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今上天皇と近年の皇室について知りたくて読書。
今上天皇の生前退位の議論が始まり、改めて皇室や天皇にて考えてみたくなった。
私自身は今上天皇を神だとか個人崇拝はしていない。しかし、天皇という存在は、日本の歴史そのものであり、歴代の天皇が脈々と継承してきた日本そのもので、今上天皇の背後にあるものは非常に重要かつ尊いものだと思っている。
実は、海外で生活するまで、あまり天皇や皇室については深く学んだこともなければ、考えた記憶もない。海外で外国人と接していると、日本とは、天皇とは、天皇と国王は何が違うのかなどの質問を受けるも私自身が勉強不足なので、明確に答えることができないことが多かった。そのため、天皇や皇室についての本を読むようになった。それも恥ずかしながら2005年とか最近のことだ。
昨年、タイのプミポン国王が逝去した日にタイへ降り立つという機会を得た。バンコクは黒服であふれ、夜は静まり返っていた。タイ人と話していると日本の天皇も高齢だから心配だという話題が度々出てくるなど生前退位についても思いを巡らした。
そもそも多くの日本人が、天皇と国王の違いを知らない。そして、天皇の本来の姿は、被災地の訪問や外国から要人と面会することではなく、日本のため、世界のため祭祀を通して祈るのが元々の姿だ。
後半で展開される個人的な関心事でもある今上天皇と中国や韓国の関係は興味深い。
確かに中国は日本政府や国家は辛辣に批判するも今上天皇を批判することはない。中国の歴代の国家主席が天皇を自身の権威付けに利用してきた面も否めない。だから中国は天皇を批判しないと指摘する専門家もいる。
今上天皇が韓国に対して親しみを感じているとしても、現在の韓国は、天皇を日王と呼ぶ。これも以前からかと思っていたら、実は比較的最近の話なんだというので驚いた。
さらには、現在、問題になっている慰安婦問題についても最終的に今上天皇の謝罪を求めると考える韓国人は少なくないそうだ。しかも、それで終わりではないとも考えているらしい。理由は、天皇は、日本の最高権力者だと認識しているからで、その下っ端である安倍首相の謝罪なんて意味がない、馬鹿にしている…だそうだ。まさに長年の洗脳に近い教育の賜物だろうか。
まとまりがない感想だが、本書は、今上天皇や昭和天皇、皇太子などの発言を元にその思いや心情を推察して構成されている。今上天皇が象徴天皇として、平成の時代にふさわしい皇室のあり方を模索してきた歴史を知ることができる。
私は天皇や皇室の議論がタブー化することはよくないと思う一方で、天皇や皇族を一般国民と同じ土俵でやれ人権や納税などを議論するのにも違和感を感じている。
並行して我々日本人はもっと天皇や皇室の歴史、現状をしっかりと学ぶことで、それぞれが皇室のあり方について考えることが必要なのではないかと思う。
読書時間:約1時間30分