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「女性と教育」ということに、学生の頃から関心を寄せてきた。
そこに連なる「貧困」や「虐待」「DV」の連鎖ということにも。
本書はそれらに「地域性」を深く組み込んだ一冊だ。
沖縄、という場所のことを思う。
日本のほかのどこよりも、圧倒的に海に囲まれ、米軍基地と接し、逃げることが容易でない場所。
そこに閉じ込められた女性たちが、世代を超えて生活を繰り返してゆくことに、直接的に手を差し伸べることはできなくても、目をそらさずにいたいと思う。
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この本は安易な感想を許さない
この状況でをもたらしている少なくとも一因は、部屋でこの本を落ち着いて読むことができる僕にあるから
沖縄の抱える問題。この国で女性が抱える問題。どちらも、抱えさせられる問題だ。
彼女たちの人生に刻み込まれた傷に向き合う必要がある。
安易な自己責任論も社会に問題を押し付けることも許さない。
僕の問題として、この問題をどれだけ考えられるかにかかっている気がする。
この本に描かれるのは氷山の一角で、誰にも気付かれることもなく傷ついている人たちが沖縄に、日本中に、そして世界中にいることを見据えなくてはならない。
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胸がしめつけられた。圧倒的な生活困難からの生還劇ともとれるこの本の内容。しかしただのルポというわけではない。世界に引き込まれた理由は著者が、対象の少女たちとあくまでも同じ目線、対等な立場での信頼関係を気づいた上での取材であるということだ。それゆえに惜しいのは、書籍化するにあたり、少女たちのプライバシーと自尊心を守るため、おそらくいろんなことが省かれている。真の意味で愛情深い書籍となっている。どの少女たちからも受け取れるのは、この先進国日本でかも早く大人にならなければ生き抜けないのかという過酷な現実。
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著者の視線そのままのような優しく柔らかな文章と、女性たちの話し言葉そのままで紡がれる過去とが強烈。方言がきつくわかりづらいところもあるのに一気に読んでしまう。
せめて次世代のための貧困政策がもっと充実して欲しいと思う。
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妻を殴った男の人がどっちが先輩か!と凄んでいるのに驚いた。沖縄にはちゅらさんにあるような温かい文化しかないと思うのは、浅はかやと思い知らされた。フィールドワークの良い見本でもある。
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「沖縄の女性たちが暴力を受け、そこから逃げて、自分の居場所を作り上げていくまでの記録」
隣に座って、自分自身の憤りや女の子たちへの思いをおさえながら、相手と一緒に潜りながら、ただただ聴く。そんな上間さんの姿勢とまなざしが、浮かんでくるような文章だった。「女性」でも「沖縄」でもなく、「その人」の話を聴いている。
内容は壮絶で、繰り返される暴力と貧困の構造に足がすくみそうになる。そのことに対して、安易にコメントや「できること」を言葉にしてはいけないと思っている。
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「ヤンキーと地元」繋がりで読む。とにかく、ものすごい暴力に晒されながら生きている10代の女の子たちの話。読みながら、息苦しくなるほどだった。彼女達が研究者であり支援者である上間さんに会えたことは、まだ救いだったと思いたい。
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☑︎暴力を受けるということは、そのひとが自分を大切に思う気持ちを徹底的に破壊してしまう
☑︎私たちの街は、暴力を孕んでいる。そしてそれは、女の子たちにふりそそぐ
☑︎"まだなぐられていないのでシェルターはムリです" といわれた
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重い。けどおもしろかった…といっていいのか。沖縄から来てた大学時代の友人、昔見たドラマ、村上龍まで思い出しながら読んでた。
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殴られるような相手の元へ、彼女たちは自ら向かっているように見える。でも彼女たちがいる家にはネグレクトがあり、逃げた街には暴力がある。どちらを選んでも傷つくという絶望的な選択肢しか見えない。
貧困という大きな言葉でこの本を説明するのがためらわれるくらい、ひとりひとりの語り口に魂が宿っている。
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身勝手で時に暴力を振るう男と付き合わざるを得ず、しかしその結果を自分だけで背負い込むしかない少女たちの話。それは日本社会を動かす人々と沖縄の基地周辺の人々との関係にも重なる。著者は、本作の後に著した『海をあげる』で伝えたかったのはそういうことではないか。本作を読んでいるうちに、恥ずかしながらやっとそのことに気づいた。であるならば、本作は、『海をあげる』と同様、そこで提示された現実を当事者として受け止めることを読者に求めているのだと思う。
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必死で生き抜こうとする彼女たちに圧倒されました。出てくる男たちの多くは、あまりに暴力的で浅はかで、情け無かったです。
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私は風俗で働く女の人たちを軽蔑してしまう。
だけど、そうするしかなかったのかもしれないよ。
それが当たり前の環境だったのかもしれない。
一概に攻めてはいけない。
貧困、虐待、どうにかしないといけないと思う。
沖縄に行ったことは無いけれど、これは日本の話。
逆に沖縄以外では起こっていないことなのか??
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暴力や貧困の中で、子どもを育てるために働いてきた十六や十七の少女たち。
安心して帰れる家があるのは当たり前ではない。
帰ったらご飯が用意されているのは当たり前ではない。
家族から暴力を受けずにいられるのは当たり前ではない。
私は高校生のころなんて、当たり前に学校に通っていた。
でも、親から与えられていた生活、安心を当たり前に与えられていない家庭があって、そこから逃れられない少女たちがいるっていう状況が辛かった。
未成年の女の子がお金を稼げる仕事なんて限られているし、それがより女の子を危険な状況に陥れている。
この悪循環から抜け出せる人なんて一部の人だと思う。
こんな理不尽な状況が生み出されない社会になってほしい。
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沖縄は離婚率が高くシングルマザーが多いと聞く。
そこで生きる女性本人たちの姿を、著者があとがきに書いていたように「生活史」として残した貴重な記録。
彼女たちをジャッジせず、社会問題に話題をひっぱることもせず、淡々と記録していることが、話をしてくれた女性たちへの尊重を現している。