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話に引き込まれるし、ミステリーとしても良かったです。良かったんですけど過去の話を読み進めるのが辛かった。辛すぎました。理不尽なことへのやりきれなさ、無力感を抱くのも偽善のように感じるし、彼等に比べて私が不満を持つなんて許されないとまで思いました。
それだけ伝える力のある小説ということです。
良い作品ですが私には辛すぎるので星ひとつ減らしました。
ごめんなさい。
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友情の裏に隠された衝撃の過去が明かされるミステリー。
第一章 武蔵野陰影
第二章 筑豊挽歌
第三章 伊豆溟海
職安で出会った葉子と希美。
葉子は、借金まみれの末、心中した妹の子・達也を引き取り、借金取りに追われながらの生活。
希美から紹介されて住み込みの家政婦として難波家にやってくる。
難波家の当主と触れ合うことで変わっていく達也、そして当主の息子・由起夫に恋心を寄せる葉子。
しかし彼女に救いの手を差し伸べた希美と由紀夫との只ならぬ空気を感じた葉子は戸惑う。
当主の死によって、由起夫と希美の筑豊での暗い過去の端緒が現れ、罪を背負って生きてきた者と、支配する者の悲惨な人生が詳らかにされる。
なかなか珠玉の作品。
初めて読んだ作家さんでしたが、伏線の回収もばっちりで、すべての点が一つにつながる気持ち良さ。
他も読んでみようと思います。
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先生以外すべての主要な登場人物が直接的間接的に殺人に関わっている。読者の予想をどんどん覆す後半は、面白かったが、重いイベントをこれでもかと盛り込みすぎの感想を持った。自分には合わないと思った。同じ泥臭さを出す場合にも、読後感がもう少し軽いのが自分には合うと思った。
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悪い女が出てくる話は好きなのだが
宮部みゆきさんの火車や東野圭吾さんの白夜行に比べるとパンチが弱いですね。
後半に向けて、悪さが加速するのが私好みなので。
途中から渡部さんの登場が多いので、何となく達也なんだろうなとは想像できました。
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1985年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。
しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。
全ての始まりは1965年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。
絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?
読み友さんが「心を鷲掴みにされた!」というオススメ作品♪
ほぉ〜ぅ……なんとも骨太な感じ!
終盤「そんなに上手くいくか〜?」って思わなくもなかったけど、廃坑集落の想像を絶する貧困さや、他人を踏み躙る人間のおぞましさなどに言及する筆致が容赦無く、心を揺さぶられる作品でした〜!!
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これは傑作だ。20年区切りの時間軸と、筑豊・東京・伊豆という場所軸を、行きつ戻りつしながらミステリー部分と人物描写部分、更に時代背景も浮き彫りにし、時には細やかな時には大胆な筆致で、全体通して非常に丁寧な人間ドラマを構築している。こういう本があるから読書はやめられないとつくづく実感できる。
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尊厳を奪う人を殺すのは罪なのだろうか。
その罪を背負ったままどこに行けばいい?
行き場がない。
破滅を恐れ、破滅を望み。
どこへ行けば赦される?
