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彼の生活をとりまく人や景色が色鮮やかに文章から浮かび上がる。とても読みやすい文章で軽快に進んでいった。何度も死を意識した人は命を大切に生きているし、前向きに生きている。そして、やりたいことを、やれることを、やれるだけやられている。
私の知らなかったいろんななれ初めや彼の生活が垣間見れて、親近感を持てた。
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あとがきのあと「いのちの車窓から」 星野源氏 心のままに思い伝えたい
2017/4/1付日本経済新聞 朝刊
「この本を書く中で自分の文体をつかめたと思います。起承転結にこだわらず、目で見た景色と、心の中の景色をありのまま表現すれば読み手に伝わるんだなって」。無意識に自己顕示欲がにじんだこれまでの著書とは違う手応えがあるという。日々の出来事や、その中で浮かんだ思いを自然体でつづったエッセー集だ。
転機は2013年夏。くも膜下出血で開頭手術をした。「頭部のコックピットにもう一人自分がいて、自分を操ったり」している感覚が強まったと本書に記している。いつも眼鏡越しに、勝手に動く自分を眺めているよう。療養生活の間、そんな自分と向き合うことで、逆に周りを見渡せるようにもなったという。術後の14年後半から17年はじめの雑誌連載に書き下ろしを加えて本書をまとめた。
原稿はノートパソコンで書いている。場所は自宅や飲食店、移動中の車中などさまざま。あらかじめテーマは決めない。「パソコン画面を開いて、自分の頭の操縦席から見えた景色を思い出しながら、あてどもなく書き進めていく」という。
たとえばホテルのバーで作詞をしていたときのこと。漂ってきたたばこの煙とともに、幼い頃、寝たふりをして両親の会話を聞いた記憶がよみがえる。寂しくなると寝返りを打ったり、わざと寝言を言ったり。でも、最後には本当に寝てしまう。本書の印象的な場面の一つだ。
「好きなものは好きだと伝えたい」と話す通り、「好き」の2文字があふれる本でもある。バイクと車を熱愛するタクシー運転手や、紅白歌合戦に出場した歌手の前口上を全て覚えている構成作家、そして柴犬……。出演したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の撮影現場のエピソードも豊富だ。
歌や演技など多彩に活躍するが「自分の思いをそのまま言葉にできる文筆活動は今後も続けたい」と話す。課題はしゃべり。「簡潔に自由に、相手に伝わる言葉で心のままに話せるようになりたいですね」(KADOKAWA・1200円)
(ほしの・げん)1981年埼玉県生まれ。音楽家、俳優、文筆家。アルバムに「YELLOW DANCER」、シングルに「恋」、著書に『そして生活はつづく』など。
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「蘇える変態」も好きだったけど、大人になり、文章も大人になりました。
周りの素敵な人たちのことを書いてあるところで、読んでるだけでちょっとグッと来てしまうのは、愛情が溢れてるからでしょう。
ますます源さん好きになるエッセイでございます。
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星野さんの今までのエッセイとは違った感じ。
文章が読んでて気持ちよくて、星野さんの「え、これのここみてたの?ここ取り上げます?コアだねえ」みたいな視点がすごく面白い。この文章力も、今まで書いて書いて頑張って書いてきたからなんだろうな。努力の天才の考え方の片鱗が見える。
今度は朝のカーテンの光越しに、もう一度読みたい。
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前のエッセイと比べて、とにかく明るくなったと言う印象。それだけ人に恵まれ、仕事に恵まれたからなのかな。辛い事を乗り越えて一周して、源ちゃんの明るさが文章から滲み出てて良かった。
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音楽は以前から好き。
平匡さん好き。
文章は初めて読んだ。。。いいね。
祝 伊丹十三賞受賞!
