電子書籍
安倍政権の働き方改革に関係しそう
2017/01/08 02:18
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投稿者:にしけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
安倍政権の働き方改革を論ずる際に話題になる本だと思う。
人口増大を主因とするGDP成長を期待できなくなった今、生産性を上げ高い給料を払うことでGDPを上げる必要がある、と主張している。
巷に溢れるあやふやな議論にいちいちデータを挙げて反論しているので説得力がある。
紙の本
日本の将来の処方箋を示してくれる書です!
2018/11/19 09:23
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、長らく続く経済低迷の日本が今後、どのように立ち直っていくべきか、その処方箋について丁寧に解説された書です。日本にはまだまだ潜在能力があると著者は言います。ただ、それが活かされていないのだと著者は強調します。人口減少、高齢化社会を迎えた現在でも「昭和の常識」を維持して、そのやり方を換えない日本社会。将来、日本が立ち直るためには、昭和の常識を打ち破り、もてる潜在能力を十分に発揮していくことが絶対的に必要だと本書は説いてくれます。
紙の本
「生産性を上げるために」欠かせない一冊!
2017/02/02 12:48
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投稿者:イチロー - この投稿者のレビュー一覧を見る
データを根拠に、これまでどうして日本は爆発的にGDPが上がったのか、などを緻密に分析。日本を愛する筆者だからこそ、厳しくも指摘する。生産性を上げるためには、まず経営者を改革スべきと語っています。重要なのはデータ分析。本を読み終えると、「さぁ、お仕事頑張ろう!」と思える一冊です。
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日本人は時として公益性に重きを置くことが出来ない時がある。個人の利益が侵されることを是としない。しかし、長く(将来にわたり)広く(地域全体)考えていくと公益性が個人の利益につながる場合もあるのでは。と考えさせられた。
人口増加の絶対的優位がなくなった日本・・・お上(かみ)まかせではなく、個々が成長し考えなくては。
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日本人は肯定されたい気持ちが強い傾向にある。
褒められたい、という傾向。
サッチャー首相は、イギリス史上初の理系出身。
What are the facts?
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政策提言として、政府がGPIF(公的年金ファンド)を通じて上場企業に「時価総額を上げろ」というプレッシャーをかけるべきだと。
日本の上場企業経営者は国際水準ではまったくの無能であり、利益を出せていない(「3時に閉まる銀行」という例が何度も登場する)、無能な経営者を交代させることでしか生産性の向上はない、女性の活躍もないと。
なお、藤野英人著『ヤンキーの虎』にも「5年平均でROEが5%を下回ったら経営者をクビにしろ」と書いてあった。冨山和彦著『なぜローカル経済から日本は甦るのか』には両方あわせた主張、つまり「GPIFはROE 5%未満企業から金を引きあげろ」と書いてあった。まさに同意する。
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# IT投資と生産性
アメリカでは生産性上昇率の半分以上がITによる貢献だった(1995〜2001年)。つまり生産性向上においてIT投資が重要となる。じつは日本もIT投資比率は低くない。ではなぜ生産性が上がらないのか。
IT投資を通じて生産性を向上するには、「ITを人の働き方に合わせるのではなく、人の働き方をITに合わせて変える」ことが肝要だ。これができていないので、日本のIT投資は生産性向上に貢献しない。パッケージやSaaSの導入が進まず、オーダーメイドシステム開発ばかりやっている。
『中国化する日本』風に言えば、日本の労働者は「業務プロセスのドラスティックな変革」に対する拒否権プレイヤーなのだ。「仕事のやり方を変えなくていいなら、システムを導入してもいいですよ」「仕事のやり方を変えようとするなら、そんなシステムは使いませんよ」と。それではシステムを導入する効果がない。このような「百姓一揆」の抑止力によって、日本のIT投資には失敗という選択肢しか与えられていない。
