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たかが毛されど毛。無駄で処理される毛もあれば、逆に必要とされる毛もある。そんな毛にまつわる物語。そういえば、今まであったようでなかった種類の本だな。
毛包(毛根部分の毛を生み出す源)に関して研究してこの道30年以上と言う毛のエキスパートによる今回の本。1章から3章までは、生物の知識があったほうが読みやすいなあと思ったがそれ以降は、毛にまつわる歴史などが載っていて読みやすくなる。
毛に関する悩みの一番と言えば薄毛か。あのユリウス・カエサルも薄毛に悩んでいて、政敵からそのことを揶揄されるのを気にしていたというから根深いものがある。
理髪店の前にあるおなじみの看板柱。元をたどると昔行われていた瀉血(しゃけつ、治療目的で血液を体外に排出させること)の処置を意味している。理容業には髪を切るのみならず、外科医としての役割を兼ねていた。
本をペラペラめくっていて目に飛び込んできたものがある。それは「マカロニ」だ。とはいってもパスタではなく、17,8世紀にイギリスで流行した桂の一種だ。「マカロニ」と呼ばれた伊達男たちの間で人気になったとある。いつの時代にも目立ちたがり屋がいるものだ。おしゃれするのも大変だなあ。
毛だけに結構コンパクトにまとまっているなあと言うのが感想だ。
マカロニに関する記事
http://mensprecious.jp/top/dandyism-no4.html
http://mensprecious.jp/top/dandyism-no6.html
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興味深かったこと
FGF5を除去したマウスは、毛周期の成長期が非常に長くなるので、FGF5が毛幹の長さを制御するブレーキの役割をなしている。
音のストレスはホルモンや神経を介して毛の成長を抑制するのに対し、外側からの直接の傷は毛の成長を刺激する。
毛幹の成り立ちは、映画が多くのコマで構成されているのに似ている。映画の一コマ一コマが長い物語の断片を映し出すように、毎日、毛幹の底に付加される細胞にはまさにその日の健康状態が記録されている。(中略)毛幹はひと月あたり1.3cmほどのペースで伸びるので、水銀が記録された’’コマ’’は魚を食べた3ヶ月後に皮膚表面から約2.5cm上の位置にある。
将来的な植毛法:毛包から幹細胞を取り出して毛乳頭細胞と組み合わせ、毛包の前駆細胞を形成し、患者の頭皮の適切な位置に移植できるよう、最後は植毛手術を担当する外科医(またはロボット)に戻せばよい。
将来的な発毛の薬物療法:正常な真皮細胞を望む部位の毛包になるように誘導する成長因子の構成を突き止め、これらの物質をナノ粒子を使って狙った部位にピンポイントで届ける。粒子表面にアンドロゲン分子を持っていれば、アンドロゲン受容体を持つ細胞にくっつく。
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生き物には毛が必要だった。
けれども、現代の人には毛は必要なく、衣類を身にまとっている。ただ、毛の影響は大きく、頭髪の有無で人に与える印象が変わる。
毛にまつわるあれやこれやのコンテンツ本。読んでいて楽しい。
これを読むと、毛とはよくできた外界との緩衝材だなぁと。
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本書は題名の通り、毛髪を始めとする「毛」と人類の関わりについて、生物学、歴史学、文化人類学等々の幅広な見地からの多彩なトピックを集積したもの。毛の成長を司るメカニズムや、毛の人種や体の部位による構造の違い、発毛を促す最先端技術などは初めて知る部分が多く興味深く読めた。終盤、近代西洋社会の成立と羊毛の関係を論じる段がやや冗長に感じられたのは、訳者あとがきにある通り、羊毛が本質的に日本人にとって外部である西欧からもたらされた「テイラーメイド」なものであり、社会・経済的なプラットフォームとして機能した歴史が浅いからだろう。
著者は毛髪の発生部位である「毛包」研究を専攻とするイエール大の医学博士。日本の著名かつらメーカーにて研究職についた経歴も持っている。
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コンパクトにまとまっていてよかった
なんでもないようなものだと思っていたが、毛はけっこう複雑な構造をしていることには驚いた。
人毛はタンパク質だが食べても消化できないそうだ
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『#毛の人類史』
ほぼ日書評 Day689
原題は"HAIR A Human History"、人に限らず、さまざまな動物の"Hair"に関するエピソード・トリビアが語られる。
形態学、解剖学、医学、物理学…等、その分野は実に多岐にわたって、我々一般読者がそうした知見を得ることで、どんな恩恵があるのかという問題はさておき、面白い。
たとえば、こんな具合である。
(女性向けの)商業的な美容師の実質的な第一号となるマルセル・グラトーは、元々は馬の毛並みを手入れする係だった。その技術を人間にも応用してみたいと考えたのが、美容室開業のきっかけ。自由自在にウェーブを操ることのできる彼のスタイルは「マルセル・ウェーブ」と呼ばれ、人気を博した。
フリースとは、一頭分の羊の毛という意味。
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