「未来をよろしく」
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源さんの書いた文章を初めて読んでみた。
印象に残ったのは
・人見知り
『「自分はコミュニケーションを取る努力をしない人間なので、そちらで気を使ってください」と恐ろしく恥ずかしい宣言をしていることと同じだと思った。』
・コサキンと深夜ラジオ
『コサキンのお二人は人を馬鹿にするような笑いを生まなかった。必ず自分が馬鹿になる。人の揚げ足を取ることはせず、自分たちを思い切り下げて笑った。』
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自分が今作りたい音楽に必要なこと、それはなるべくステイすることだ。楽曲の構成を大幅に変化させたり、分かりやすく盛り上がってはいけない。変化の少ないビートの繰り返しの中で、複数のレイヤーとしてメロディやコード進行が重なってゆき、聴く人の内面から盛り上がっていくように作りたい。それが、自分の多くのソウルミュージックに感じるステイするという感覚だった。(p.60)
傘をさして近所のカフェに出かける。小雨は普通の雨に進化していた。ノートPCで先日受けた雑誌取材のインタビュー原稿の校正、今度出る拙著の文庫の校正をしながらジンジャーポークという名の生姜焼き定食を掻き込む。コーヒーを2杯飲む。排便をもよおし、会計を済ませ、店を出るついでにトイレを借りた。(p.67)
活字だけの世界にもかかわらず、驚くほどリアリティのある人間味を感じたり、紙の中で世界中を旅し、知らない場所に行ったような感覚に陥り、様々な人の心の中に入ったような気持ちになれる楽しさを知った。想像力のモーターがフル稼働する楽しさ、読書の快感を味わえるようになった。
そして自分でも文筆家としてエッセイを書くこと、目で見た景色と、心の中の景色を描写することが、一種のヒーリングのようになっている。私は何を見たのか。どんな風景を見て心が動いたのか。その心の動き方はどんな様子だったのか。そこから何を考えたのか。
どんなにたわいないことでも、それをうまく文章にできた時、心の中が綺麗に整頓されたように、掃除したての湯船に入り、綺麗に体を洗ったようにすっきりとした気持ちになった。(p.75)
集団でわざわざ一人になる必要はなくなった。そもそもどんな人間も一人であり、だからこそ人は手を取り、コミュニケーションを交わすのだ。(p.100)
いつだって、世界を彩るのは、個人の趣味と、好きという気持ちだ。(p.154)
仕事があるということ、忙しいということは、とても幸福なことだ。同時にリスクはいろいろと生まれるのでしっかりと対策を講じ、心を無くさず楽しく普通に生きられるように工夫をしたほうがよい。
その中でも大事にしたいのは、季節を感じるということである。
忙しさと季節の関係は太陽と月のようなもので、多忙であればあるほど、季節は見えなくなり、逆に暇であればあるほど季節を感じてウンザリもする。(p.169)
妙にいい匂いがする。
誰かが昼飯を作っている。
昔から、このどこからともなく香るご飯の匂いが大好きなのだけど、一度もなんの料理を作っているのか特定できたことがなく、しかもそれを確かめる方法もないのでいつも歯がゆく思う。
ジャケットを小脇に抱え、シャツ姿で左手にカバンを持ち、右手の携帯電話で仕事の話をしているサラリーマン。小さい団地内の公園で、一人手作りであろう弁当を広げ、黙々と食べている女性。原付バイクに乗って通り過ぎる若者。時折すれ違う人には生活があって、そして紛れもなくこの場所には、日本の季節があった。(p.171)
幸福でありながらもハングリーな表現ができる人が本物だと思うようになり、自分の心に偽りなく好き嫌いを感じられるようになり、嫌いなものの話はなるべく心の中だけに留め、極力口にしないようになり、誰かに馬鹿にされたら、「そうですか」と笑いながら、心の中でただ普通に木津つくようになった。(中略)自分はひとりではない。しかしずっとひとりだ。いつの間にかひとりであるということが大前提となっていて、特に意識もしなくなった。
すると、誰かが手を差し伸べてくれた時、優しくしてくれた時、助言をくれた時、そばにいてくれた時、ひとりではないと思えた時の記憶だけが増えていくようになった。人生のひとりではない瞬間を中心にクローズアップできるようになった。
いのちの車窓は、様々な方向にある。現実は一つだけれど、どの窓から世界を見るのかで命の行き先は変わっていくだろう。(pp.190-191)
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星野源は、きっと、自分に正直な人と言うよりも、自分に正直でありたいと思っている人なんだろうな。帯に「誠意あふれる」って書いてあるけど、本当にそのとおりな文章だと思った。「人間」「恋」「夜明け」が特にいい。
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今まで細野晴臣さんとの対談本以外は読んできた。過去最高に良かった。少しうまく締めようというエゴも見えつつだったけど、全体的にとても自然体だった。作詞のエピソードや話題だったドラマのことなど、いろんなことを知ることもできた。
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人間性が好きなのは もう 書かなくてもいいでしょ。
星野源自身が、本を読むキッカケを 松尾スズキのエッセイだったように、星野源の文字を入り口に私も 文学の本当の面白さをもっと知りたくなった。
そして、文学にはまってきた今、また、星野源のの文字に帰ってきた。
難しいルールなんかなく、笑えて、泣けて、そして進める。
この本は進むための武器になる。
自己啓発本なんかよりも、勇気と自信をくれる最高の一冊。
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星野さんの 、俳優や音楽家の裏側がなんとなく感じられる一冊。
ラジオや、アルバム聞いているほうがいいかな。笑
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星野源がダ・ヴィンチに連載していたエッセイが本に。とっても良かった!
人が好きすぎてウザいと言われ、嫌われたくなくて、ひとりで閉じこもりがちだった幼い頃。
そんな彼を救ったのは「音楽」と「ダンス」!
”いつだって、世界を彩るのは、個人の趣味と、好きという気持ち”
彼が様々な人と関わり、「好き」という気持ちを心に閉じ込めるのをやめて解き放つようになる過程が気持ちいい。
ある日「人見知りなんです」と言うのは、「自分はコミュニケーションを取る努力をしない人間なので、そちらで気を使ってください」という恐ろしく恥ずかしい宣言だったと気づいたという部分にはなるほど!と。
そして新垣結衣ちゃんを描写する回、彼女の”普通である素晴らしさ”や、たくさんの良いところを見つける彼も素敵だなあ。
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自分を操っている感覚や、自分を機関車に例え、目で見える風景を車窓に例える所は客観的に自分をとらえる星野源らしい。
ヘビーな怒りエピソードほど面白く。
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星野さんらしく自分の身の回りで起きたこと、感じたことを飾りっ気のない表現で文章にしている。
とてもシンプルなのだけど、だからこそ「ほっこり」して「穏やか」になれる。
こんな文章をかけるようになりたいと思った一冊でした。