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日本オリジナル編集の短編集。7篇を収録。
『妖精の棲む樹』と『赤い小さな学校』が好みだった。『赤い〜』と『約束の惑星』はロマンス要素は薄いが、ある面ではヤングらしい抒情SFであると思う。
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短編7編の内初訳は2編。
梶尾真治の「美亜に」の短編集が大好きな人にはお奨め。
どちらもSF雑誌や短編集の中で読めば気に入る部類だけれど、一度に読むと食傷。
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短編集。SF。恋愛。
どの話もいくらかの恋愛要素が含まれる、やわらかSF。正直、少し苦手な作風。しかし、この作風が好きな人も大勢いるだろう。
1作目の「わが愛はひとつ」は無難に感動した。
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恋愛小説とも言えるし、純粋なSF作品とも言えるし、いくつかの観点で読める短編集。さっと読めてしまう作品なので、気分を変えたいときに読みたくなるかもしれない。個人的に気に入った作品は、「わが愛はひとつ」「時をとめた少女」。既読だった「妖精の棲む樹」は最初に読んだときより作者が主張したことを理解できた気がするくらいは楽しめた。
◎わが愛はひとつ
時を越えたラブストーリー。ほのぼのするが、ここまで愛し合うことができた二人は奇跡だろう。なんとなく青臭いが面白かった。
◎妖精の棲む樹
既読の短編。今回読んで、人類と自然との深い関わりを感じた。現代文明の批判ともとれる作品であるが、著者の主張そのままに、現代を警告しているのかもしれない。人類とはいかに勝手に生き物なのかが分かる。
◎時をとめた少女
主人公の男の立場からすれば、(からくりを知っていれば)経験してみたい話だ。永遠に時間軸をループしていそうだけど。なんとなく星新一的な物語。
◎花崗岩の女神
読みようによってはエロチックな物語。男が女を征服し、女は簡単には征服されないように困難を設ける。主人公の男の気持ちがよく分かる物語。
◎真鍮の都
時間を越えたラブロマンス。長編ではないのに、大河ドラマを見たような気分になる。
◎赤い小さな学校
子供の幸せと親の(個人としての)幸せを、高いレベルで両立させるとどうなるか。ディストピアが出来上がってしまう。短いながら、何か大事なことを伝えられているようだ。
◎約束の惑星
ほのぼのとするが、よく分からなかった。宗教的な要素が入ったとたんに理解できない物語になってしまう。
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ヤングのSFは、基本的にロマンティックなのだな、と思う。
この短篇集でも、女性の存在が光っていて、男の主人公は狂言回しでしかないようだ。
しかしヤングのヒロインは、たとえばC.L.ムーラの登場させる妖女のように妖しく怖ろしいものではなくて、異星人といえども心優しい。
いわばヤングの短篇はSFにおける異類婚物語なのだろうと思う。
悲恋もあるが、ハッピーエンドも数多い。
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少し前に買ったんですがようやく読みました。ヤング氏の作品ってアンソロとかに一作入ってると毛色が違って新鮮に思えるけど短編集になるとなんかパンチがきかないかもなぁなんて思いながら読み終えました。
真鍮の都市だか都だかは以前何かのアンソロで読んだことがあります。でも妹もそれなりに(お話の中では)大事な役どころがあるのにつれてきちゃっていいんだろうか?ウウム。
最初のお話はウラシマ効果でしたっけ?その辺り面白いですね。この方は男性が年を取らず、女性の方が年を取るってシチュエーションが好きなんだろうか?なんて思ったりしました。
時をとめた少女も…う~ん。結局やってる事は美女と一緒なんだよなぁ…と思うと…なんとも言えない(笑)
後書きにもありましたがこの人の作品は読んだときの年齢によって感想が変わるかもなぁなんて思いました。そして確かに女性側の視点や心理状況がほとんど説明されていないのでなんでこうなるんだろう?と思わなくもない。時を超えたロマンスが魅力的に感じる時期ってのもあるのかなぁなんてそんな事を思ったりもしました。
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ロバート・F・ヤング『時をとめた少女』読了。「たんぽぽ娘」で知られるロマンチックSFの名手による短編集。本書でもヤングお得意の時間×ロマンスものが多く採られている。「わが愛はひとつ」は冷凍睡眠刑に引き裂かれた男女の物語…ベタだけどやっぱこういうの好きなんだよなぁ
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この本の制作に携わった人間は今すぐ回れ右をして表紙のラノベっぽさを払拭するんだ選手権・堂々一位の作品。何故、往年の名作SF小説が再発されるとこの手の悲劇が起こりがちなんだ…。
青春とSFを題材にさせたら右に出るものがいないヤングらしく、清々しさと瑞々しさの詰まった話が多い。そんな中で「約束のネバーランド」ちっくな題材の話が一つだけ入っているのが素晴らしかった。
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7篇のSF短編集。
表題作なんかはわかりやすくて、タイムパラドックスものとしてそれなりに楽しめたけど、全体的に、ちょっといろいろよくわからない要素があって、イマイチ。
それは、たとえば、なにかの寓話の暗喩ではないかとか、古い神話をモチーフにしたパロディなのかな、とは何となく感じるんだけど、それが何なのかよくわからないので、結局そこで思考が止まってしまう。
多分、ジャックと豆の木? ガリバー旅行記? アラジンと魔法のランプ? なんかが元になっているのか?
