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シリーズ第2作。こちらも単行本を持っているので再読。
巻末を見ると単行本は新潮社から、ノベルズ版が幻冬舎から、そして一次文庫が再び新潮社に戻っている。確か新潮文庫版も持っていたが、ノベルズ版は買っていなかったと思う。
講談社タイガのシリーズを読み始めてから再読すると、作中世界の連なりがより明確になっていると感じる。しかし3作目をどういう位置づけにするか、それはそれで悩ましい。
そういえば、ふと思い出して、コミカライズを担当したスズキユカ氏の名前を検索してみたら、全く違う作風のものを描いていて驚いた。
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あらゆる前提を覆す、至高の百年シリーズ第二作 究極の孤島―。天を衝くような建造物にただ一本の橋。一夜にして海に囲まれたという伝説の街に聳える女王の宮殿で、首を切られた僧侶の死体が発見された。座標。自己。生死。すべては、不確定だ。第二作。
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久しぶりの百年シリーズ続編。読み進めるうちに、朧げだった前作の世界観が形を捉えていく。森博嗣らしい、理論に実直な、それでいてウィットを感じる会話のおかげで、500ページ超の長編でも肩を凝ることなく軽快に読み進めることができる。
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百年シリーズのこの本もコミックで読んでいる。
が、改めて本書を読むと、もっと前に読んでおくべきだったなと後悔した。
近未来のSFなのだが、古い時代のファンタジーの印象。
主人公のミチルのモノローグ。普通の作家の文章だったらさっさと読み飛ばす処だが、森先生に絡めとられるイメージ。
ミチルとロイディの会話の面白さ。緩急の付け方が素晴らしい。
恐らく森先生は、頭脳と肉体の分離の可能性を小説の中で考えていたのだと思う。
「面白い」彼女はまた微笑んだ。
昔、森先生の著作をはじめて読んだ時を思い出す。
あの彼女から始まる物語。あれから森先生の著作を沢山読んだ。
彼女は微笑んだ。「私が、ここにいると思う?私が生きていると思う?」
ミチル本人は判っていないが、ミチルはあのミチルだよな。
アキラは、あのアキラなんだろうか?
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相変わらず
いったい
何を考え
どう行動し
何を想い
どう暮らし
何を思慕し
どう生きていれば
こんな小説が書けるのだろう
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【あらすじ】
周囲の森が一夜にして海と化したという伝説をもつ島イル・サン・ジャック。22世紀の旅人ミチルとロイディがこの島で出会った「女王」は、かつて別の地に君臨した美しき人に生き写しだった――。王宮モン・ロゼで発見された首のない僧侶の死体、犯人と疑われたミチル、再び消えた海と出現した砂漠。謎に満ちた島を舞台に、宿命の絆で結ばれた「女王」とミチルの物語の第2章がはじまる。
【感想】
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百年シリーズ第2作。
ミチルとロイディの関係性が明確になってきて、世界の理も現れだす。
死とは?生とは?眠りとは?自分の存在は何をもって規程されるのか?
