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チョン・アウンさんの『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら』で紹介されていた15冊のうちの1冊。図書館で借りることができたので読んでみたら、圧倒的な論考だった。
本書はまず、資本主義は封建制の進化なのかという問いかけから始まる。そして、ヨーロッパ中世まで歴史を遡り、「資本主義への移行」などというものはフィクションに過ぎず、その過程が国家による暴力に彩られていたことを明らかにする。さらに、女性が市場の労働力から排除され、家庭で行う彼女たちの労働を「女の労働」として経済的重要性が隠蔽されてきたことを指摘する。
ここまでが本書の序盤。ここから怒涛の流れになる。
16~17世紀に人口減少に直面した国家は、性行動への介入を開始し、女性は身体的にも監視されるようになる。これは現在にもつながる女性の身体への強制力である。避妊や堕胎は悪魔的な行為とされ、女性の民間治療者は迫害され、産科が国家管理のもとに置かれる。著者のフェデリーチは言う。「魔女狩り」は女性を格下げし、悪魔化することで、その社会的な力を破滅させるために企図されたものなのだと。
フェミニスト必読の書ともされる本書。読み通せるかなと正直不安だったが、翻訳の妙か、決して難解に過ぎることはなかった。とにもかくにも、とても勉強になった。