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快男児っていうより怪男児だし、切れ者って云うよりご迷惑男w
まだまだある未訳な作品を纏めて出版して欲しい。
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キューゲルを知ったのは、T&Tのルールブックであった。なによりも機知を武器とするという紹介でどんな魅力的なキャラクターであるかと興味を抱いた。その後、河出文庫で天界の眼を読み、口八丁ぶりに驚いた。
今回、中村融の訳と解説で出版されたが、キューゲルというキャラクターのいい加減振りが何ともたまらない。悪びれもせず嘘をつき、その場凌ぎで渡って行く。無責任男の魅力があふれる一作。
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「終末期の赤い地球」で描かれたダイイング・アースの世界
を舞台に切れ者キューゲルの冒険を描いた連作短編集。
「不死鳥の剣」でキューゲルに触れることが出来たので、
この際「ジャック・ヴァンス・トレジャリー」を片付けて
しまおうという算段である。
と言ってもキューゲルの「切れ者」は自称であり、その実は
自己中心的で女好きで他人を騙すこと傷つけることを何とも
思わない小悪党である。端的に言うと「ひどい男」であり、
とても感情移入できる主人公ではない(苦笑)。例えて言えば
北欧神話のロキを一回りも二回りもスケールダウンさせた
トリックスターというところか。従って、タイトルから想像
されるキューゲルの快刀乱麻の活躍を期待して読み出すと、
肩すかしを食らうことは間違いない。読む人を選ぶ作品かも
知れない。
この作品の読みどころはキューゲルのドタバタによって
様々な価値観や伝統が相対化されて破壊されていく様を見る
ところにあるのだろう。最後には自らを、そして物語その
ものをも相対化してしまうのだから、ぜひ最後の落ちまで
読んでいただきたい。