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事象の分析では無い、
地球の、人々の営みの姿を気象から読み取ろうとする試みは素敵だなと思った。
その裏にあるのはあたりに地味な作業とイノベーション。
ライフワークってこういうことかなと羨ましい。
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水月湖に行ってきました。宿泊は湖畔の水月花という旅館です。水月湖は静かな神秘的な湖で、夜になると周りにほとんど明かりが見えません。満月の時には、美しい月が湖面に映ります。もちろん、年縞博物館にも行きましたよ。たまたま中川毅氏がいて、雑誌の取材を受けていました。ぜひ、読んでください、感動します。世界基準ですよ。中川氏の写真は、インスタに載せました。
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北京から蘇州へ向かう高速鉄道の車内で読み始める。
著者は古気候学という分野の専門家。
初めて読む人だなあ、と思っていたら、福井県の水月湖のボーリング調査をしたチームの一人。
堆積物の中に含まれる花粉の化石の分析を専門とする。
師匠が安田喜憲さんと知って、おおっ、と思い出した。
安田さんの文章は、たしか中学の教科書に載っている。
今、花粉分析は少し下火になりつつある研究方法だとのことだが、放射性炭素年代測定(アメリカには分析の専門会社がある!)の限界について、初めて知った。
炭素14の最初の存在量からの減少で測るのに、最初の存在量がわからないため、千年単位の誤差が出るという。
地球温暖化にかかわる議論に、新しい視座を与えてくれる。
既に氷期に入っていておかしくない地球が未だに暖かい時期にあるのは、農業開始による二酸化炭素増加という説がある。
かなり今の温暖化の議論の布置が変わってしまいそうな話だ。
現在、大局的には気候変動はマイルドだが、突然予想外の大きな変化をする。
複雑な系には、安定相と周期相、そして乱雑な相があることによるのだそうで、そういわれると納得だ。
天候の変動での災害は、あの東日本大震災の人的被害と比べても桁違いの被害をもたらすが、今の人類の力でそれに対策することは難しい。
古代文明でも一年程度の気候災害に対応する備えはあったが、では現在ではといえば、大きく水準は変わっていないらしい。
人口が少ない時代には、狩猟採集生活のほうが、予想外の気象変動にうまく対応できるという話も驚く。
結局、社会としてどこまでのコスト負担に耐えられ、どのような在り方をしたいのかを問い直す必要がありそうだ。
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◆壮大で緻密な地球のはなし◆
世界中を悩ませている「地球温暖化」。しかし、降り積もった堆積物を読み解くと、人類は過去にもっと激しい気候変動を体験していた。
本書では、古気候学者である著者が過去の研究データ等を用いて気候のメカニズム、人類と気候の関わりについて解説しています。いかにも難しそうなテーマに思えますが、わかりやすい工夫がされています(研究の手法をプリンとストローに例えてみたり…)。ぜひ、自然の壮大さと科学の面白さを感じてみてください。
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福井県・水月湖に堆積する「年縞」。何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録した地層で、現在、年代測定の世界標準となっている。その年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」だった。人類は誕生から20万年、そのほとんどを現代とはまるで似ていない、気候激変の時代を生き延びてきたのだった。過去の詳細な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめ直します。
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皆さんは地球温暖化が進む現代を異常な時代だと考えるだろうか?人間の寿命が長くて8,90年だということを考えて、つい20数年前から騒がれ始めた地球温暖化のことを異常だと多くの人が考えるだろう。しかし果たしてそれは長い地球の歴史から見たら異常なことなのだろうか。現在進行している地球温暖化が良いか悪いかという人間社会的な観念は一旦置いておいて考えると、過去の気候変動を紐解いてみると現代からは想像もできない壮絶な時代があったのだ。この本はそのような古気候を人間が変化を感じ取りやすい数年スケールで復元した著者によって気候に関して全く知らない人でもわかりやすい例えを交えて理解しやすく書かれた名著である。
福井県にある水月湖には「年縞」と呼ばれる、現在から7万年前までの気候情報が詰まった宝箱のようなものが1年単位で、最高の状態で保存されている。それを分析する際、著者は専門である花粉分析を用いるのだが、花粉の化石から古気候が復元できるというから驚きである。さらに驚くべきことに花粉化石には古気候だけでなく、水月湖周辺に何の木がどのくらい、どの時代に生えていたのかが記録されていて、さらにそれがもっと壮大な話とリンクしていく。刑事物の物語で例えれば、小さな事件を追っていたら初回から伏線が張られていた巨大組織へと繋がる、というような感覚である。花粉という身近なもの、人によっては忌み嫌われているものが壮大な古気候復元物語の主役になっているというのはロマンを感じられるだろう。本著ではこの花粉以外にも一般には知られていない事柄がわかり易く説明されており、また話の流れは一貫していて明瞭なので、楽しく読みすすめることができる。ぜひこの本を読み新たな知見を広げてみてはどうだろうか。 (地球惑星科学コース 3年)
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温暖化現象を否定する本を読んだこともあり、世の中で言われているような単純なものではないと知っていましたが、ここまで複雑なことだとは思っていませんでした。
気候の変動が単純なシミュレーションで予測できるものではないことがよくわかります。
湖の地層(年縞)から当時の気候を測る作業について詳しく書かれていますが、読んでいるだけで気が遠くなるような緻密な作業です^^;
最終章の人類の狩猟生活と農耕生活における、耐性の違いをシミュレーションした話がおもしろかったです。
農耕生活は急激に気候が変化する時代には不向きで、それが寒冷期に多くの地域で農耕が始まらなかった理由ではないかというのが、著者による考察でした。
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現代とはまるで似ていない気候激変の時代を生き延びてきた人類。福井県の水月湖に堆積する「年縞」。何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録し、現在、年代測定の世界標準となっている。その年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遙かにしのぐ「激変する気候」だった。過去の精密な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめなおす。
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水月湖年縞研究の苦労と、それがもたらした成果の偉大さに胸が熱くなった。
当然のように語られている研究結果は、本当に丁寧で地道な一つ一つの作業の積み重ねで得られている。研究者にはつくづく頭が下がる。
昨今言われる気候変動、特に温室効果ガスによる温暖化はもはや経済的・政治的にも重大なトピックだが、地球レベルで見ればごくごく最近のちっぽけな話に思われた。
それ以上に、過去の氷期の時代には数十年単位で東京がモスクワになったり奄美大島になったりするような気候変動がザラにあったわけで…
(ごくごく最近、といっても、通例言われるような産業革命以降の直近100年間での化石燃料の大量消費によるものではなく、8000年前からのアジアでの農耕・ヨーロッパでの森林伐採が原因ではないかとする説もあることに驚いた。現代人は自責的と同時に自意識過剰?)