この問題については、単に経営者の責任というよりも、むしろ「江戸時代的な日本人のエートス」に原因があると言うべきだ。「自分の居場所(正社員という身分、家職)で立派に勤め上げたら、老後も社会(会社とクニ)が面倒みてあげましょう」という「労使の日本式社会契約」がある限り、日本の生産性は上がらないだろう。
これから否応無く日本社会でも資本と労働の流動性は高まって欧米化、いや、「中国化」していく。ならばそれに適応して日本の社会システムも更新されなければならない。日本の生き残りの道はそこにしかない。
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生産性=1人あたりGDPってことですかね。過去の日本経済は人口ボーナスに支えられてきたってのは,最近目につく議論かもしれません。現時点で日本は世界11位の人口大国だということは,意識しておいた方が良いでしょう。
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序盤の多くは統計情報を使って、日本の生産性がいかに低いかを説明しているが、個人的にはその後の、具体的な日本の問題点を指摘しているパートからが本番。やや、すべてを人口が増えていたことに原因を求めすぎだとは感じたけど、指摘内容は概ね納得いくもの。
ただ、著者も言っているように問題点をあげるのは比較的簡単で、改善方法を述べるのは難しく、実行するのはさらに困難。その割にこの本ではラスト一章のみで、政府レベルで行うマクロな方策を提示しているのみなのでもう少しここを詳しく読みたかった。
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著書の結論としては、「日本のGDPを底上げするには生産性の向上しかない。」というものであり、その主張を客観的なデータをもとに分析している。ほとんどの国の経済成長は人口増加によるものであり、90年代までの日本も例外ではない。人口減少時代に入った今、経済を成長させるには生産性を向上させる以外の道はない。そのためには、経済成長が低迷した要因が先進国のなかで最低水準の生産性にあることにしっかりと目を向け、今までの企業経営の在り方を変える、意識改革をする必要があるという。
私自身、筆者が痛烈に批判するような、これまでの経済成長は「日本人の勤勉性」や、ものづくりの文化の「技術力」によるものだと思っていた。しかし、それらは高度成長の一面でしかなく、さらにはその時代の低い生産性が未だに改善されていないことに驚いた。たしかに、様々な会社の業務が効率的であるとは言えないし、これから訪れるAI、IoTの時代に対してメディアが取り上げる「仕事を奪う」という論調に同意していた。しかし、よくよく考えるとIT化やその他歴史上様々なイノベーションにおいてそのようなことは多々あり、その都度新たな職や受け皿が存在してきた。
ただ問題としては、年金基金などを介して政府が企業に対して時価総額を上げろというプレッシャーを与えることによって生産性向上を促すのはどうであろうか。企業は短期的利益のみを追求することにはならないだろうか。
蛇足だが、日本における起業の障壁を低くし、そして利益を上げられない企業はどんどん淘汰されていく仕組みを作り、市場の新陳代謝をよくする必要があると思う。
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外資系金融のアナリストとして活躍し、現在は日本企業を経営する著者が、
・「GDP=人口×生産性(1人あたりGDP)」と考えると、過去の日本の経済成長は人口増による影響が大きく、技術・ものづくりなどの要素は実は小さいこと
・人口が増加しない日本においては、生産性を上げることしか経済成長の道はなく、そのためには国家が政策的に経営者に対してROE重視の経営などのインセンティブを与えて、生産性を上げるように仕向けていく必要があること
を、膨大な統計データの分析と、平易な日本語かつ明確なロジックで明らかにする。
具体的な生産性を上げるための提言については、より具体的に知りたいという気にさせられるものの、これまでの日本の経済成長を巡る言説が全て幻想にすぎず、その幻想が未だに日本社会を支配していることを繰り返し説く様は非常に痛快であり、ショック療法的な価値がある。
昨今の生産性論争の中で、基礎的なファクトデータに基づく的確な現状を知れる点で非常に有益な一冊。
