らかってくる。心の余裕がないと出来ないものなのかな。
最後だけ片付ける側の視点で描かれているのが新鮮だった。やっぱりそう思ってたんだ…。
前の3人までは遠慮のないズケズケとした物言いで影響を与えていったけど、最後は悪戦苦闘してちょっとイライラもしていて面白かった。
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主人公の大庭十萬里は、「片づけ屋」としてマスコミや書籍出版でも知られた存在。しかし、自ら依頼者宅の片づけを行うことはない。依頼者の置かれた状況を見極めていくといった、ちょっとしたミステリータッチで描かれていく。登場する依頼者は4人。それぞれ短編で構成されている。
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以前、俳優?お笑い芸人?のきたろうが文化放送の番組で「面白かった」と言っていたのを覚えていたのでコンビニで見つけた時立ち読みしていたら面白かったので買ってみた。割と面白い。
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いい話だった!!
部屋の片付けと何故片付けられなくなったのか、
上手く作品になってて、リアルでよかった!!
これを読むと片付けしたくなる!!
ほっこりできていい作品です!!
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この物語のように片付けと心理は密接なつながりがあると本当に思う。自分は片付けへの心理抵抗を減らす工夫やキレイさを維持できる仕組みなどモノの要因の方に興味があるのだけど、人間関係や心の悩みなど人としての問題で部屋が荒れることもあるのだと強く感じた。中でも一番最後の一つだけ片づいた部屋の話がじんわりきた。
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私の部屋も片付けて欲しいな、、、あ、片付け方法の指導だった。いや、もういっそ、カウンセリングと片付け、同時にやって欲しいな。
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別に部屋は散らかっていないが、常に綺麗に片付けておきたい気持ちがあり表紙に惹かれて少し立ち読みしたら面白かったので購入。
ゴミ屋敷の問題をたまにTVで見るが、本書を読んで、そういうのは片付けられない人の心理状態、人生、生き方に直結するものなんだと感じた。部屋を片付けたいときは、立ち止まってゆっくり生き方を見直してみようと思う。
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部屋だけでなく人生も整理してくれる、大庭十萬里。
汚部屋や片付けられない人々の家や生活を彼女が指導して変えていくお話。
全4話の短編集だけど、どのお話も面白くて気持ちもスッキリする!私ももっと片付けてスッキリしたい。とても前向きになれる本。
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部屋の掃除ができない背景には様々な社会的・心理的な要因があって、それらの要因を分析して解決策を見出していくおばさんの物語。
おばさんは基本的に無愛想だけど、時たま見せる笑顔や褒め言葉で人を操っていく魔性の女。普通のおばさんで地味なんだけど大活躍していく様子に勇気をもらった。
自分もここのところ掃除を頑張って取り組みたいなと思っていたから、どのように捨てればよいかテクニックも学べたし、掃除だけじゃなく人生の断捨離もやりたいなという意識を得ることができた。
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片付ける事は人生を整理する事である。今や断捨離は現代のライフハックの中心となった。様々な指南書が発売され、主婦向けのテレビ番組の企画にも取り上げられてすっかり定着した。この本の登場人物は片付けられない、難ありな人物ばかり。十萬里(片付け屋)は、片付けられない人々の心理に迫り、だんだんと「寛解」させていく。
登場人物の片付けられない原因の背景は様々であるが、まるで自分自身がカウンセリングを受けているような錯覚を覚える。どんな指南書よりも胸にドキリとさせる、方法が諸所にあるのだ。断捨離の本はたくさんあれど、迷ったらこの本を読んでみてほしい。
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社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、一部屋だけ片づいた部屋がある主婦…。『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら汚部屋を綺麗な部屋に甦らせる。この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!
ケース1「清算」はよかったが、あとの三作は、うーん、今一つ。