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やはりどこまでも村上春樹でした。
ただ、今回はメタファーなんかは〝カフカ〟だし、地下世界は〝ハードボイルド〟を彷彿とさせる。スプートニクのような場面も。過去の作品がごちゃ混ぜになったような感じでしたね。主人公が絵描きというのは新鮮でしたが。
古い映画、音楽、本、芸術等を取り入れるあたりは安定の春樹ワールドでした。そして今回もいたるところに散りばめられた比喩表現が面白い。
謎は謎のまま終わりました。まあこれもいつものこと。読みながら諦めておりました。
それと、とにかく行動範囲が狭い、展開が遅い、にもかかわらずどんどん読めるのは不思議。結局は面白い。
免色渡、彼は最後まで裏切らなかった、何よりもそれが良かった。ハラハラした。
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やはり僕のようなエンタメ系小説をなんとなく読んでいる人間には村上春樹を本質的に理解することは難しいのかもしれない。『1Q84』は難解で何とか読み切った、『騎士団殺し』は読みにくいところはなく、むしろ先が気になってどんどん読んでいった。失われたものを取り戻す物語、いかに時間を味方に付けられるのか。そうした感じは伝わってきた。しかし最後の100ページくらいからは理解のスピードが追い付かなくなった。まりえが行方不明になり、騎士団長が殺されたあたりからの展開は分かるが、本質的に物語との結びつきを見いだせない。でもなんとなく分かるような…分からないような…う~ん…このもやもや感がいいのか、それともそれを突き詰めていく過程がいいのか。
ハルキストと呼ばれる人々はこのもやってした感じを好むのか。まだまだ僕には村上春樹を素晴らしいと思えるだけのスキルはないようだ。
でも十分おもしろく読めたことは確かだ。
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ホモ・サピエンスが繁栄したのは偶像を信じることができるからだそうだ。貨幣の価値を、法律を、神を、そしてきっとイデアを。そういう目には見えないものを共通の認識として持てる。それが社会性という人間の競争優位を手に入れたと。原典読んでないからきっとボロが出ている。
物語の要約としては、ある一人の男性が、イデアやメタファーに殉じることを覚える物語。とまとめたい。
ただそんな安い一言でまとめることに大した意味はなくて、村上春樹独特の世界を長編で味わえること自体に価値があるように思う。
寓意や暗喩に満ちたハードボイルドな物語は、どこか京都のガイドブックのようなものな気がする。別に京都でなくても良い。こんなこというと怒られるかも知れないけど。ガイドブックを頭から読むとあれこれ気になる建物や歴史やうまいものがあることを知ることができるけれど、実際に触れて味わえるものはそう多くはないのだ。寓意や比喩をあれこれ掘り下げていきたいけれど、実際そうできる時間は悲しいかな限られているのだ。ざっくり言ってしまえば京都のガイドブックの感想は「京都だった」になり、この本の感想は「村上春樹だった」になるんだ。
あれこれ考えながら付随したブックレビューを少しずつ読みながら楽しむことにする。
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勝手な解釈ですが、テーマは再生でしょうか?
内容は面白く読了に時間はかかりませんでしたが、自分自身が年取ったせいか説明が冗長過ぎてちょっとイライラしました。
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全部繋がる感じ、非現実?をとうして、最後は現実をダンス。いつも最後は現実に向き合い進みつづけることを感じます。
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小説の面白さとは何か。
大まかなプロットやモチーフはあまり変わってないように見えるし、この作家の本当に優れているところは、というか、いまだに職人芸として世界的な作家である意味は、そこに現実を作り出す力だと思う。適切な言葉選びをした描写、心情表現、想像力。基本であり、それが全て。それさえあれば、世界的な作家の仲間入りができる、作家としての圧倒的な基礎体力。これにつきるのではないだろうか。しかし、この作家は何かが衰えていく一方で、昔より愛着というか、もっとベタベタした感情を抱くようになった。抱き締めたくなるような、そんな感じ。諦めというか、さらに壁を越えた人が書く話で、別にいいじゃん、というか、一周まわってさらに円熟が増したというか。
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村上春樹は易しくない。
文章は冗長で物語はなかなか進展しない。
唐突な性描写や脈絡のなく登場する楽曲が作品への理解をさらに難しくする。
国境や時代を超えた普遍的な作品にするためには、捉えどころのない抽象的な内容になってしまう。
テーマは性、愛、戦争、存在、芸術、死と多岐に渡る。
ただ読んでいると、過去の記憶と自分の妄想が混濁した夢を見ているような不思議な気持ちになる。
物語に現れる謎に解答を用意せず、意味深なヒントだけ残して読者を置き去りにしてしまう。それだけに読了後の心地よさはなく、もやもやとした感情が残ってしまう。暗喩の解釈によって作品のテーマが大きく変更される。祠にあった穴は生と死の通行口の役割を果たしている
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現在進行形で読んでいる方も多いと思うので内容には触れませんが、この本は自分にとってとても大事な一冊になりました。
まるでこの本が自分のために書かれたものであって、自分がこの世界の主人公であるような、そんな錯覚に陥るような、なんだかうまく言えない馴染むような感覚がありました。またきっと読み返す気がする、いい作品でした。
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第1部から、やたらと比喩が多いなあ、それも倒置で、と引っかかりながら読んでいたのだけれど、なるほどそういうことね。
私は1Q84も多崎つくるも全く好きでなかったが(むしろ嫌悪)、これは入れた。
ここまでやられると、なんというか、生身の人間てつまらないなあと思ってしまうよ。
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それこそ今まで村上作品に登場してきたメタファーが嫌と言うほど登場する第2部
続けて読んだら面白さが増すと思う
楽しい作品でした
村上春樹さんありがとう
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これは一人の画家が小田原の山の上に住んでいた時期に起こった不思議な出来事でしか”あらない”。
しかし、彼(私)はその出来事により、おそらく内面的に大きな成長を遂げた。
そんな気がする。
感想記事
http://utsuyama27.com/killing-commendatore2/
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なるほど。こうなるのか。
もうちょっとゆっくりじっくり考えたい。
これってこれで完結なのかな?