あれ? そう考えると結構面白いのかもしれない。
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1950年後半から60年のヤングが上り調子だったころに書かれた短編が多い。
「たんぽぽ娘」も同じ時期。
「わが愛はひとつ」☆☆☆
百年の人工冬眠から覚めた男が、自宅に向かいながら妻との思い出を思い返す。
悪くない内容だが、「たんぽぽ娘」と重なる部分があり、同じ話はいくつもいらないと感じた。
「妖精の棲む樹」☆☆☆☆
山のように大きな巨木を伐採する仕事を請け負ったストロングは、そこで美しいドライアドに出会い、心を奪われる。
木を切れば彼女も死ぬこととなるが、自分が仕事を降りても代わりの者が仕事を遂行するだけだと理解しているストロングは、苦しみながら木を切っていく。
この短編は後に「The Last Yggdrasill」という長編に書き直され、ディズニーに版権を買われて映画化の話もあったとか。
ヤングらしいロマンチックさと、彼には珍しい「どうしようもなさ」がマッチしていた。
長編版は日本では翻訳されていないが読んでみたい。
「時をとめた少女」☆☆☆
ある日、ロジャーはとても好みの美女と出会い、互いに恋に落ちる。
ロジャーは次の日も別の魅力的な女性に出会うが、彼女は1日目の女性ほどではなかった。
ロジャーに恋をした二日目の女性は「あたしがくるのが一日おそかった」と嘆く。
ロマンチックともいえるが、少し都合がよすぎてギャグっぽくもある。
タイトルはいいけど名前負けしている感じがして、表題作にはややふさわしくない。
「花崗岩の女神」☆☆☆☆
顔は台地、胸は一つの山というほどの大きさの女性の像に心を奪われた男の話。
彼は特に湖で表現された彼女の青い目に囚われており、それは実生活での女性の好みにまで影響し、何人かの青い目の女性に恋をした。
しかし、巨大な像の女性を忘れることができず、青い目を近くで目にしようと湖を目指す。
顔の台地についた時の衝撃は大きかった。
ロマンチックさを特別求めていない読者層には一番受けそう。
「真鍮の都」☆☆☆☆
歴史上の偉人の精巧な人形を作るために偉人の誘拐を仕事にしているビリングズは、「千夜一夜物語」のシェヘラザードの誘拐に着手する。
しかしその途中でトラブルに見舞われ、ビリングズとシェヘラザードは魔人の世界に飛ばされてしまう。
「千夜一夜物語」についてまったく知らないと話に入り込めないかもしれない。
私は読む前に少し調べてから読んだ。
シェヘラザードの無邪気さがかわいかった。
本作は長編に書き直されていて、日本でも『宰相の二番目の娘』として読むことができる。
長編はあまり評判がよくないようだが、そちらも読んでみようと思う。
「赤い小さな学校」☆☆
記憶を操作することによって教育を施す機関の話。
ヤングに求めているのはこういう作品ではない。
「約束の惑星」☆☆
地球から新たな惑星への移住が実行されたが、主人公の船は目的地に辿りつくことができず、代わりの星を探してそこで生活することとなった。
主人公は神聖視されていたのか、ただの文化の違いによるすれ違いなのかわからなかった。
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表題に魅かれて購入しましたが、当たり前ですが”時をかける〜”とは全く関係ありませんでした。表題作にするならやはり”真鍮の都”でしょう。9世紀のアラビアンナイトの時代、タイムマシンが実用化された22世紀、そして10万年後の地球を駆ける冒険とロマンスのファンタジーです。