紙の本
なるほど
2018/08/26 14:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終わった後にすっきりするような感覚があって、何回でも読み返したい本です。図書館で読みましたが、購入したい。
投稿元:
レビューを見る
『暮しの手帖』の編集長・花森安治さんの本。
読み応えあります。
時代を超えて読んだ後もなにか心にずっしりと残ります。
私は特に、「リリス プレスコット伝」が好きでした。
投稿元:
レビューを見る
今読んでも、全く古びていない内容であった。
タイトルの記事は、水俣病を扱う記事だったが、
これを震災後の原発の問題に置き換えて読んでも
全くおかしくない。気骨のあるジャーナリストが
以前から警鐘を鳴らしてくれていたことが、今現在でも
解決されていないのだと、はっきりとわかる文章だった。
生活・戦争・ひとのありかた・これらを論じる時
当時よりも今の私たちの土性骨が抜けていることは
更に恐ろしい。
まして、もう著者はこの世の人ではないのだ。
読者に、これは他人事じゃないよと
「あなた」「君」と呼びかけ、膝を詰めるようにして
諄々と、烈々と語った人はもういない。
現在にも素晴らしい編集者はおられるだろうし
いろいろな問題に真摯に向き合った執筆者は
いると思う。
しかし彼のように、舌鋒鋭い批判というのとも違う
率直でがっしりとした言葉で、言うべきことを言うひとは
少ないのではないか。
徒に何かを騒いだり責めたてたりは、花森氏はしていない。
声をあげるべきは上げ、負けるべきなら潔く。
慈しむべきは慈しみ、日々の生活を愛する。
その姿勢が、この一冊に凛としてこもっている。
引用してどうこう、というのではない。
是非ひとつひとつの記事を丁寧に読み進めて頂きたい。
投稿元:
レビューを見る
花森安治の本は初めて読んだ。今まで敬して遠ざけるようなところがあったが、この一冊は書店で置かれていた佇まい——端切れを接ぎ合わせた旗の翻る写真とか、開いた誌面の活版らしい文字組みの様子(実際には重版するうちオフセットに変更されたようだ)に惹かれて手に取り、29編のエッセーを、一気にとはいかず、一つ一つ時間がかかりながら、読み進めていった。
戦後の、高度成長期までの、イケイケの世の中に、日常の暮らしを切っ先を突きつける舌鋒は重く強い。が、違和感少なく読めるのは、今ならスローライフ的と言えるような、ポストモダンとも言えるような、当たり前と思えるような価値観の表明が多いからで、むしろ現在のほうが、かつて花森が時代に抗して重んじようとしていたものへの共感を強めているからだろうか。
強烈な敗戦の経験というような共通の経験は我々の世代にはない。あるのは、長くつづく不況による閉塞感の共有だ。ここから、どのような怒りと矜持を持って、私たちの旗を掲げることができるのだろうかと考えさせられた。