紙の本
だいぶ落ちる
2018/07/20 18:56
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投稿者:ともクン - この投稿者のレビュー一覧を見る
同じテーマの光文社新書に比べて、はっきり言うと、だいぶその質的な内容で劣ると思います。数多の因子の相互依存による会現象の因果関係を実証的に明らかするのは相当に難しいはずで、それをこんなに簡単にパターン化してしまってサクサクと話されると、疑いの目を持たざるを得ない。やはりきちんとそれぞれの手法についての理論的裏付け、各種の実務作業についての記述(可能なこととその限界)をしっかり行わなければ・・・たとえ、証明や数式を登場をさせてでも。
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中室氏の前著より良心的になっているものの、考え方の紹介であって各論は軽く触れるのみ。不完全なデータから得たい情報を得るための切り取り方などは面白かった。ただ、考え方の紹介であれば類書によいものはあるように思われる…
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医療費の自己負担割合が引き下げられると、高齢者は病院に行く回数が増えるものの、それによって死亡率や健康状態に影響が出ることはないということになる。(p.141)
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「テレビを見せると学力は下がるのか」「いい大学にいけば収入はあがるか」などよく言われている俗説が本当かどうかを科学的に分析し、「原因と結果」(因果推論)の見方を教えてくれる本。「学力」の経済学の著者が書いているということもあり、値段やページ数も手ごろだったんで購入。
まずはある2つの変数の動きが因果関係と思っているときは以下の3点を疑うことがポイント
全くの偶然ではないか
第三の変数は存在していないか
逆の因果関係ではないか
3つが存在せずに因果関係が存在していることを示すには「反事実(仮に~をしなかったらどうなっているか)」を比較することが大事。
→比較可能なグループを比較し、その時点で統計的有意差(偶然では起こりにくい差)がでれば因果関係があるといえる
その手法として下記のようなものが一般的
ランダム化比較実験(最も確実だがコスト的、倫理的、政治的に難しいこともある)
自然実験(偶然作り出された比較可能グループ。ランダム化に近い)
差の差(介入群と対照群で介入前後の差をとろうとするもの)
操作変数法(原因のみに影響を与える変数を操作する)
回帰不連続デザイン(境界値に注目する)
マッチング法(対象以外の変数がよく似た2つのサンプルを比較)
いろいろな学術書を読んでいると「相関関係と因果関係は違う」ということはよく出てくる考え方であり、中には知っていることもあったのだが、
しっかりと体系だっている
専門的な内容でありながら内容がコンパクトで素人でも比較的読みやすい
具体例が身近かつ有用であり非常にわかりやすい
という点で非常に価値は高いと思う。
専門的かつわかりやすい本を書ける人は(特に学者では)非常に少ないので貴重な本。
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わかりやすくて良い本だった。学部の一年生に読ませる教材としても良さそう。国民全員が読んだらいいのになと思います。
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世界は様々な風評や噂であふれている。政治や経済もその効果に関して政治屋たちが政争の道具にしている。因果関係と相関関係に立ち返ってそれらの事象を曇りのない目で耳で判断すべきだ。目から鱗が落ちる!まさにこの本がそうである。あらゆる事象を冷静にその関係性を分析すれば有象無象の偏向した考えの陥穽に陥ることなく、明快なスッキリした考えで進むことができるのだ。改めて、自分の軽薄さも浮き彫りになった。この書籍に感謝である。
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単なる相関関係があるだけのことを因果関係として語る情報が特に増えてきているのが気になっていたが、そういえば学術的にどういうことなのか知らなかった。なんちゃって本ではなく、経済学・統計学の初歩的な部分の説明がされていてなかなか勉強になった。これからは情報を自分の頭で判断することが必須。そのひとつのリテラシーとして重要なひとつだと思う。
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世の中、ビッグデータ時代である。莫大かつ多種のデータがあればあるほど、風が吹けば桶屋が儲かる的な「あのデータとこのデータとはこんな密接な関係が!」と言った発見が増えてきたり、発見することが富に直結するかのような認識が増えている。が、そこでちょっと待った!「相関と因果とはちがーう!相関から慎重に因果関係を抜け出せたもののみが真に価値のあることなんですよ」という事を切実に訴えているのが、この本である。
こういったことを総じて因果推論と言うらしいが、この因果推論の一般的な原理とその手法、手法を駆使して相関から因果まで消化できたさまざまな事例(テレビばかり見ていると学力は下がるのか?メタボ検診を受けていると長生きできるのか?認可保育所を増やせば母親の就業数は増えるのか?など)をこの本では紹介してくれていてとても参考になるし、これからデータドリブン企業に脱皮しようという類の会社の社員には正しいデータドリブンマインドを獲得すると言う意味でみんな読んだほうがよいと思える本だった。