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読み終える。あえて多くは語りませんが、どうしても過去作品のモチーフとメタファーのパッチワークには感じてしまう。村上作品が初めての人の方が楽しめるかも。
「どんなに暗くて厚い壁も、その裏側は銀色に輝いている」という言葉が印象的でした。
どんなに暗くて厚い壁も、その裏側は銀色に輝いている。p241
「正確に申せば、あたしがその姿を選んだというわけでもあらないのだ。そこでは原因と結果とが錯綜している。あたしが騎士団長の姿をとったことによって、一連のものごとは動きを開始したわけだが、同時にまたあたしが騎士団長の姿をとったことは、一連のものごとの必然の結果でもある。諸君の住んでおる世界の時間性に沿って話をするとなかなかにむずかしいことになるが、ひとことで言ってしまうなら、それはあらかじめ決定されていたことなのだ」p317
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上・下巻を通しての感想といえば、まさしく、イデアとメタファーの話。そのまんまなのだけれどその表現は当たっているのだと思う。二冊とも寝食を忘れるほど~じゃないけれど夢中にさせる読み応えあり。
最後はなんだかいらなかったかなぁ…
そうなるのわかっていたけれど。
翻訳に向く文章だと感じた。ご自身も翻訳されてるからなのか。あの有名な小説に雰囲気が似ている?!と感じたのも先入観のせいかもしれない。
早く、翻訳されて世界中の人たちに読んでいただきたいと思った。
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井戸のようなもの、通過儀礼のようなもの、試練、犠牲、女性、血縁、不思議な名前、色々な知識を持ちすぎている人々、イデア・メタファーといった得体の知れないもの。これまでに主に新潮社から出版されている作品群に出てきたモチーフに似た沢山のものが次から次へと現れてきて、概ね想像した通りに物語内の役割を果たしていきました。もちろん予想しえないことも沢山起こりましたが、いつも通りの、とても村上春樹さんらしい作品であった、ということです。
村上春樹さんの作品を読むときはやや恣意的に眼鏡を外した裸眼で見るぼやけた世界をイメージするようにしています。そうでもしないと、意味不明なものに振り回され過ぎて話の筋らしきものがさっぱり分からない、ということは初期に読んだ作品から学びました。自分の常識のフィルターにかけることは彼の作品を前には何の意味もなさない、というか。あらゆる固定概念を取っ払ってしまってはじめて心地よいもの、というか。
たとえば、主要な登場人物は皆一応日本社会に溶け込んでいるようだけれど少なくとも私は出会ったことのないタイプの人ばかりです。主人公と免色さんのお話しは文字で追う分には辛うじて耐えうるけれど、万が一突然間近で始まったら付いていけなさすぎて私の中の何かがドカンと爆発しそうです。私の教養が足りなさすぎるのか、それとも彼らが強烈なのか、そういうことは何とも判断しがたいですが、私の考える常識の範疇ではないことが共有されすぎているのは確かです。
ほかにも、まりえちゃんの年齢設定には違和感をおぼえました。もっと幼いような雰囲気もあるし、不気味なほど大人にも感じられる、そういう微妙さという意味では適切な年頃なのかもしれないけれど、でもそういう問題ではありません。違和感は違和感です。
ただ、掘り下げるべきはそういうところではないのでしょう。読者の世界との関係性、近さみたいなものはある意味でどうでもよいことで、物語の構造の中で起きていることをそのまま汲み取れたらそれでよいのではないか、と。あるいは、「面白い」と感じられるならば読書している間その構造の中に思い切って飛び込んでトリップしてしまえばよいのではないか、と。村上春樹さんの作品の正しい読み方、作法のようなものがあるのか、あったとしても知らないので、そんな調子できちんと味わえているのかもやはり知りませんが、とかく個人的には満足の行く時間の使い方を出来たのでそれで良いと思っています。
主人公の身に起きたことが「本当」だとするなら、どういう現象だったのだと理解するのが妥当なのか、というどうでもよいことだけが消化不良で胃に残っています。でも、地底の冒険の描写自体はメタファーだとしても、「分かるような気がする」現象だからそれでいいのではないか、とも思っています。
あと、本作を楽しめた一因は、「真実」との向き合い方について度々議論されていたからかもしれません。「真実はいつも一つ!」だと信じていた頃から随分遠くまで来たもんだ、と思ったり。「真実はいつも一つ!」もまた真だとは思いますが。
これ以上は、まだ反芻しきれていない感じがするので、何か思い��かんだたらまた。