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単一の国の歴史からは見えてこない背景が、
周辺の国の歴史(つまり世界史)と地政学をあわせることで浮かび上がってくる。
現代の世界情勢に大きな影響を及ぼしている、インターネットによるボーダーレス化、サイバー攻撃による脅威。そういった観点での佐藤氏の分析、考えを知りたいが本書では多少触れる程度で、その点はすこし残念。
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オーディオブックで読了。
2016年時点での地政学をざっと総覧するのに良い。
特に米国、中国、ロシアといった国々にとっての地政学を歴史と地理から読み解き、そこに中東・イスラム国への分析が入っており、これらの出来事の文脈を読み解くのに非常に役立つ。
ただし、このボリュームに広い範囲を含んでいるので、歴史的背景への考察などもかなり限定的にならざるを得ない点は致し方ない。更にツッコんだことを知りたい場合は、本書に挙げられている文献にあたるのが良いのだろう。
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著者は大変知名度が高い方ですので、皆さんご存知だと思います。複雑な世界情勢を読み解く上で、歴史と地理的条件を掛け合わせ、地政学的観点から考えることの重要さを説いています。
東ドイツ建国に際しての、ドイツ国民民主党に旧ナチ党員を取り込む寛容な政策をソ連がとったことが、今日の旧東独におけるネオナチ運動の隆盛につながる、といった洞察や、メルケル首相が東独の社会主義統一党の青年組織に属していたことから、現在CDUの党首でありながらも、当時の価値観を保持しているだろう、といった考察、ロシアのユーラシア主義と旧東欧諸国のNATOへの取り込みがウクライナ問題の根底にあること、そしてサイクス・ピコ協定とISの問題、中国の海洋進出とキルギスの問題、アメリカやイギリスの孤立主義などなど。
著者は神学を修めた方だけに、宗教が国家間の関係に与える影響についても洞察が及んでおり、その観点の包括性に触れることにができるのもこの本の良いところだと思います。
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"海洋国家と大陸国家、シーパワーとランドパワー、歴史と民族、宗教と地理、これらを総合的に理解し、読み解けると国家の動きが読めてくる。
本書で学んだことは、イスラム教の奥深い宗派の数々やサイクス・ピコ協定から読み解く中東の国々などや、ロシアの考える緩衝地帯的な隣国との付き合い方など、知っている人には当然のことなのだろうが、なかなかここまできっちり学んだ人は少ないのではないか。地政学を学ぶ第一歩としての本としてもよいと思った。"
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英米、ドイツ、ロシア、中東、中国、などの各国の政治を地理と歴史を交えて考察した本。この本についてのある方の感想を聞いて興味が湧いて読みました。
作者の主張のうち、下記が印象的でした。
•アメリカの孤立主義は啓蒙思想から来ている、
•英米は海洋国家であり孤立主義を時として選ぶ傾向がある、
•ドイツはEU統合の利潤を享受してきたが、今後はその維持コストを払う局面に来ている、
•中東は、国境を認めないイスラム教の世界観を持つ。無理に国境を引く西洋システムではいつまでも解決が望めない、
•中国が南沙諸島を埋め立て岩を島にした行為に、日本は意見ができない。日本が沖ノ鳥島をコンクリートで固めて岩を島と主張する行為と同じだから。
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主義思想が国に与えるチカラを大きな視点で捉えることができた。
変わらないものに目を向けると、見えてくる傾向がある。
五大国と同様に日本も大国としての振る舞い方を知りたいと思った
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2016年に書かれた論考が今起こっているロシアのウクライナ侵攻を理解するために大いに参考になりその必然性すら感じさせられる。ということは、佐藤優はインテリジェンス専門家としてはなかなかの人であるということか。
国際情勢を読み解くために「歴史」のアナロジー的なものの見方と「地理」の動かない要因(国家戦略に活用したものが地政学)を掛け合わせて思考すること。その教養を深めることが必須であるとして、唯一の具体例が「プーチンのユーラシア主義」であることに彼の分析予言能力の凄さを見た。
英米、独、露、中東、中国とそれぞれ明快に分析されている。反芻して頭にインプットしておくべきものと痛感する。