最終作へと続く。
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よくよく考えたら、ミチルがクローンなのはS&Mシリーズ読んでたら「そらそーだ」って思うけど、読んでる最中は驚いたw
メグツシュカって名前もWシリーズかどこかで見覚えがある気がするけど忘れてしまった。こうやって、微妙に繋がっているから森博嗣ノートとか作らないとあかんなーと思う。手塚治虫のスターシステムとはまた違うし。
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『女王の百年密室』と同様、あっという間に読んでしまった。デボウ・スホが再び登場するのは驚き。
ウォーカロンのロイディの成長からも目が離せませんでした。現代もAIが発達してきているけど、ロイディのように新しい回路が形成され、自分の意思で行動できるように変わっていくのだろうか。そうしたら人間がいなくなっても、今度はロボットが人間となり、社会はそのまま保ち続けられるのだろうか。
また二人の旅が見てみたいと思いました。
森博嗣さんすごい。
人が死にたいと思うのを何によって抑制することができるのかという問い。
このストーリーの末尾でミチルがメグツシュカに問う
「生きているのと、そうでないのと、両者の違いはどこにありますか?」
「あなたが生きていれば、あなた以外の誰かが、あなたに会いたいと思う。他人に、そう思わせるキーワードが、生きているということかしら。」
この会話にヒントがあるのではないかと思った。
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前作を読むと世界観やキャラクターの登場する意味がしっかり分かる。
殺人事件のトリックはさほど重要ではなく、人間とは何かというのが大きなテーマとなっている。
ロイディがどんどん人間臭くなってきているのがいい。
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百年間、取材拒否の伝説の島を訪れたミチルとロイディ。
一夜にして森が消え海に囲まれたり、一夜にして砂浜になってしまったりと言い伝えられる島。
かつて会った女性に酷似した女王の存在。
そこで起こる殺人事件。
奇想天外な謎が、結末に向かって、思いもよらないものに収束していきます。
人間とは何か、生きているということはどういうことか。
謎が深まります。
科学的に説明ができないものは実在しません。今は不思議でも、いずれは明らかになります。不思議とはつまり、将来の理解への予感ですね。 ー 550ページ
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このシリーズを読んでいると、現実から離れて作品世界をミチルと一緒に過ごしているような感覚になっていく。
綿矢りさが解説で視覚優位な描写によって非現実化していると書いていて、まさにそのとおりだと思った。いい解説文だ。
ロイディが時間とともにミチルの影響を受けてファジイな思考をするようになっていくのがおもしろい。この2人はどうなっていくのだろうか。
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再読。百年シリーズ第二弾。再読だけれど内容はすっかり忘れていたので終盤のメグツシュカとミチルの会話にはまた痺れることができた。ミステリとしては第一弾の「女王の百年密室」より低めだが本書の核心的な部分はそこらへんにあるのではないようには感じた。ここらへんからすっかりWシリーズとリンクしていたんだなぁとWシリーズを読み終わってから思える。
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一作目よりさらに面白いと感じました。
百年ほど前に作られた背中にパイプが飛び出ており、空気圧で動く人形…
これはβの、棺に入っていたあの人形か、その作者のものなのかと疑っちゃいますね。
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こういった小さなプライベート・ソサイエティ(私設社会)は、世界中でさまざまな形態が試行され、模索されている。
第1章 海はいかにして押し寄せたか より
人に支配されることが嫌いなのに、なんとか自分を支配しようとしている。
僕からの光は直進して彼に届き、彼からの光は反射して僕に届く。
第3章 王はいかにして君臨したか より
テスラが人型のロボットを作ることを発表したのが
つい先日。作品内の舞台は22世紀。アジアが遠いと話していたので、ヨーロッパのどこか? 人口は(ちょうどいいくらいに)減り、エネルギー問題もクリア。トヨタのウーブン・シティのような実験都市がそこかしこに、というイメージ。またメグツシュカ、デボウと真賀田四季との関連性があるのかな、と考えつつ読み進めました。
本作は今から約20年前の2003年刊行という驚異的な耐久力。また、そうとは感じさせない想像が尽くされているように思えました。未来は一人ひとつのAIを持つようになる、とまで話しているくらいなので、幻想小説とはいえ作者の想像上の未来が描かれているのかもしれません。
一般的にSFの未来ものはディストピアを描きがちですが、言ってしまえばそれは現実からの乖離と想像力の欠如を補った結果のようにも思えます(そしてなぜかアジアンテイスト)。少なくとも森博嗣さんの描く未来の方が現実の延長線上にある気がして、まだ読んでいないW,W2が楽しみです。
クローン、人間、ウォーカロン、機械。境界は今よりずっと曖昧になるのかもしれません。機械が人間になる、という台詞はその境界も幻だという示唆であり、ひとつの真理。だんだんスホが真賀田四季に思えてくるのが不思議です。