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紙の本

これはもう自叙伝

2017/03/06 21:31

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あずきとぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る

歌手・戸川純のデビュー35周年を記念して出版された。
この35年の間に彼女が歌い続けてきた数々の楽曲の中から、彼女が作詞を手掛けた曲を彼女自身が解説をする。
アルバム順に掲載された楽曲(解説)は、「蛹化の女」(『玉姫様』)から「オープン・ダ・ドー」(『TOGAWA FICTION』)まで67曲。
その解説は、単に歌詞の内容を述べるだけでなく、歌詞が生み出されてからレコーディングに至るまでの過程や、歌詞の中の主人公や展開を作り出す元となった自らの体験・記憶なども語られていて、非常に興味深い。
エキセントリックなパフォーマンスや七色の歌声に耳目を引かれがちだが、彼女の書き上げる歌詞は緻密な計算の元に組み立てられている。
彼女は、自分の歌のテーマを「諦念」「一人感」「生への執着」であると言っている。
そして、その多くが十代のときの家庭・学校での経験・記憶に根差したものだという。
十代の頃のいじめについては、これまでも言及されてはいたが、家庭での虐待と家族関係、事務所とのトラブル、そして95年の自殺未遂といったことについて、本人の口から直接語られたのは、今回が初めてのことだろう。
本書は、歌詞に描かれた事象の背景を説いているとともに、戸川純の半生をも書き記した彼女の自叙伝としての性格を持つものである。
彼女に興味を持った人、より深く知りたい人に最適と言える。

最後に、本書「あとがき」にもあるように、ぜひ歌詞・声・音が一体となった「楽曲」を聴いていただきたい。
そこまでを含めて、本書をすべて味わったことになるのだ。

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2017/02/08 00:39

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2017/02/26 11:17

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2018/01/03 21:56

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