とはいえ、周期上は再び氷期に入っているはずの地球をいまだに穏やかで温暖な間氷期に留めているのは人間の活動によるところが大きそう。今後100年間で徐々に気温が上がっていく予想は、様々な課題をはらみつつもかなり"マシ"なシナリオであって、気候が予測すらも不可能なレベルで暴れる時代に突入する可能性もある。
先進国が"進んでいる"ように見えるのは、帰納的な予測が成り立つ穏やかな環境の中においてだけ。先の氷期の終わり頃の狩猟採集民と農耕民の比較は示唆に富んでいた。
劇的な環境変化の中では、多様性が生存にとって大きな意味を持つ。
多様性、包摂、持続可能性がキーワードになっているこの時代において、学ぶことの多い良書だと思った。
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何億年という長い縮尺で地球の気温変化を見たとき、今は寧ろ寒冷な時代にいる。何万年というスケールまで落としてみると、温暖な時代と寒冷な時代を約10万年ごとのサイクルで繰り返しており、今は温暖な気候「間氷期」にいる。長いサイクルで見ると、いま騒いでいる地球温暖化も大したことがないことだと思えるかもしれないが、困ったのは、今いる間氷期は安定して気候にあるが、氷期は気候の不安定さが増すということだ。すなわち今の農耕を基本とした生活スタイルでは安定した食料供給が難しくなる。かと言って気候に対して柔軟性のある狩猟採集スタイルも、温暖な気候で爆発して人口を賄うことは不可能。。
これからの気候変動では、人間の大脳をフル活用して、知恵で生き延びていくしかない。
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地球の浪漫を感じられる本。全く想像のつかない世界観に引き込まれる。三方五湖にある水月湖は世界有数の良質な湖底堆積物が…とかビックリな内容が沢山で、地質を調べる方は本当にロマンチストなんやろなーって感じました。
未知の世界、普段縁のない話は、最初は入ってこなかったけど、最後には、この水月湖に是非一度行ってみたくなった❗️
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人類の不自然な行動が地球の寒冷期を遅らせているのかもしれないといった考察が面白かった
最近のよくある地球温暖化問題をメインに扱う書籍かと思いきや、タイトル通りでこれまでの地球の気候やその研究について書かれていた
無知な分野であったため大変勉強になった
また難しい用語などもなく説明も丁寧でストレスなく読めた
水月湖の研究について詳しく書かれていて興味が沸いた
機会があれば水月湖を観光し、再びこの本を読んでみたいと思った
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地質学に無知な私でも置いてきぼりにしない読みやすい構成になっている。まるで壮大な物語を読んでいるようだった。
重要な学説と著者らの研究について豊富な図・データを用いて解説しているため、得られる知識も多い。読者の関心が高いであろう地球温暖化と氷期についても色々と考えさせられた。「世界標準ものさし」水月湖、いつか行ってみたい。
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科学的な話もストーリーが織り交ぜられ、読みやすく、すんなり読み終わった。
農耕と狩猟採集に関する考察は面白かった。たしかに、毎年のように変化が激しい世界では、農耕では太刀打ちできないだろう。
これからの世界がどう変わっていくか、カオス的な見地から予測は難しいということだった。人為的な温暖化は進むらしいが。
人類が発展してきた最近は安定で温暖な期間だったということだが、これからは全く異なる世界になるかもしれない。これまでの常識にとらわれないで、臨機応変に対応していくことが必要になるんだろう。
不安定な世界になったとき、人類は科学技術で乗り切ることができるだろうか。
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今、気候変動と言われていることはなんなのか、これからどのようになるのか。
その疑問に応えるために、過去の地球の気候が研究されてきた。
どんな証拠を人類が手にしており、そこからどんな技術で何がわかるのか。気候研究の携わる多くの研究者が必死で研究した結果、分かったのは「今起きていることは、これまでの歴史の中にはなかったことだが、今後何が起こるのかわからない」ということ。
その、わからなさについて丁寧に説明されており、とてもわかりやすい。
わからないからどうでもいいのではなく、わからないからこそ、いろいろ考えて暮らさないといけないと感じる。