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分科会で度々話題に上る「日本人の生産性」に関する本。
「日本人の生産性低いぞ!やばいぞ!」を煽る本としては大成功。
データの使い方が怪しい(その割に「日本にはデータサイエンスが足りない」との記述がある)点と、提案している解決策が丸すぎる(ほとんど何も言ってない)点が微妙。
生産性の議論が確かに必要であることと、あらゆるシステムやマインドが関連していて解決が簡単ではないことが確認できる。
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日本はGDP総額では世界3位の経済大国である。
しかし「人口一人当たり」で見てみると実は世界27位。その他、一人当たり輸出額は世界44位、一人当たり製造業生産額はG7の平均以下。
つまり、生産性がとても低い。
経済大国だなんて言って安穏としてはいられない。なぜならもう「総額では3位」を支えてきた「人口」が減り始めているのだから。
本書は日本経済が本来の力を発揮できていないという、日本人が案外直視したがらない事実を、国際比較で突きつけ、その原因を分析し、なぜ改革が進まないかも分析したうえで、処方箋を示すものである。
様々な国際比較のデータは興味深い。本当に「(生産)人口一人当たり」に置き換えると日本は悉く先進国での順位が低い。
なぜそうなったかと言えば、戦後~高度経済成長期にかけての爆発的な人口増加を背景にした「日本型資本主義」に固執しており、この20年の社会情勢の変化に全く適応できていないからと言う。
正直このあたりの指摘はなかなか面白い。
客観的なデータと、著者自身イギリス人という外部の目から見た日本文化の特異性という人間の目で見た分析がうまくかみ合い、説得力があるし読ませる。
それだけに、解決策の提示があまりに薄いのが残念。
曰く、年金機構を通じて、政府が企業に時価総額の向上というプレッシャーをかけるのが効果的と言う。
これについて、具体的にどの程度の企業に対し、どの程度の影響力(すなわち議決権)をもって行うのか?等の具体的ステップの解説がない。
ただ、海外でもこの方法で、大企業の効率が向上し、GDP向上に効果があったとさらりと述べるにとどまる。
このあたり、先行事例の具体的な制度紹介や日本への適応方法についての提案があれば、より良い一冊だったのだが、少し肩透かしで終わる。
とは言え、教養として一読しても損はないような一冊。
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観光立国論に続いて、こちらも面白い。人口ボーナスという考え方をあまり知らなかったので勉強になった。このままだとどんどん不幸せな国になるが、どうやってとめたらいいのか。
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日本のGDPは世界第3位、ノーベル賞は世界第6位と一見レベルの高い国のように見えるが、一人当たりに換算するとそれぞれ27位、39位とかなり落ち込んでいると切り込み、返す刀で日本の1990年までの高度成長は人口ボーナス(人口が増加している)のおかげだったと看破する。すなわち一定以上の技術力はあったもののビジネスモデルはさして優れたものではなかったが、たまたま上手くいった結果だとし、「失われた20年」とは日本が20年間自らの成長を振り返ってこなかったからであり、また、ワーキングプア比率もメキシコ、イスラエル、トルコ、チリ、アメリカに続く第6位(国家が破綻しているギリシャより高い)など問題は多くなっていると指摘する。日本は労働人口に占める高スキル労働者の比率が世界一高く(ここはいまいち根拠が見えなかった)潜在能力はあると持ち上げ、問題は変化を拒みリスクを取らない経営者だと、糾弾する。思い当たる節もあり、いちいちもっともなだけに耳が痛い。
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日本の経済状況を「人口ボーナス」の軸にデータをつかって解説。経済力は人口✕生産性であり、日本の高度経済成長は人口が伸び続けた恩恵だった反面、生産性の向上がなかった。結果、現在の長い停滞に踏み込んでいる。慣例を重んじ、効率をもとめない日本人の特性が生産性の向上を阻んでいるという。完全に同意。総論賛成、各論反対が多すぎる。より苦境に陥って、明治維新や、太平洋戦争のようにリセットしないとダメな国民性なのだろうか。
著者の問題意識は的確だが、対策を企業の経営努力にもとめるのは実効性としては時間がかかりそうで、諦め感が強い。国家に期待するのではなく、自分の身は自分で守る必要がある。