しかし、直感に反する因果関係を是認するとはとても難しい。(逆に直感に反しないただの相関関係を否定することも難しい)ただ、それを証明し啓発し続けることが科学者のなすべきことであるし、これを著作や教育を通じて行い続けている筆者先生方におかれましては本当にお疲れ様です。政府や大企業などオーバーヘッドがものすごいことをやっている主体者たちは科学者の冷静な意見を必ず聞くようにしたほうがよいとこの本を読むと痛感します。
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メタボ健診を受けていれば長生きできるか
テレビを見せるとこどもの国学力は下がるか
偏差値の高い大学へ行けば収入があがるか
因果関係か相関関係か。
原因と結果に影響を与える交絡因子の存在
最低賃金と雇用の間に因果関係があるかの話も興味深かったです。
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「因果推論」に関する絶好の入門書。アタマが固まりかけているボブには目から鱗。是非とも活用したいと心底思っている。
政策の分野でエビデンスが叫ばれて久しい(とボブが思ってるだけ?)。因果関係か相関関係か…無頓着に考えていた自分がいる。以後、気を付けますm(_ _)m
「おわりに」より。
---以下、引用---
経済学がこだわる「因果関係」を示唆するエビデンス。それを生み出すために体系化された「因果推論」。それらが、データ氾濫時代を生きる読者の皆さんの助けとなったならば、著者として望外の喜びである。
---以上、引用---
頑張ります…
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データを解析することにより、両者に因果関係があるのか、それとも相関関係があるのか、これを導き出すのに様々な手法があり、その手法を解説した本。広告を出したおかげで売上が上がったと証明するのは意外と大変だ。
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因果推論(因果関係か相関関係かを見分ける方法論)がSNSで玉石混交の論が飛び交う世の中で自身の意見を事実に裏打ちされたものにするために必須の教養であると感じた。本書の事例がまさに「目から鱗」のものばかりで、平易な言葉遣いと相俟って、滞ることなく読み通せた。
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研究している者でさえとても間違えやすい、因果関係と相関関係について。
因果関係を吟味するための因果推論の方法について、具体的に、とてもわかりやすく書かれています。
自分もときどき確認するようにしよう。
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「原因と結果」の経済学 中室牧子、津川友介著
社会に生かせる統計の手法
2017/4/1付日本経済新聞 朝刊
本書は、社会科学の実証分析において最も重要な役割を果たす「因果関係」の検証方法をわかりやすく解説した啓蒙書である。著者はそれぞれ教育経済学、医療経済学の専門家で、この分野における様々な研究を使用して、因果関係を検証する統計的な手法を、数式やテクニカルな用語をあまり用いず、身近な問題を取り上げて説明している。
具体的には「メタボ健診を受けていれば長生きできる」「男性医師は女性医師より優れている」「認可保育所を増やせば母親は就業する」「テレビを見せると子どもの学力は下がる」といった普段は特に疑問を抱かず受け入れている通説に対して、関係はあっても、原因と結果の関係にはない。つまり相関関係はあっても、因果関係は成立していないことを明らかにしている。
因果関係の検証方法として「ランダム化比較試験」「自然実験」「疑似実験」(差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法)といった分析手法が紹介される。これらの方法は因果関係のチェックで必要な(1)「まったくの偶然」ではないか、(2)「第3の変数」は存在していないか、(3)「逆の因果関係」は存在していないか、という3つの条件を完全あるいは部分的に満たしている。
実験的な手法を使用しない政策評価分析は信頼性に欠けるという認識で経済学者の見解は一致している。そのなかでも「ランダム化比較試験」が因果関係を明らかにするという点では最も理想的である。しかしながら、費用、倫理、厳密な実験の実施や現実の問題への適用で問題は残り、観察データを用いた「自然実験」「疑似実験」の手法を、与えられた状況に応じて適宜分析に使用するよう本書は提唱している。
最近は、実証的な証拠に基づく政策を推進する必要性が強調されるが、そのためには統計の整備に加えて、本書で紹介された研究手法による分析を蓄積する必要がある。特に医療や教育は私たちの生活の質を大きく左右する重要な政策であり、政党やイデオロギーに左右されないデータや証拠に基づく議論が必要不可欠である。本書は政策論議の深化に必要な有益な指針を提供する。
(ダイヤモンド社・1600円)
▼中室氏は慶応大准教授。著書に『「学力」の経済学』。津川氏は米ハーバード公衆衛生大学院リサーチアソシエイト。
《評》学習院大学教授
乾 友彦
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良い本。「効果的な○○教授法」という話が大好きなこの業界だが、因果関係について真剣に受け止められている感がない。しかし、効果とは要は「因果効果」の話なので、因果関係とは切っても切り離せないはずだ。こういう議論がもう少し浸透してほしい。