ねぇ、あなたの人生で一番笑った話を聞かせてよ。
あったよね。あればいいな。
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ホラー作家として評価されている(解説によれば)著者。安定感のある文体と早く先を知りたくなるストーリー構成が素晴らしい。特に主人公のルーツである1966年の筑豊の廃坑集落での凄まじい貧困と暴力の日々は、とても同じ日本とは思えないほどで鳥肌が立つような迫力の描写。作者の力量がよくわかる。
全くのノーマークだったけど、遠田潤子にも通じる純日本的な因縁ミステリーとして出色の作品。4.3
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第70回日本推理作家協会賞受賞作。
面白かったです。
表紙の絵の中学生男女二人の絵がアナログなかんじで、暗い色調なので、なかなか手に取る気になれなかったのですが、読み始めたら一気読みでした。
2015年の夏、病気で伊豆半島下田にある超高級老人ホームで暮らす、難波葉子が夫の難波由起夫との間に起きたことを少しずつ語り始めます。
1985年春36歳の香川葉子は職業安定所で生年月日がまったく同じ女性石川希美(きみ)と出会います。
葉子には借金を苦にして心中した妹夫婦の子どもで甥の達也4歳がいます。達也には障害があり喋ることができません。
希美は葉子に家政婦の仕事を紹介してくれます。二人の女性の間には友情が生まれます。
葉子が働き始めた難波家には先生と呼ばれる主人の寛和と妻の佳代子の先夫との間の長男の由起夫がいます。
由起夫は達也を非常に可愛がってくれ、葉子は由起夫に「達也の父親になってくれませんか」と身分不相応なことを口走ってしまいます。
そんなある日寛和が不審死を遂げてしまいます。
そして葉子は難波家の弁護士の加藤に達也は血の繋がりよりも、両親の揃った家庭に養子に出すべきだといわれ悩みだします。
そんな時、加藤と加藤の秘書だった希美の乗った車が車の転落事故を起こし二人は落命します。
そして物語の舞台は1965年の筑豊地方へ。
これ以上先を書くと全部ネタバレになるので書きません。
私は松本清張の『砂の器』のような話なのかと思いましたが、文庫解説の杉江松恋さんは小池真理子さんの『恋』を挙げられています。
以上のレビューではどういう話なのかみえないかもしれませんが、勘の良い方ならわかってしまうかもしれません。
第二章以降は昭和の高度成長期、バブル期などを経て2015年夏まで語られていきますが、全体に伏線が張り巡らされた非常に面白い犯罪小説であることは間違いありません。
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宇佐美さんの本はとっても読みやすくてわかりやすく面白い。
主人公だと思ってた人が実は違ったという面白い展開と炭鉱の町の暗く重苦しい雰囲気にグイグイ引き込まれる。
でも、地元の私でも同じ県内だけど方言がきつすぎて意味が分からない所があり、これ他県の人が呼んだらちんぷんかんぷんじゃないのか?
色々な作家の方が、福岡の炭鉱の街を舞台とした本を描いていて、どの作品もとても興味深く面白かった。
炭鉱の町の栄枯盛衰 日本の戦後復興と高度成長をを支えた貴重な歴史として伝え残して行くべき歴史だと思います。l
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2021.05.22.読了。
あー、いい作品だった。
途中からは読み進めたくなくなった。あまりに引き込まれるのでこの作品を読み終えてしまうのが惜しくて淋しくて。
そんな偶然!と思える場面もある。でも、良い作品好みの作品というのはそういう事もひっくるめて納得できるものなんだよなー。
こういう小説を読むと、作家って凄いなぁって改めて思う。どこからこんなストーリーが降りてくるんだろう?!わたしは作家にはなれないけど、読者になれてよかった。これから先も読書続けようと。
いい作品に出会うと幸せだもの。
ただただオススメの逸品。
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持ち歩きながら少しずつ読み進めたけど、不思議と場所、気分を選ばすいつでも読めた。現在と過去の展開も程よい切り替えで面白かった。宇佐美さんのは2作目、他の作品も読んでみたい。
余計なお世話だけど、表紙もうちょっとどうにかならなかったのか。
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前向きに生きようとする裏に潜む深い闇を、時代の流れを見せながら、展開する罪と転落のミステリー。炭鉱の世界は全く知らなかったが、辛く厳しいところからまさに命懸けで脱出するところは読み進めるのが辛いくらいだった。タイトルとしたキーワードはちょっとわからないまま。
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作品レビューに惹かれて読んだ。確かに、東野圭吾の『白夜行』『幻夜』を思わせる内容だが、全体にもっとコンパクトで、分かり易い、というか、葉子が武蔵野の家に移り、ユキオが出てきたあたりから、大体の筋や先が読めてしまう。
しかし、豊かで時に容赦ない描写が、武蔵野の森の美しさや、筑豊の廃炭坑の貧窮を浮かび上がらせ、まるで手を引かれるように、読了まで持っていかれる。
3部仕立てのなかで、65年、85年、2015年と時代を行き来する場面も、転換がうまく、読み易さを感じた。
自罰的で幸せを拒む男女に、サイコパスが執拗に迫り、更に新たな獲物を手にしようとする……という設定は、あまり新しい感覚はないが、優れた筆致で、読み手の心を深く抉り、忘れ難い痛みを残した。
汚いもの、おぞましいものを率直に描く姿勢は見事。
他の作品も読んでみたい。
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面白い、どんどん読み進んだ。犯罪と時代背景が
納得させられる。近い時代を生きた者には、高度成長期の人間の貧困や格差が、沁みる。