紙の本
風刺錦絵の解説を超えている
2018/01/08 16:43
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投稿者:井沢ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
風刺錦絵から当時の世情を読み解くという見方は面白かったが、それを超えて薩長を中心とする明治維新は良くなかったとか、幕末維新の勝ち組メンバーをぼろくそけなしていることについては暴論でしょう。当時の一般市民は倒幕、明治維新の目的や実態までつかんでいるわけではないし、あくまでうわさや世間の噂や生活事情を描いているだけに過ぎないと思うのだが。また、学者的で資料第一主義であることや、専門ではないのに人物批評をするのはいいが勉強不足は否めない。司馬遼太郎や井沢英彦などの歴史本に学んだ方が良いのではないかとも思う。
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<目次>
はじめに
第1章 庶民に嫌われた新政府軍
第2章 新政府軍に目をつけられた人々
第3章 旧幕府側から見た明治維新
第4章 明治政府のイメージ戦略と「三傑」の実像
おわりに
<内容>
最近多く出ている、明治政府=薩長政府批判の本。第1章は、歴史を見るときのポイントなので、授業でもこうした風刺画は取り入れたいなと思った。第2章もわかる。第3章は「なるほど」だが、第4章は書きすぎかな?そこまで「三傑」を全否定しなくてもいいかと思う。歴史は勝者によっていくらでも書き換えられることは事実だし、都合よく捻じ曲げられるもの常套なので、我々がどのように読み解くかだとは思った。
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「旧き悪しき江戸時代を克服して、希望あふれる明治の世になった」という「明治維新」に関する従来の歴史観を批判し、思想史学的な観点から、「明治維新」の真の姿を、幕末や戊辰戦争、それに対する庶民の反応、そして当時を代表する人物たちの発言や行動を用いて、浮き彫りにしようとしている。
幕末の「かわら版」や「錦絵」を用いて当時の庶民の幕府や新政府に対する反応を明らかにしようという試みは非常に面白いと思った。
一方で、本書の叙述には、著者の「江戸幕府=善、明治新政府=悪」というバイアスが強く感じられ、本書で紹介されている史料的根拠から、そこまではっきり「江戸幕府=善、明治新政府=悪」が導き出せるのかということについては、あまり納得感がなかった。また、著者の立論に都合の良い史料を紹介しているだけではないかという疑念もぬぐいきれなかった。結局、幕府側、新政府側、どちらにも良い面、悪い面があり、どっちもどっちというところではないのかというのが感想である。
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明治維新を見直す。江戸時代の再評価。司馬遼太郎の龍馬や秋山真之から開放された新しい近現代史が我々には必要だ。
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テレビで語られる明治新政府は日本を開国して近代化を切り開いた英雄と語られることが多いが、この本はその視点を覆し、新政府の実権を握った薩長の面々は、争いを嫌い、哲学や美学を持った幕臣とは違い、自分たちが権力を握りたかっただけの好戦的な人物だったと一刀両断。
なかなか斬新な推理でにわかには受け入れがたいが、その後日本がたどった道筋を見るとうなずけるものがあるかも……。ちょっとこのへんはもう少し色々な視点を勉強してみたい。
それにしても、江戸の庶民は幕府を応援していたというが興味深い。しかも、言論統制が激しい時代だから錦絵に隠して表明し、それを大衆が受け入れていたという。江戸時代の庶民は高い文化的感覚には驚かされる。
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明治新政府に対する評価については概ね同感だが、あまりにそれを強く主張したいがために全体的に内容が薄っぺらく、論理が飛躍した主観が多い(〜に違いない、という表現が頻出)。また、何故か長州にはやたら寛容で一方の薩摩には異様なまでの憎しみを持っていたり、勝を盲目的に礼賛するあまり、ホラ吹きで有名な勝の発言を全て信じ切っていたり、幕末をそこそこ知っている人にとっては浅くて物足りないと思う。